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サムエル後書
🔝
〘564㌻〙
第1章
1
サウルの
死
しに
し
後
のち
ダビデ、アマレク
人
びと
を
擊
うち
てかへりチクラグに
二日
ふつか
とゞまりけるが
2
第三日
みつか
に
及
およ
びて
一個
ひとり
の
人
ひと
其
その
衣
ころも
を
裂
さ
き
頭
かしら
に
土
つち
をかむりて
陣
ぢん
營
えい
より
即
すなは
ちサウルの
所󠄃
ところ
より
來
きた
りダビデの
許
もと
にいたり
地
ち
にふして
拜
はい
せり
3
ダビデかれにいひけるは
汝
なんぢ
いづくより
來
きた
れるやかれダビデにいひけるはイスラエルの
陣
ぢん
營
えい
より
逃󠄄
のが
れきたれり
4
ダビデかれにいひけるは
事
こと
いかん
請󠄃
こ
ふ
我
われ
につげよかれこたへけるは
民
たみ
戰
たたかひ
に
敗
やぶ
れて
逃󠄄
に
げ
民
たみ
おほく
仆
たふ
れて
死
しね
りまたサウルと
其
その
子
こ
ヨナタンも
死
しね
り
5
ダビデ
其
その
おのれにつぐる
少者
わかきもの
にいひけるは
汝
なんぢ
いかにしてサウルと
其
その
子
こ
ヨナタンの
死
しに
たるをしるや
6
ダビデにつぐる
少者
わかきもの
いひけるは
我
われ
はからずもギルボア
山
やま
にのぼり
見
み
しにサウル
其
その
槍
やり
に
倚
より
かかりをりて
戰車
いくさぐるま
と
騎兵
きへい
かれにせめよらんとせり
7
彼
かれ
うしろにふりむきて
我
われ
を
見
み
我
われ
をよびたれば
我
われ
こたへて
我
われ
ここにありといふ
8
かれ
我
われ
に
汝
なんぢ
は
誰
たれ
なるやといひければ
我
われ
かれにこたへて
我
われ
はアマレク
人
びと
なりといふ
9
かれまた
我
われ
にいひけるはわが
身
み
いたく
攣
つれ
ば
請󠄃
こ
ふ
我
わが
うへにのりて
我
われ
をころせわが
生命
いのち
なほわれの
中
うち
にまつたければなりと
10
我
われ
すなはちかれの
上
うへ
にのりてかれを
殺
ころ
したり
其
そ
は
我
われ
かれが
旣
すで
に
仆
たふれ
て
生
いく
ることをえざるをしりたればなりしかして
我
われ
その
首
かうべ
にありし
冕
かんむり
とその
腕
うで
にありし
釧
うでわ
を
取
と
りてこれをわが
主
しゆ
に
携
たづさ
へきたれり
11
是
こゝ
においてダビデおのれの
衣
ころも
を
執
とり
てこれを
裂
さ
けりまた
彼
かれ
とともにある
者
もの
も
皆
みな
しかせり
12
彼等
かれら
サウルのためまた
其
その
子
こ
ヨナタンのためまたヱホバの
民
たみ
のためイスラエルの
家
いへ
のために
哭
な
きかなしみて
晩
よひ
まで
食󠄃
しよく
を
斷
たて
り
其
そ
は
彼
かれ
ら
劍
かたな
にたふれたればなり
13
ダビデおのれに
吿
つげ
し
少者
わかきもの
にいひけるは
汝
なんぢ
は
何處
いづく
の
者
もの
なるやかれこたへけるは
我
われ
は
他國
たこく
の
人
ひと
すなはちアマレク
人
びと
なりと
564㌻
14
ダビデかれにいひけるは
汝
なんぢ
なんぞ
手
て
をのばしてヱホバの
膏
あぶら
そそぎし
者
もの
をころすことを
畏
おそれ
ざりしやと
15
ダビデ
一人
ひとり
の
少者
わかもの
をよびていひけるは
近󠄃
ちか
よりてかれをころせとすなはちかれをうちければ
死
しね
り
16
ダビデかれにいひけるは
汝
なんぢ
の
血
ち
は
汝
なんぢ
の
首
かうべ
に
歸
き
せよ
其
そ
は
汝
なんぢ
口
くち
づから
我
われ
ヱホバのあぶらそそぎし
者
もの
をころせりといひて
己
おのれ
にむかひて
證
あかし
をたつればなり
17
ダビデ
悲
かなしみの
歌
うた
をもてサウルと
其
その
子
こ
ヨナタンを
吊
とむら
ふ
〘432㌻〙
18
ダビデ
命
めい
じてこれをユダの
族
ひと〴〵
にをしへしむ
即
すなは
ち
弓
ゆみ
の
歌
うた
是
これ
なり
是
これ
はヤシル
書
しよ
に
記
しる
さる
19
イスラエルよ
汝
なんぢ
の
榮耀
かがやき
は
汝
なんぢ
の
崇邱
たかきところ
に
殺
ころ
さる
嗚呼
あゝ
勇士
ますらを
は
仆
たふ
れたるかな
20
此事
このこと
をガテに
吿
つぐ
るなかれアシケロンの
邑
まち
に
傳
つたふ
るなかれ
恐
おそら
くはペリシテ
人
びと
の
女等
むすめら
喜
よろこ
ばん
恐
おそら
くは
割󠄅禮
かつれい
を
受
うけ
ざる
者
もの
の
女等
むすめら
樂
たのし
み
祝
いは
はん
21
ギルボアの
山
やま
よ
願
ねがはく
は
汝
なんぢ
の
上
うへ
に
雨露
つゆ
降
くだ
ることあらざれ
亦
また
供物
そなへもの
の
田園
はたけ
もあらざれ
其
そ
は
彼處
かしこ
に
勇士
ますらを
の
干
たて
棄
すて
らるればなり
即
すなは
ちサウルの
干
たて
膏
あぶら
を
沃
そゝ
がずして
彼處
かしこ
に
棄
すて
らる
22
殺
ころ
せし
者
もの
の
血
ち
をのまずしてヨナタンの
弓
ゆみ
は
退󠄃
しりぞ
かず
勇士
ますらを
の
脂
あぶら
を
食󠄃
くは
ずしてサウルの
劍
つるぎ
は
空󠄃
むなし
く
歸
かへ
らず
23
サウルとヨナタンは
愛
あい
らしく
樂
たのし
げにして
生
いき
死
しに
ともに
離
はな
れず
二人
ふたり
は
鷲
わし
よりも
捷
はや
く
獅子
しゝ
よりも
强
つよ
かりき
24
イスラエルの
女等
むすめら
よサウルのために
哀
なげ
けサウルは
絳
あか
き
衣
ころも
をもて
汝等
なんぢら
を
華麗
はなやか
に
粧
よそほ
ひ
金
こがね
の
飾󠄃
かざり
を
汝等
なんぢら
の
衣
ころも
に
着
つけ
たり
25
嗚呼
あゝ
勇士
ますらを
は
戰
たたかひ
の
中
なか
に
仆
たふれ
たるかなヨナタン
汝
なんぢ
の
崇邱
たかきところ
に
殺
ころ
されぬ
26
兄弟
きやうだい
ヨナタンよ
我
われ
汝
なんぢ
のために
悲慟
かなしみ
む
汝
なんぢ
は
大
おほい
に
我
われ
に
樂
たのし
き
者
もの
なりき
汝
なんぢ
の
我
われ
をいつくしめる
愛
あい
は
尋󠄃常
よのつね
ならず
婦󠄃
をんな
の
愛
あい
にも
勝󠄃
まさ
りたり
27
嗚呼
あゝ
勇士
ますらを
は
仆
たふれ
たるかな
戰
たたかひ
の
具󠄄
うつは
は
失
うせ
たるかな
第2章
1
此
この
のちダビデ、ヱホバに
問
とひ
ていひけるは
我
われ
ユダのひとつの
邑
まち
にのぼるべきやヱホバかれにいひたまひけるはのぼれダビデいひけるは
何處
いづく
にのぼるべきやヱホバいひたまひけるはヘブロンにのぼるべしと
565㌻
2
ダビデすなはち
彼處
かしこ
にのぼれりその
二人
ふたり
の
妻
つま
ヱズレル
人
びと
アヒノアムおよびカルメル
人
びと
ナバルの
妻
つま
なりしアビガルもともにのぼれり
3
ダビデ
其
その
おのれとともにありし
從者
じふしや
と
其
その
家族
かぞく
をことごとく
將
ひきゐ
のぼりければ
皆
みな
ヘブロンの
諸巴
まち〳〵
にすめり
4
時
とき
にユダの
人々
ひと〴〵
きたり
彼處
かしこ
にてダビデに
膏
あぶら
をそそぎてユダの
家
いへ
の
王
わう
となせり
人々
ひと〴〵
ダビデにつげてサウルを
葬
はうむ
りしはヤベシギレアデの
人
ひと
なりといひければ
5
ダビデ
使者
つかひ
をヤベシギレアデの
人
ひと
におくりてこれにいひけるは
汝
なんぢ
らこの
厚
あつき
意󠄃
こころ
を
汝
なんぢ
らの
主
しゆ
サウルにあらはしてかれを
葬
はうむ
りたればねがはくは
汝
なんぢ
らヱホバより
福祉
さいはひ
をえよ
6
ねがはくはヱホバ
恩寵
めぐみ
と
眞實
まこと
を
汝等
なんぢら
にしめしたまへ
汝
なんぢ
らこの
事
こと
をなしたるにより
我
われ
亦
また
汝
なんぢ
らに
此
この
恩惠
めぐみ
をしめすなり
7
されば
汝
なんぢ
ら
手
て
をつよくして
勇
いさ
ましくなれ
汝
なんぢ
らの
主
しゆ
サウルは
死
しに
たり
又󠄂
また
ユダの
家
いへ
我
われ
に
膏
あぶら
をそそぎて
我
われ
をかれらの
王
わう
となしたればなりと
〘433㌻〙
8
爰
こゝ
にサウルの
軍
ぐん
の
長
かしら
ネルの
子
こ
アブネル、サウルの
子
こ
イシボセテを
取
と
りてこれをマナイムにみちびきわたり
9
ギレアデとアシユリ
人
びと
とヱズレルとエフライムとベニヤミンとイスラエルの
衆
ひと〴〵
の
王
わう
となせり
10
サウルの
子
こ
イシボセテはイスラエルの
王
わう
となりし
時
とき
四十
歳
さい
にして二
年
ねん
のあひだ
位
くらゐ
にありしがユダの
家
いへ
はダビデにしたがへり
11
ダビデのヘブロンにありてユダの
家
いへ
の
王
わう
たりし
日
ひ
數
かず
は七
年
ねん
と六ヶ
月
げつ
なりき
12
ネルの
子
こ
アブネル
及
およ
びサウルの
子
こ
なるイシボセテの
臣僕
けらい
等
たち
マハナイムを
出
いで
てギベオンに
至
いた
れり
13
セルヤの
子
こ
ヨアブとダビデの
臣僕
けらい
もいでゆけり
彼
かれ
らギベオンの
池
いけ
の
傍
かたはら
にて
出會
いであひ
一方
いつぱう
は
池
いけ
の
此畔
こなた
に
一方
いつぱう
は
池
いけ
の
彼畔
かなた
に
坐
ざ
す
14
アブネル、ヨアブにいひけるはいざ
少者
わかもの
をして
起󠄃
たち
て
我
われ
らのまへに
戯
たはむ
れしめんヨアブいひけるは
起󠄃
たゝ
しめんと
15
サウルの
子
こ
イシボセテに
屬
ぞく
するベニヤミンの
人
ひと
其
その
數
かず
十二
人
にん
及
およ
びダビデの
臣僕
けらい
十二
人
にん
起󠄃
たち
て
前󠄃
すゝ
み
16
おのおの
其
その
敵手
あひて
の
首
くび
を
執
とら
へて
劍
かたな
を
其
その
敵手
あひて
の
脅
わきばら
に
刺
さ
し
斯
かく
して
彼等
かれら
俱
とも
に
斃
たふ
れたり
是故
このゆえ
に
其
その
處
ところ
はヘルカテハヅリム(
利劍
つるぎ
の
地
ち
)と
稱
となへ
らる
即
すなは
ちギベオンにあり
566㌻
17
此
これ
日
ひ
戰
たたかひ
甚
はなは
だ
烈
はげ
しくしてアブネルとイスラエルの
人々
ひと〴〵
ダビデの
臣僕
けらい
のまへに
敗
やぶ
る
18
其處
そこ
にゼルヤの三
人
にん
の
子
こ
ヨアブ、アビシヤイ、アサヘル
居
ゐ
たりしがアサヘルは
疾足
あしばや
なること
野
の
にをる
麆
しか
のごとくなりき
19
アサヘル、アブネルの
後
あと
を
追󠄃
お
ひけるが
行
あゆ
に
右左
みぎひだり
にまがらずアブネルの
後
うしろ
をしたふ
20
アブネル
後
うしろ
を
顧󠄃
かへり
みていふ
汝
なんぢ
はアサヘルなるか
彼
かれ
しかりと
答
こた
ふ
21
アブネルかれにいひけるは
汝
なんぢ
の
右
みぎ
か
左
ひだり
に
轉向
むかひ
て
少者
わかもの
の
一人
ひとり
を
擒
とら
へて
其
その
戎服󠄃
よろひ
を
取
と
れと
然
され
どアサヘル、アブネルをおふことを
罷
やめ
て
外
ほか
に
向
むか
ふを
肯
がへん
ぜず
22
アブネルふたゝびアサヘルにいふ
汝
なんぢ
我
われ
を
追󠄃
おふ
ことをやめて
外
ほか
に
向
むか
へ
我
われ
なんぞ
汝
なんぢ
を
地
ち
に
擊
う
ち
仆
たふ
すべけんや
然
しか
せば
我
われ
いかでかわが
面
かほ
を
汝
なんぢ
の
兄
あに
ヨアブにむくべけんと
23
然
しかれ
どもかれ
外
ほか
にむかふことをいなむによりアブネル
槍
やり
の
後銛
いしづき
をもてかれの
腹
はら
を
刺
さ
しければ
槍
やり
その
背後
うしろ
にいでたりかれ
其處
そこ
にたふれて
立時
たちどころ
に
死
しね
り
斯
かかり
しかばアサヘルの
仆
たふ
れて
死
しね
るところに
來
きた
る
者
もの
は
皆
みな
たちどまれり
24
されどヨアブとアビシヤイはアブネルの
後
あと
を
追󠄃
おひ
きたりしがギベオンの
野
の
の
道󠄃
みち
傍
ばた
にギアの
前󠄃
まへ
にあるアンマの
山
やま
にいたれる
時
とき
日
ひ
暮
くれ
ぬ
25
ベニヤミンの
子孫
ひと〴〵
アブネルにしたがひて
集
あつ
まり
一隊
いつたい
となりてひとつの
山
やま
の
頂
いたゞき
にたてり
26
爰
こゝ
にアブネル、ヨアブをよびていひけるは
刀劍
かたな
豈
あに
永久
とこしへ
にほろぼさんや
汝
なんぢ
其
その
終󠄃
をは
りには
怨恨
うらみ
を
結
むす
ぶにいたるをしらざるや
汝
なんぢ
何時
いつ
まで
民
たみ
に
其
その
兄弟
きやうだい
を
追󠄃
お
ふことをやめてかへることを
命
めい
ぜざるや
〘434㌻〙
27
ヨアブいひけるは
神
かみ
は
活
い
く
若
も
し
汝
なんぢ
が
言
いひ
出
いだ
さざりしならば
民
たみ
はおのおの
其
その
兄弟
きやうだい
を
追󠄃
お
はずして
今晨
あさ
のうちにさりゆきしならんと
28
かくてヨアブ
喇叭
らつぱ
を
吹
ふ
きければ
民
たみ
皆
みな
たちどまりて
再
ふたゝび
イスラエルの
後
あと
を
追󠄃
お
はずまたかさねて
戰
たゝか
はざりき
29
アブネルと
其
その
從者
じふしや
終󠄃夜
よもすがら
アラバを
經
へ
ゆきてヨルダンを
濟
わた
りビテロンを
通󠄃
とほ
りてマハナイムに
至
いた
れり
567㌻
30
ヨアブ、アブネルを
追󠄃
おふ
ことをやめて
歸
かへ
り
民
たみ
をことごとく
集
あつ
めたるにダビデの
臣僕
けらい
十九
人
にん
とアサヘル
缺
かけ
てをらざりき
31
されどダビデの
臣僕
けらい
はベニヤミンとアブネルの
從者
じふしや
三
百
びやく
六十
人
にん
を
擊
う
ち
殺
ころ
せり
32
人々
ひと〴〵
アサヘルを
取
と
りあげてベテレヘムにある
其
その
父󠄃
ちゝ
の
墓
はか
に
葬
はうむ
るヨアブと
其
その
從者
じふしや
は
終󠄃夜
よもすがら
ゆきて
黎明
よあけ
にヘブロンにいたれり
第3章
1
サウルの
家
いへ
とダビデの
家
いへ
の
間
あひだ
の
戰爭
いくさ
久
ひさ
しかりしがダビデは
益
ます〳〵
强
つよ
くなりサウルの
家
いへ
はますます
弱󠄃
よわ
くなれり
2
ヘブロンにてダビデに
男子等
をとこのこども
生
うま
る
其
その
首出
はじめ
の
子
こ
はアムノンといひてヱズレル
人
びと
アヒノアムより
生
うま
る
3
其
その
次
つぎ
はギレアブといひてカルメル
人
びと
ナバルの
妻
つま
なりしアビガルより
生
うま
る
第
だい
三はアブサロムといひてゲシユルの
王
わう
タルマイの
女子
むすめ
マアカの
子
こ
なり
4
第
だい
四はアドニヤといひてハギテの
子
こ
なり
第
だい
五はシバテヤといひてアビタルの
子
こ
なり
5
第
だい
六はイテレヤムといひてダビデの
妻
つま
エグラの
子
こ
なり
是等
これら
の
子
こ
ヘブロンにてダビデに
生
うま
る
6
サウルの
家
いへ
とダビデの
家
いへ
の
間
なか
に
戰爭
いくさ
ありし
間
あひだ
アブネルは
堅
かた
くサウルの
家
いへ
に
荷擔
つけ
り
7
嚮
さき
にサウル
一人
ひとり
の
妾
めかけ
を
有
もて
り
其
その
名
な
をリヅパといふアヤの
女
むすめ
なり
爰
こゝ
にイシボセテ、アブネルにいひけるは
汝
なんぢ
何
なん
ぞわが
父󠄃
ちゝ
の
妾
めかけ
に
通󠄃
つう
じたるや
8
アブネル
甚
はなはだ
しくイシボセテの
言
ことば
を
怒
いか
りていひけるは
我
われ
今日
けふ
汝
なんぢ
の
父󠄃
ちゝ
サウルの
家
いへ
とその
兄弟
きやうだい
とその
朋友
とも
に
厚
あつき
意󠄃
こころ
をあらはし
汝
なんぢ
をダビデの
手
て
にわたさざるに
汝
なんぢ
今日
けふ
婦󠄃人
をんな
の
過󠄃
あやまち
を
擧
あげ
て
我
われ
を
責
せ
む
我
われ
あに
犬
いぬ
の
首
くび
ならんやユダにくみする
者
もの
ならんや
9
神
かみ
アブネルに
斯
かく
なしまたかさねて
斯
かく
なしたまへヱホバのダビデに
誓
ちか
ひたまひしごとく
我
われ
かれに
然
しか
なすべし
10
即
すなは
ち
國
くに
をサウルの
家
いへ
より
移
うつ
しダビデの
位
くらゐ
をダンよりベエルシバにいたるまでイスラエルとユダの
上
うへ
にたてん
568㌻
11
イシボセテ、アブネルを
恐
おそ
れたればかさねて
一言
ひとこと
も
之
これ
にこたふるをえざりき
〘435㌻〙
12
アブネルおのれの
代
かはり
に
使者
つかひ
をダビデにつかはしていひけるは
此
この
地
ち
は
誰
たれ
の
所󠄃有
もの
なるや
又󠄂
また
いひけるは
汝
なんぢ
我
われ
と
契󠄅約
けいやく
を
爲
な
せ
我
われ
力
ちから
を
汝
なんぢ
に
添
そ
へてイスラエルを
悉
こと〴〵
く
汝
なんぢ
に
歸
き
せしめん
13
ダビデいひけるは
善
よ
し
我
われ
汝
なんぢ
と
契󠄅約
けいやく
をなさん
但
たゞ
し
我
われ
一
ひとつ
の
事
こと
を
汝
なんぢ
に
索
もと
む
即
すなは
ち
汝
なんぢ
來
きた
りてわが
面
かほ
を
覿
み
る
時
とき
先
ま
づサウルの
女
むすめ
ミカルを
携
つれ
きたらざれば
我
われ
面
かほ
を
覿
み
るを
得
え
じと
14
ダビデ
使者
つかひ
をサウルの
子
こ
イシボセテに
遣󠄃
つかは
していひけるはわがペリシテ
人
びと
の
陽皮
まへのかは
一百
いつぴやく
を
以
も
て
聘
めとり
たるわが
妻
つま
ミカルを
我
われ
に
交
わた
すべし
15
イシボセテ
人
ひと
をつかはしてかれを
其
その
夫
をつと
ライシの
子
こ
パルテより
取
とり
しかば
16
其
その
夫
をつと
哭
なき
つつ
步
あゆ
みて
其
その
後
うしろ
にしたがひて
俱
とも
にバホリムにいたりしがアブネルかれに
歸
かへ
り
徃
ゆ
けといひければすなはち
歸
かへ
りぬ
17
アブネル、イスラエルの
長老等
としよりたち
と
語
かた
りていひけるは
汝
なんぢ
ら
前󠄃
さき
よりダビデを
汝
なんぢ
らの
王
わう
となさんことを
求
もと
め
居
ゐ
たり
18
されば
今
いま
これをなすべし
其
そ
はヱホバ、ダビデに
付
つい
て
語
かた
りて
我
われ
わが
僕
しもべ
ダビデの
手
て
を
以
も
てわが
民
たみ
イスラエルをペリシテ
人
びと
の
手
て
よりまたその
諸
もろ〳〵
の
敵
てき
の
手
て
より
救
すく
ひいださんといひたまひたればなりと
19
アブネル
亦
また
ベニヤミンの
耳
みゝ
に
語
かた
れりしかしてアブネル
自
みづか
らイスラエルおよびベニヤミンの
全󠄃家
ぜんか
の
善
よし
とおもふ
所󠄃
ところ
をヘブロンにてダビデの
耳
みゝ
に
吿
つげ
んとて
徃
ゆけ
り
20
すなはちアブネル二十
人
にん
をしたがへてヘブロンにゆきてダビデの
許
もと
にいたりければダビデ、アブネルと
其
その
したがへる
從者
じふしや
のために
酒宴
ふるまひ
を
設
まう
けたり
21
アブネル、ダビデにいひけるは
我
われ
起󠄃
たち
てゆきイスラエルをことごとくわが
主
しゆ
王
わう
の
所󠄃
ところ
に
集
あつ
めて
彼等
かれら
に
汝
なんぢ
と
契󠄅約
けいやく
を
立
たて
しめ
汝
なんぢ
をして
心
こゝろ
の
望󠄇
のぞ
む
所󠄃
ところ
の
者
もの
をことごとく
治
をさ
むるにいたらしめんと
是
こゝ
においてダビデ、アブネルを
歸
かへ
してかれ
安然
やすらか
に
去
され
り
22
時
とき
にダビデの
臣僕
けらい
およびヨアブ
人
びと
の
國
くに
を
侵
をか
して
歸
かへ
り
大
おほい
なる
掠取物
ぶんどりもの
を
携
たづさ
へきたれり
然
され
どアブネルはタビデとともにヘブロンにはをらざりき
其
そ
はダビデかれを
歸
かへ
してかれ
安然
やすらか
に
去
さ
りたればなり
569㌻
23
ヨアブおよびともにありし
軍兵
ぐんぴやう
皆
みな
かへりきたりしとき
人々
ひと〴〵
ヨアブに
吿
つげ
ていひけるはネルの
子
こ
アブネル
王
わう
の
所󠄃
ところ
にきたりしが
王
わう
かれを
返󠄄
かへ
してかれ
安然
やすらか
にされりと
24
ヨアブ
王
わう
に
詣
いた
りていひけるは
汝
なんぢ
何
なに
を
爲
な
したるやアブネル
汝
なんぢ
の
所󠄃
ところ
にきたりしに
汝
なんぢ
何故
なにゆゑ
にかれを
返󠄄
かへ
して
去
さり
ゆかしめしや
25
汝
なんぢ
ネルの
子
こ
アブネルが
汝
なんぢ
を
誑
たぶら
かさんとてきたり
汝
なんぢ
の
出
で
入
いり
を
知
し
りまた
汝
なんぢ
のすべて
爲
な
す
所󠄃
ところ
を
知
しら
んために
來
きた
りしを
知
し
ると
〘436㌻〙
26
かくてヨアブ、ダビデの
所󠄃
ところ
より
出
いで
來
きた
り
使者
つかひ
をつかはしてアブネルを
追󠄃
おひ
しめたれば
使者
つかひ
シラの
井
ゐど
よりかれを
將
ひき
返󠄄
かへ
れりされどダビデは
知
しら
ざりき
27
アブネル、ヘブロンに
返󠄄
かへ
りしかばヨアブ
彼
かれ
と
密
ひそか
に
語
かた
らんとてかれを
門
もん
の
內
うち
に
引
ひ
きゆき
其處
そこ
にてその
腹
はら
を
刺
さし
てこれを
殺
ころ
し
己
おのれ
の
兄弟
きやうだい
アサヘルの
血
ち
をむくいたり
28
其
その
後
のち
ダビデ
聞
きゝ
ていひけるは
我
われ
と
我
わが
國
くに
はネルの
子
こ
アブネルの
血
ち
につきてヱホバのまへに
永
なが
く
罪
つみ
あることなし
29
其
その
罪
つみ
はヨアブの
首
かうべ
と
其
その
父󠄃
ちゝ
の
全󠄃家
ぜんか
に
歸
き
せよねがはくはヨアブの
家
いへ
には
白
はく
濁
だく
を
疾
やむ
ものか
癩
らい
病
びやう
人
にん
か
杖
つゑ
に
倚
よる
ものか
劍
つるぎ
に
仆
たふ
るものか
食󠄃物
しよくもつ
に
乏
とぼ
しき
者
もの
か
絕
た
ゆることあらざれと
30
ヨアブとその
弟
おとうと
アビシヤイのアブネルを
殺
ころ
したるは
彼
かれ
がギベオンにて
戰陣
たたかひ
のうちにおのれの
兄弟
きやうだい
アサヘルをころせしによれり
31
ダビデ、ヨアブおよびおのれとともにある
民
たみ
にいひけるは
汝
なんぢ
らの
衣服󠄃
ころも
を
裂
さ
き
麻󠄃
あさ
の
衣
ころも
を
著
き
てアブネルのために
哀哭
なげ
くべしとダビデ
王
わう
其
その
棺
くわん
にしたがふ
32
人衆
ひと〴〵
アブネルをヘブロンに
葬
はうむ
れり
王
わう
聲
こゑ
をあげてアブネルの
墓
はか
に
哭
な
き
又󠄂
また
民
たみ
みな
哭
な
けり
33
王
わう
アブネルの
爲
ため
に
悲
かなしみ
の
歌
うた
を
作
つく
りて
云
いは
くアブネル
如何
いか
にして
愚
おろか
なる
人
ひと
の
如
ごと
くに
死
しに
けん
34
汝
なんぢ
の
手
て
は
縛
しばり
もあらず
汝
なんぢ
の
足
あし
は
鏈
くさり
にも
繋
つなが
れざりしものを
嗚呼
あゝ
汝
なんぢ
は
惡人
あしきひと
のために
仆
たふ
る
人
ひと
のごとくにたふれたり
斯
かく
て
民
たみ
皆
みな
再
ふたゝ
びかれのために
哭
な
けり
570㌻
35
民
たみ
みな
日
ひ
のあるうちにダビデにパンを
食󠄃
くら
はしめんとて
來
きた
りしにダビデ
誓
ちか
ひていひけるは
若
も
し
日
ひ
の
沒
いる
まへに
我
われ
パンにても
何
なに
にても
味
あじは
ひなば
神
かみ
我
われ
にかくなし
又󠄂
また
重
かさ
ねて
斯
かく
なしたまへと
36
民
たみ
皆
みな
見
み
て
之
これ
を
其
その
目
め
に
善
よ
しとせり
凡
すべ
て
王
わう
の
爲
な
すところの
事
こと
は
皆
みな
民
たみ
の
目
め
に
善
よし
と
見
み
えたり
37
其
その
日
ひ
民
たみ
すなはちイスラエル
皆
みな
ネルの
子
こ
アブネルを
殺
ころし
たるは
王
わう
の
所󠄃爲
わざ
にあらざるを
知
し
れり
38
王
わう
その
臣僕
けらい
にいひけるは
今日
けふ
一人
ひとり
の
大
たい
將
しやう
大
たい
人
じん
イスラエルに
斃
たふ
る
汝
なんぢ
らこれをしらざるや
39
我
われ
は
膏
あぶら
そそがれし
王
わう
なれども
今日
けふ
尙
なほ
弱󠄃
よわ
しゼルヤの
子等
こども
なる
此
これ
等
ら
の
人
ひと
我
われ
には
制
せい
しがたしヱホバ
惡
あく
をおこなふ
者
もの
に
其
その
惡
あく
に
隨
したが
ひて
報
むく
いたまはん
第4章
1
サウルの
子
こ
はアブネルのヘブロンにて
死
しに
たるを
聞
きく
きしかば
其
その
手
て
弱󠄃
よわ
くなりてイスラエルみな
憂
うれ
へたり
2
サウルの
子
こ
隊
たい
長
ちやう
二人
ふたり
を
有
も
てり
其
その
一人
ひとり
をバアナといひ
一人
ひとり
をレカブといふベニヤミンの
支派
わかれ
なるベロテ
人
びと
リンモンの
子等
こども
なり
其
そ
はベロテも
亦
また
ベニヤミンの
中
うち
に
數
かぞへ
らるればなり
〘437㌻〙
3
昔
さき
にペロテ
人
びと
ギツタイムに
逃󠄄遁
のが
れて
今日
こんにち
にいたるまで
彼處
かしこ
に
旅人
たびゞと
となりて
止
とゞ
まる
4
サウルの
子
こ
ヨナタンに
跛足
あしなへ
の
子
こ
一人
ひとり
ありヱズレルよりサウルとヨナタンの
事
こと
の
報
きこえ
いたりし
時
とき
には五
歳
さい
なりき
其
その
乳󠄃媼
うば
かれを
抱
いだ
きて
逃󠄄
のが
れたりしが
急󠄃
いそ
ぎ
逃󠄄
にぐ
る
時
とき
其
その
子
こ
墮
おち
て
跛者
あしなへ
となれり
其
その
名
な
をメピボセテといふ
5
ベロテ
人
びと
リンモンの
子
こ
レカブとバアナゆきて
日
ひ
の
熱
あつ
き
頃
ころ
イシボセテの
家
いへ
にいたるにイシボセテ
午睡
ひるね
し
居
ゐ
たり
6
かれら
麥
むぎ
を
取
と
らんといひて
家
いへ
の
中
なか
にいりきたりかれの
腹
はら
を
刺
させ
りしかしてレカブと
其
その
兄弟
きやうだい
バアナ
逃󠄄
に
げさりぬ
7
彼等
かれら
が
家
いへ
にいりしときイシボセテは
其
その
寢室
ねや
にありて
床
とこ
の
上
うへ
に
寢
いね
たりかれら
即
すなは
ちこれをうちころしこれを
馘
くびき
りて
其
その
首級
くび
をとり
終󠄃夜
よもすがら
アラバの
道󠄃
みち
をゆきて
8
イシボセテの
首級
くび
をヘブロンにダビデの
許
もと
に
携
たづさ
へいたりて
王
わう
にいひけるは
汝
なんぢ
の
生命
いのち
を
求
もと
めたる
汝
なんぢ
の
敵
てき
サウルの
子
こ
イシボセテの
首
くび
を
視
み
よヱホバ
今日
こんにち
我
わが
主
しゆ
なる
王
わう
の
仇
あた
をサウルと
其
その
裔
すゑ
に
報
むく
いたまへりと
571㌻
9
ダビデ、ベロテ
人
びと
リンモンの
子
こ
レカブと
其
その
兄弟
きやうだい
バアナに
答
こた
へていひけるはわが
生命
いのち
を
諸
もろ〳〵
の
艱難
かんんあん
の
中
うち
に
救
すく
ひたまひしヱホバは
生
い
く
10
我
われ
は
嘗
かつ
て
人
ひと
の
我
われ
に
吿
つげ
て
視
み
よサウルは
死
しね
りと
言
い
ひて
自
みづか
ら
我
われ
に
善
よ
き
事
こと
を
傳
つた
ふる
者
もの
と
思
おも
ひをりしを
執
とらへ
てこれをチクラグに
殺
ころ
し
其
その
消󠄃息
たより
に
報
むく
いたり
11
况
いはん
や
惡人
あしきひと
の
義人
ただしきひと
を
其
その
家
いへ
の
床
とこ
の
上
うへ
に
殺
ころ
したるをやされば
我
われ
彼
かれ
の
血
ち
をながせる
罪
つみ
を
汝
なんぢ
らに
報
むく
い
汝
なんぢ
らをこの
地
ち
より
絕
たゝ
ざるべけんやと
12
ダビデ
少者
わかきもの
に
命
めい
じければ
少者
わかきもの
かれらを
殺
ころ
して
其
その
手
て
足
あし
を
切
きり
離
はな
しヘブロンの
池
いけ
の
上
うへ
に
懸
かけ
たり
又󠄂
また
イシボセテの
首
くび
を
取
と
りてヘブロンにあるアブネルの
墓
はか
に
葬
はうむ
れり
第5章
1
爰
こゝ
にイスラエルの
支派
わかれ
咸
こと〴〵
くヘブロンにきたりダビデにいたりていひけるは
視
み
よ
我儕
われら
は
汝
なんぢ
の
骨
こつ
肉
にく
なり
2
前󠄃
さき
にサウルが
我儕
われら
の
王
わう
たりし
時
とき
にも
汝
なんぢ
はイスラエルを
率󠄃
ひき
ゐて
出
で
入
いり
する
者
もの
なりきしかしてヱホバ
汝
なんぢ
に
汝
なんぢ
わが
民
たみ
イスラエルを
牧養󠄄
やしな
はん
汝
なんぢ
イスラエルの
君長
きみ
とならんといひたまへりと
3
斯
か
くイスラエルの
長老
としより
皆
みな
ヘブロンにきたり
王
わう
に
詣
いた
りければダビデ
王
わう
ヘブロンにてヱホバのまへにかれらと
契󠄅約
けいやく
をたてたり
彼
かれ
らすなはちダビデに
膏
あぶら
を
灑
そそい
でイスラエルの
王
わう
となす
4
ダビデは
王
わう
となりし
時
とき
三十
歳
さい
にして四十
年
ねん
の
間
あひだ
位
くらゐ
に
在
あり
き
5
即
すなは
ちヘブロンにてユダを
治
をさ
むること七
年
ねん
と六
箇
か
月
げつ
またエルサレムにてイスラエルとユダを
全󠄃
まつた
く
治
をさ
むること三十三
年
ねん
なり
〘438㌻〙
6
茲
こゝ
に
王
わう
其
その
從者
じふしや
とともにエルサレムに
徃
ゆ
き
其
その
地
ち
の
居民
たみ
ヱブス
人
びと
を
攻
せめ
んとすヱブス
人
びと
ダビデに
語
かた
りていひけるは
汝
なんぢ
此
こゝ
に
入
い
ること
能
あた
はざるべし
反
かへつ
て
盲者
めくら
跛者
あしなへ
汝
なんぢ
を
追󠄃
おひ
はらはんと
是
これ
彼
かれ
らダビデ
此
こゝ
に
入
い
るあたはずと
思
おも
へるなり
572㌻
7
然
しか
るにダビデ、シオンの
要󠄃害󠄅
えうがい
を
取
とれ
り
是
これ
即
すなは
ちダビデの
城邑
まち
なり
8
ダビデ
其
その
日
ひ
いひけるは
誰
たれ
にても
水
すゐ
道󠄃
だう
にいたりてヱブス
人
びと
を
擊
う
ちまたダビデの
心
こゝろ
の
惡
にく
める
跛者
あしなへ
と
盲者
めくら
を
擊
う
つ
者
もの
は(
首
かしら
となし
長
ちやう
となさん)と
是
これ
によりて
人々
ひと〴〵
盲者
めくら
と
跛者
あしなへ
は
家
いへ
に
入
い
るべからずといひなせり
9
ダビデ
其
その
要󠄃害󠄅
えうがい
に
住󠄃
すみ
て
之
これ
をダビデの
城邑
まち
と
名
なづ
けたりまたダビデ、ミロ(
城塞
とりで
)より
內
うち
の
四方
しはう
に
建築
たてもの
をなせり
10
かくてダビデはますます
大
おほい
に
成
な
りゆき
且
かつ
萬軍
ばんぐん
の
神
かみ
ヱホバこれと
共
とも
にいませり
11
ツロの
王
わう
ヒラム
使者
つかひ
をダビデに
遣󠄃
つか
はして
香柏
かうはく
および
木匠
たくみ
と
石工
せきこう
をおくれり
彼
かれ
らダビデの
爲
ため
に
家
いへ
を
建
た
つ
12
ダビデ、ヱホバのかたく
己
おのれ
をたててイスラエルの
王
わう
となしたまへるを
曉
さと
りまたヱホバの
其
その
民
たみ
イスラエルのために
其
その
國
くに
を
興
おこ
したまひしを
曉
さと
れり
13
ダビデ、ヘブロンより
來
きた
りし
後
のち
エルサレムの
中
うち
よりまた
妾
めかけ
と
妻
つま
を
納󠄃
いれ
たれば
男子
むすこ
女子
むすめ
またダビデに
生
うま
る
14
ヱルサレムにて
彼
かれ
に
生
うま
れたる
者
もの
の
名
な
はかくのごとしシヤンマ、シヨバブ、ナタン、ソロモン
15
イブハル、エリシユア、ネペグ、ヤピア
16
エリシヤマ、エリアダ、エリバレテ
17
爰
こゝ
に
膏
あぶら
を
沃
そゝ
いでダビデをイスラエルの
王
わう
と
爲
なせ
し
事
こと
ペリシテ
人
びと
に
聞
きこ
えければペリシテ
人
びと
皆
みな
ダビデを
獲
え
んとて
上
のぼ
るダビデ
聞
きゝ
て
要󠄃害󠄅
えうがい
に
下
くだ
れり
18
ペリシテ
人
びと
臻
いた
りてレバイムの
谷
たに
に
布
し
き
備
そなへ
たり
19
ダビデ、ヱホバに
問
とふ
ていひけるは
我
われ
ペリシテ
人
びと
にむかひて
上
のぼ
るべきや
汝
なんぢ
かれらをわが
手
て
に
付
わた
したまふやヱホバ、ダビデにいひたまひけるは
上
のぼ
れ
我
われ
必
かな
らずペリシテ
人
びと
を
汝
なんぢ
の
手
て
にわたさん
20
ダビデ、バアルペラジムに
至
いた
りかれらを
其所󠄃
そこ
に
擊
うち
ていひけるはヱホバ
水
みづ
の
破壞
やぶ
り
出
いづ
るごとく
我
わが
敵
てき
をわが
前󠄃
まへ
に
破壞
やぶ
りたまへりと
是故
このゆえ
に
其所󠄃
そのところ
の
名
な
をバアルペラジム(
破壞
やぶれ
の
處
ところ
)と
呼
よ
ぶ
573㌻
21
彼處
かしこ
に
彼等
かれら
其
その
偶像
ぐうざう
を
遺󠄃
すて
たればダビデと
其
その
從者
じふしや
これを
取
とり
あげたり
22
ペリシテ
人
びと
再
ふたゝ
び
上
のぼ
りてレバイムの
谷
たに
に
布
し
き
備
そな
へたれば
23
ダビデ、ヱホバに
問
とふ
にヱホバいひたまひけるは
上
のぼ
るべからず
彼等
かれら
の
後
うしろ
にまはりベカの
樹
き
の
方
かた
より
彼等
かれら
を
襲
おそ
へ
24
汝
なんぢ
ベカの
樹
き
の
上
うへ
に
進󠄃行
あゆみ
の
音󠄃
おと
を
聞
きか
ばすなはち
突
つき
出
い
づべし
其時
そのとき
にはヱホバ
汝
なんぢ
のまへにいでてペリシテ
人
びと
の
軍
ぐん
を
擊
うち
たまふべければなりと
25
ダビデ、ヱホバのおのれに
命
めい
じたまひしごとくなしペリシテ
人
びと
を
擊
うち
てゲバよりガゼルにいたる
〘439㌻〙
第6章
1
ダビデ
再
ふたゝ
びイスラエルの
選󠄄拔
えりぬき
の
兵士
つはもの
三
萬人
まんにん
を
悉
こと〴〵
く
集
あつ
む
2
ダビデ
起󠄃
たち
ておのれと
共
とも
にをる
民
たみ
とともにバアレユダに
徃
ゆき
て
神
かみ
の
櫃
はこ
を
其處
そこ
より
舁
かき
上
のぼ
らんとす
其
その
櫃
はこ
はケルビムの
上
うへ
に
坐
ざ
したまふ
萬軍
ばんぐん
のヱホバの
名
な
をもて
呼
よば
る
3
すなはち
神
かみ
の
櫃
はこ
を
新
あたら
しき
車
くるま
に
載
のせ
せて
山
やま
にあるアビナダブの
家
いへ
より
舁
かき
だせり
4
アビナダブの
子
こ
ウザとアヒオ
神
かみ
の
櫃
はこ
を
載
のせ
たる
其
その
新
あたら
しき
車
くるま
を
御
ぎよ
しアヒオは
櫃
はこ
のまへにゆけり
5
ダビデおよびイスラエルの
全󠄃家
ぜんか
琴
こと
と
瑟
しつ
と
鼗
つづみ
と
鈴
すゞ
と
鐃鈸
ねうはち
をもちて
力
ちから
を
極
きは
め
謠
うた
を
歌
うた
ひてヱホバのまへに
躍󠄃踴
をど
れり
6
彼等
かれら
がナコンの
禾場
うちば
にいたれる
時
とき
ウザ
手
て
を
神
かみ
の
櫃
はこ
に
伸
のば
してこれを
扶
おさ
へたり
其
そ
は
牛
うし
振
ふり
たればなり
7
ヱホバ、ウザにむかひて
怒
いか
りを
發
はつ
し
其
その
誤謬
あやまり
のために
彼
かれ
を
其處
そこ
に
擊
う
ちたまひければ
彼
かれ
そこに
神
かみ
の
櫃
はこ
の
傍
かたはら
に
死
し
ねり
8
ヱホバ、ウザを
擊
う
ちたまひしによりてダビデ
怒
いか
り
其處
そのところ
をペレヅウザ(ウザ
擊
うち
)と
呼
よべ
り
其
その
名
な
今日
こんにち
にいたる
9
其
その
日
ひ
ダビデ、ヱホバを
畏
おそ
れていひけるはヱホバの
櫃
はこ
いかで
我所󠄃
わがところ
にいたるべけんやと
10
ダビデ、ヱホバの
櫃
はこ
を
己
おのれ
に
移
うつ
してダビデの
城邑
まち
にいらしむるを
好
この
まず
之
これ
を
轉
めぐら
してガテ
人
びと
オベデエドムの
家
いへ
にいたらしむ
11
ヱホバの
櫃
はこ
ガテ
人
びと
オベデエドムの
家
いへ
に
在
あ
ること
三月
みつき
なりきヱホバ、オベデエドムと
其
その
全󠄃家
ぜんか
を
惠
めぐ
みたまふ
574㌻
12
ヱホバ
神
かみ
の
櫃
はこ
のためにオベデエドムの
家
いへ
と
其
その
所󠄃有
もちもの
を
皆
みな
惠
めぐ
みたまふといふ
事
こと
ダビデ
王
わう
に
聞
きこ
えけれぼダビデゆきて
喜樂
よろこび
をもて
神
かみ
の
櫃
はこ
をオベデエドムの
家
いへ
よりダビデの
城邑
まち
に
舁
かき
上
のぼ
れり
13
ヱホバの
櫃
はこ
を
舁
かく
者
もの
六步
むあし
行
ゆき
たる
時
とき
ダビデ
牛
うし
と
肥
こえ
たる
者
もの
を
献
さゝ
げたり
14
ダビデ
力
ちから
を
極
きは
めてヱホバの
前󠄃
まへ
に
踴躍󠄃
をど
れり
時
とき
にダビデ
布
ぬの
のエポデを
著
つ
け
居
ゐ
たり
15
ダビデおよびイスラエルの
全󠄃家
ぜんか
歡呼
よばはり
と
喇叭
らつぱ
の
聲
おと
をもてヱホバの
櫃
はこ
を
舁
かき
のぼれり
16
神
かみ
の
櫃
はこ
ダビデの
城邑
まち
にいりし
時
とき
サウルの
女
むすめ
ミカル
窻
まど
より
窺
うかゞ
ひてダビデ
王
わう
のヱホバのまへに
舞
まひ
躍󠄃
をど
るを
見
み
其心
そのこころ
にダビデを
蔑視
いやし
む
17
人々
ひと〴〵
ヱホバの
櫃
はこ
を
舁
かき
入
いれ
てこれをダビデが
其
その
爲
ため
に
張
はり
たる
天
てん
幕
まく
の
中
なか
なる
其
その
所󠄃
ところ
に
置
おけ
りしかしてダビデ
燔祭
はんさい
と
酬恩祭
しうおんさい
をヱホバのまへに
献
さゝ
げたり
18
ダビデ
燔祭
はんさい
と
酬恩祭
しうおんさい
を
献
さゝ
ぐることを
終󠄃
をへ
し
時
とき
萬軍
ばんぐん
のヱホバの
名
な
を
以
も
て
民
たみ
を
祝
しゆく
せり
19
また
民
たみ
の
中
うち
即
すなは
ちイスラエルの
衆庶
ひと〴〵
の
中
うち
に
男
をとこ
にも
女
をんな
にも
俱
とも
にパン
一箇
ひとつ
肉
にく
一斤
ひときれ
乾葡萄
ほしぶだう
一
ひと
塊
かたまり
を
分󠄃
わか
ちあたへたり
斯
かく
て
民
たみ
皆
みな
おのおの
其
その
家
いへ
にかへりぬ
〘440㌻〙
20
爰
こゝ
にダビデ
其
その
家族
かぞく
を
祝
しゆく
せんとて
歸
かへ
りしかばサウルの
女
むすめ
ミカル、ダビデをいでむかへていひけるはイスラエルの
王
わう
今日
けふ
如何
いか
に
威光
ゐくわう
ありしや
自
みづか
ら
遊󠄃蕩者
いたづらもの
の
其
その
身
み
を
露
あらは
すがごとく
今日
けふ
其
その
臣僕
けらい
の
婢
しもめ
女
をんな
のまへに
其
その
身
み
を
露
あらは
したまへりと
21
ダビデ、ミカルにいふ
我
われ
はヱホバのまへに
即
すなは
ち
汝
なんぢ
の
父󠄃
ちゝ
よりもまたその
全󠄃家
ぜんか
よりも
我
われ
を
選󠄄
えら
みて
我
われ
をヱホバの
民
たみ
イスラエルの
首長
きみ
に
命
めい
じたまへるヱホバのまへに
躍󠄃
をど
れり
22
我
われ
は
此
これ
よりも
尙
なほ
鄙
かろ
からんまたみづから
賤
いや
しと
思
おも
はん
汝
なんぢ
が
語
いへ
る
婢
しもめ
女
をんな
等
ら
とともにありて
我
われ
は
尊󠄅榮
ほまれ
をえんと
23
是故
このゆえ
にサウルの
女
むすめ
ミカルは
死
し
ぬる
日
ひ
まで
子
こ
あらざりき
第7章
1
王
わう
其
その
家
いへ
に
住󠄃
すむ
にいたり
且
かつ
ヱホバ
其
その
四方
よも
の
敵
てき
を
壞
やぶり
てかれを
安
やす
らかならしめたまひし
時
とき
2
王
わう
預言者
よげんしや
ナタンに
云
いひ
けるは
視
み
よ
我
われ
は
香柏
かうはく
の
家
いへ
に
住󠄃
す
む
然
しかれ
ども
神
かみ
の
櫃
はこ
は
幔幕
まく
の
中
うち
にあり
575㌻
3
ナタン
王
わう
に
云
いひ
けるはヱホバ
汝
なんぢ
と
共
とも
に
在
いま
せば
徃
ゆき
て
凡
すべ
て
汝
なんぢ
の
心
こゝろ
にあるところを
爲
な
せ
4
其
その
夜
よ
ヱホバの
言
ことば
ナタンに
臨
のぞ
みていはく
5
徃
ゆき
てわが
僕
しもべ
ダビデに
言
い
へヱホバ
斯
か
く
言
い
ふ
汝
なんぢ
わがために
我
われ
の
住󠄃
す
むべき
家
いへ
を
建
たて
んとするや
6
我
われ
はイスラエルの
子孫
ひと〴〵
をエジプトより
導󠄃
みちび
き
出
いだ
せし
時
とき
より
今日
こんにち
にいたるまで
家
いへ
に
住󠄃
すみ
しことなくして
但
たゞ
天
てん
幕
まく
と
幕屋
まくや
の
中
うち
に
步
あゆ
み
居
ゐ
たり
7
我
われ
イスラエルの
子孫
ひと〴〵
と
共
とも
に
凡
すべ
て
步
あゆ
める
處
ところ
にて
汝
なんぢ
ら
何故
なにゆゑ
に
我
われ
に
香柏
かうはく
の
家
いへ
を
建
たて
ざるやとわが
命
めい
じてわが
民
たみ
イスラエルを
牧養󠄄
やしなは
しめしイスラエルの
士師
さばきつかさ
の
一人
ひとり
に
一
ひと
言
こと
も
語
かた
りしことあるや
8
然
され
ば
汝
なんぢ
わが
僕
しもべ
ダビデに
斯
か
く
言
い
ふべし
萬軍
ばんぐん
のヱホバ
斯
か
く
言
い
ふ
我
われ
汝
なんぢ
を
牧場
まきば
より
取
と
り
羊
ひつじ
に
隨
したが
ふ
所󠄃
ところ
より
取
と
りてわが
民
たみ
イスラエルの
首長
きみ
となし
9
汝
なんぢ
がすべて
徃
ゆ
くところにて
汝
なんぢ
と
共
とも
にあり
汝
なんぢ
の
諸
もろ〳〵
の
敵
てき
を
汝
なんぢ
の
前󠄃
まへ
より
斷
たち
さりて
地
ち
の
上
うへ
の
大
おほい
なる
者
もの
の
名
な
のごとく
汝
なんぢ
に
大
おほい
なる
名
な
を
得
え
さしめたり
10
又󠄂
また
我
われ
わが
民
たみ
イスラエルのために
處
ところ
を
定
さだ
めてかれらを
植
うゑ
つけかれらをして
自己
おのれ
の
處
ところ
に
住󠄃
すみ
て
重
かさね
て
動
うご
くことなからしめたり
11
また
惡人
あくにん
昔
むかし
のごとくまたわが
民
たみ
イスラエルの
上
うへ
に
士師
さばきつかさ
を
立
た
てたる
時
とき
よりの
如
ごと
くふたゝび
之
これ
を
惱
なや
ますことなかるべし
我
われ
汝
なんぢ
の
諸
もろ〳〵
の
敵
てき
をやぶりて
汝
なんぢ
を
安
やすら
かならしめたり
又󠄂
また
ヱホバ
汝
なんぢ
に
吿
つ
ぐヱホバ
汝
なんぢ
のために
家
いへ
をたてん
12
汝
なんぢ
の
日
ひ
の
滿
みち
て
汝
なんぢ
が
汝
なんぢ
の
父󠄃祖
せんぞ
等
たち
と
共
とも
に
寢
ねむ
らん
時
とき
に
我
われ
汝
なんぢ
の
身
み
より
出
いづ
る
汝
なんぢ
の
種子
こ
を
汝
なんぢ
の
後
あと
にたてて
其
その
國
くに
を
堅
かた
うせん
13
彼
かれ
わが
名
な
のために
家
いへ
を
建
たて
ん
我
われ
永
なが
く
其
その
國
くに
の
位
くらゐ
を
堅
かた
うせん
14
我
われ
はかれの
父󠄃
ちゝ
となり
彼
かれ
はわが
子
こ
となるべし
彼
かれ
もし
迷󠄃
まよ
はば
我
われ
人
ひと
の
杖
つゑ
と
人
ひと
の
子
こ
の
鞭
むち
を
以
も
て
之
これ
を
懲
こら
さん
〘441㌻〙
15
されど
我
われ
の
恩惠
めぐみ
はわが
汝
なんぢ
のまへより
除
のぞ
きしサウルより
離
はな
れたるごとくに
彼
かれ
よりは
離
はな
るることあらじ
16
汝
なんぢ
の
家
いへ
と
汝
なんぢ
の
國
くに
は
汝
なんぢ
のまへに
永
なが
く
保
たも
つべし
汝
なんぢ
の
位
くらゐ
は
永
なが
く
堅
かた
うせらるべし
17
ナタン
凡
すべ
て
是等
これら
の
言
ことば
のごとくまたすべてこの
異象
まぼろし
のごとくダビデに
語
かた
りければ
576㌻
18
ダビデ
王
わう
入
い
りてヱホバの
前󠄃
まへ
に
坐
ざ
していひけるは
主
しゆ
ヱホバよ
我
われ
は
誰
たれ
わが
家
いへ
は
何
なに
なればか
爾
なんぢ
此
これ
まで
我
われ
を
導󠄃
みちび
きたまひしや
19
主
しゆ
ヱホバよ
此
これ
はなほ
汝
なんぢ
の
目
め
には
小
ちひさ
き
事
こと
なり
汝
なんぢ
また
僕
しもべ
の
家
いへ
の
遙
はる
か
後
のち
の
事
こと
を
語
かた
りたまへり
主
しゆ
ヱホバよ
是
これ
は
人
ひと
の
法
おきて
なり
20
ダビデ
此
この
上
うへ
何
なに
を
汝
なんぢ
に
言
い
ふを
得
え
ん
其
そ
は
主
しゆ
ヱホバ
汝
なんぢ
僕
しもべ
を
知
しり
たまへばなり
21
汝
なんぢ
の
言
ことば
のためまた
汝
なんぢ
の
心
こゝろ
に
隨
したが
ひて
汝
なんぢ
此
この
諸
もろ〳〵
の
大
おほい
なることを
爲
な
し
僕
しもべ
に
之
これ
をしらしめたまふ
22
故
ゆゑ
に
神
かみ
ヱホバよ
爾
なんぢ
は
大
おほい
なり
其
そ
は
我
われ
らが
凡
すべ
て
耳
みゝ
に
聞
きけ
る
所󠄃
ところ
に
依
よれ
ば
汝
なんぢ
の
如
ごと
き
者
もの
なくまた
汝
なんぢ
の
外
ほか
に
神
かみ
なければなり
23
地
ち
の
何
いづ
れの
國
くに
か
汝
なんぢ
の
民
たみ
イスラエルの
如
ごと
くなる
其
そ
は
神
かみ
ゆきてかれらを
贖
あがな
ひ
己
おのれ
の
民
たみ
となして
大
おほい
なる
名
な
を
得
え
たまひまた
彼
かれ
らの
爲
ため
に
大
おほい
なる
畏
おそ
るべき
事
こと
を
爲
な
したまへばなり
即
すなは
ち
汝
なんぢ
がエジプトより
贖
あがな
ひ
取
とり
たまひし
民
たみ
の
前󠄃
まへ
より
國々
くに〴〵
の
人
ひと
と
其
その
諸
もろ〳〵
神
かみ
を
逐󠄃
おひ
拂
はら
ひたまへり
24
汝
なんぢ
は
汝
なんぢ
の
民
たみ
イスラエルをかぎりなく
汝
なんぢ
の
民
たみ
として
汝
なんぢ
に
定
さだ
めたまへりヱホバよ
汝
なんぢ
はかれの
神
かみ
となりたまふ
25
されば
神
かみ
ヱホバよ
汝
なんぢ
が
僕
しもべ
と
其
その
家
いへ
につきて
語
かた
りたまひし
言
ことば
を
永
なが
く
堅
かた
うして
汝
なんぢ
のいひしごとく
爲
なし
たまへ
26
ねがはくは
永久
とこしなへ
に
汝
なんぢ
の
名
な
を
崇
あが
めて
萬軍
ばんぐん
のヱホバはイスラエルの
神
かみ
なりと
曰
いは
しめたまへねがはくは
僕
しもべ
ダビデの
家
いへ
をして
汝
なんぢ
のまへに
堅
かた
く
立
たゝ
しめたまへ
27
其
そ
は
萬軍
ばんぐん
のヱホバ、イスラエルの
神
かみ
よ
汝
なんぢ
僕
しもべ
の
耳
みゝ
に
示
しめ
して
我
われ
汝
なんぢ
に
家
いへ
をたてんと
言
いひ
たまひたればなり
是故
このゆえ
に
僕
しもべ
此
この
祈禱
いのり
を
汝
なんぢ
に
爲
な
す
道󠄃
みち
を
心
こゝろ
の
中
うち
に
得
え
たり
28
主
しゆ
ヱホバよ
汝
なんぢ
は
神
かみ
なり
汝
なんぢ
の
言
ことば
は
眞
まこと
なり
汝
なんぢ
この
惠
めぐみ
を
僕
しもべ
に
語
かた
りたまへり
29
願
ねがは
くは
僕
しもべ
の
家
いへ
を
祝福
みぐみ
て
汝
なんぢ
のまへに
永
なが
く
續
つづ
くことを
得
え
さしめたまへ
其
そ
は
主
しゆ
ヱホバ
汝
なんぢ
これを
語
かた
りたまへばなりねがはくは
汝
なんぢ
の
祝福
めぐみ
によりて
僕
しもべ
の
家
いへ
に
永
なが
く
祝福
めぐみ
を
蒙
かうむ
らしめたまへ
577㌻
第8章
1
此
この
後
のち
ダビデ、ペリシテ
人
びと
を
擊
うち
てこれを
服󠄃
ふく
すダビデまたペリシテ
人
びと
の
手
て
よりメテグアンマをとれり
2
ダビデまたモアブを
擊
う
ち
彼
かれ
らをして
地
ち
に
伏
ふさ
しめ
繩
なは
をもてかれらを
度
はか
れり
即
すなは
ち
二條
ふたすぢ
の
繩
なは
をもて
死
ころ
す
者
もの
を
度
はか
り
一條
ひとすぢ
の
繩
なは
をもて
生
いか
しおく
者
もの
を
量度
はか
るモアブ
人
びと
は
貢物
みつぎ
を
納󠄃
いれ
てダビデの
臣僕
しもべ
となれり
〘442㌻〙
3
ダビデまたレホブの
子
こ
なるゾバの
王
わう
ハダデゼルがユフラテ
河
がは
の
邊
ほとり
にて
其
その
勢
せい
を
新
あらた
にせんとて
徃
ゆけ
るを
擊
うて
り
4
しかしてダビデ
彼
かれ
より
騎兵
きへい
千
せん
七
百
ひやく
人
にん
步
ほ
兵
へい
二
萬人
まんにん
を
取
と
りまたダビデ
一
いつ
百
ぴやく
の
車
くるま
の
馬
うま
を
存
のこ
して
其
その
餘
ほか
の
車
くるま
馬
うま
は
皆
みな
其
その
筋
すぢ
を
切斷
きれ
り
5
ダマスコのスリア
人
びと
ゾバの
王
わう
ハダデゼルを
援
たすけ
んとて
來
きた
りければダビデ、スリア
人
びと
二
萬
まん
二
千
せん
を
殺
ころ
せり
6
しかしてダビデ、ダマスコのスリアに
代
だい
官
くわん
を
置
お
きぬスリア
人
びと
は
貢物
みつぎ
を
納󠄃
い
てダビデの
臣僕
しもべ
となれりヱホバ、ダビデを
凡
すべ
て
其
その
徃
ゆ
く
所󠄃
ところ
にて
助
たす
けたまへり
7
ダビデ、ハダデゼルの
臣僕
けらい
等
ども
の
持
もて
る
金
きん
の
楯
たて
を
奪
うば
ひてこれをエルサレムに
携
もち
きたる
8
ダビデ
王
わう
又󠄂
また
ハダデゼルの
邑
まち
ベタとベロタより
甚
はなは
だ
多
おほ
くの
銅
あかがね
を
取
とれ
り
9
時
とき
にハマテの
王
わう
トイ、ダビデがハダデゼルの
總
すべて
の
軍
ぐん
を
擊破
うちやぶ
りしを
聞
きゝ
て
10
トイ
其
その
子
こ
ヨラムをダビデ
王
わう
につかはし
安否
あんぴ
を
問
と
ひかつ
祝
いはひ
を
宣
のべ
しむ
其
そ
はハダデゼル
甞
かつ
てトイと
戰
たたかひ
を
爲
な
したるにダビデ、ハダデゼルとたたかひてこれを
擊
うち
やぶりたればなりヨラム
銀
ぎん
の
器
うつは
と
金
きん
の
器
うつは
と
銅
あかがね
の
器
うつは
を
携
たづさ
へ
來
きた
りければ
11
ダビデ
王
わう
其
その
攻
せ
め
伏
ふ
せたる
諸
もろ〳〵
の
國民
くにたみ
の
中
うち
より
取
と
りて
納󠄃
をさ
めたる
金銀
きんぎん
と
共
とも
に
是等
これら
をもヱホバに
納󠄃
をさ
めたり
12
即
すなは
ちエドムよりモアブよりアンモンの
子孫
ひと〴〵
よりペリシテ
人
びと
よりアマレクよりえたる
物
もの
およびゾバの
王
わう
レホブの
子
こ
ハダデゼルより
得
え
たる
掠取物
ぶんどりもの
とともにこれを
納󠄃
をさ
めたり
13
ダビデ
鹽
しほの
谷
たに
にてエドム
人
びと
一
萬
まん
八
千
せん
を
擊
うち
て
歸
かへり
て
名譽
ほまれ
を
得
え
たり
14
ダビデ、エドムに
代
だい
官
くわん
を
置
おけ
り
即
すなは
ちエドムの
全󠄃地
ぜんち
に
徧
あまね
く
代
だい
官
くわん
を
置
おき
てエドム
人
びと
は
皆
みな
ダビデの
臣僕
しもべ
となれりヱホバ、ダビデを
凡
すべ
て
其
その
徃
ゆ
くところにて
助
たす
け
給
たま
へり
578㌻
15
ダビデ、イスラエルの
全󠄃地
ぜんち
を
治
をさ
め
其
その
民
たみ
に
公道󠄃
おほやけ
と
正義
ただしき
を
行
おこな
ふ
16
ゼルヤの
子
こ
ヨアブは
軍
ぐん
の
長
かしら
アヒルデの
子
こ
ヨシヤバテは
史
し
官
くわん
17
アヒトブの
子
こ
ザドクとアビヤタルの
子
こ
アヒメレクは
祭司
さいし
セラヤは
書記
しよき
官
くわん
18
ヱホヤダの
子
こ
ベナヤはケレテ
人
びと
およびペレテ
人
びと
の
長
かしら
ダビデの
子等
こたち
は
大臣
だいじん
なりき
第9章
1
爰
こゝ
にダビデいひけるはサウルの
家
いへ
の
遺󠄃存
のこ
れる
者
もの
尙
なほ
あるや
我
われ
ヨナタンの
爲
ため
に
其人
そのひと
に
恩惠
めぐみ
をほどこさんと
2
サウルの
家
いへ
の
僕
しもべ
なるヂバと
名
なづ
くる
者
もの
ありければかれをダビデの
許
もと
に
召
めし
きたるに
王
わう
かれにいひけるは
汝
なんぢ
はヂバなるか
彼
かれ
いふ
僕
しもべ
是
これ
なり
3
王
わう
いひけるは
尙
なほ
サウルの
家
いへ
の
者
もの
あるか
我
われ
其人
そのひと
に
神
かみ
の
恩惠
めぐみ
をほどこさんとすヂバ
王
わう
にいひけるはヨナタンの
子
こ
尙
なほ
あり
跛足
あしなへ
なり
〘443㌻〙
4
王
わう
かれにいひけるは
其人
そのひと
は
何處
いづく
にをるやヂバ
王
わう
にいひけるはロデバルにてアンミエルの
子
こ
マキルの
家
いへ
にをる
5
ダビデ
王
わう
人
ひと
を
遣󠄃
つか
はしてロデバルより
即
すなは
ちアンミエルの
子
こ
マキルの
家
いへ
よりかれを
携
つれ
來
きた
らしむ
6
サウルの
子
こ
ヨナタンの
子
こ
なるメピボセテ、ダビデの
所󠄃
ところ
に
來
きた
り
伏
ふし
て
拜
はい
せりダビデ、メピボセテよといひければ
答
こたへ
て
僕
しもべ
此
こゝ
にありと
曰
い
ふ
7
ダビデかれにいひけるは
恐
おそ
るるなかれ
我
われ
必
かなら
ず
汝
なんぢ
の
父󠄃
ちゝ
ヨナタンの
爲
ため
に
恩惠
めぐみ
を
汝
なんぢ
にしめさん
我
われ
汝
なんぢ
の
父󠄃
ちゝ
サウルの
地
ち
を
悉
こと〴〵
く
汝
なんぢ
に
復
かへ
すべし
又󠄂
また
汝
なんぢ
は
恒
つね
に
我
わが
席
せき
において
食󠄃
くら
ふべしと
8
かれ
拜
はい
して
言
いひ
けるは
僕
しもべ
何
なに
なればか
汝
なんぢ
死
しに
たる
犬
いぬ
のごとき
我
われ
を
眷顧󠄃
かへりみ
たまふ
9
王
わう
サウルの
僕
しもべ
ヂバを
呼
よび
てこれにいひけるは
凡
すべ
てサウルとその
家
いへ
の
物
もの
は
我
われ
皆
みな
汝
なんぢ
の
主人
しゆじん
の
子
こ
にあたへたり
10
汝
なんぢ
と
汝
なんぢ
の
子等
こども
と
汝
なんぢ
の
僕
けらい
かれのために
地
ち
を
耕
たが
へして
汝
なんぢ
の
主人
しゆじん
の
子
こ
に
食󠄃
くら
ふべき
食󠄃物
しよくもつ
を
取
と
りきたるべし
但
たゞ
し
汝
なんぢ
の
主人
しゆじん
の
子
こ
メピボセテは
恒
つね
に
我
わが
席
せき
において
食󠄃
くら
ふべしとヂバは十五
人
にん
の
子
こ
と二十
人
にん
の
僕
けらい
あり
579㌻
11
ヂバ
王
わう
にいひけるは
總
すべ
て
王
わう
わが
主
しゆ
の
僕
しもべ
に
命
めい
じたまひしごとく
僕
しもべ
なすべしとメピボセテは
王
わう
の
子
こ
の
一人
ひとり
のごとくダビデの
席
せき
にて
食󠄃
くら
へり
12
メピボセテに
一人
ひとり
の
若
わか
き
子
こ
あり
其
その
名
な
をミカといふヂバの
家
いへ
に
住󠄃
すめ
る
者
もの
は
皆
みな
メピボセテの
僕
けらい
なりき
13
メピボセテはエルサレムに
住󠄃
す
みたり
其
そ
はかれ
恒
つね
に
王
わう
の
席
せき
にて
食󠄃
くら
ひたればなりかれは
兩
ふたつ
の
足
あし
ともに
跛
なへ
たる
者
もの
なり
第10章
1
此
この
後
のち
アンモンの
子孫
ひと〴〵
の
王
わう
死
しに
て
其
その
子
こ
ハヌン
之
これ
に
代
かは
りて
位
くらゐ
に
即
つ
く
2
ダビデ
我
われ
ナハシの
子
こ
ハヌンにその
父󠄃
ちゝ
の
我
われ
に
恩惠
めぐみ
を
示
しめ
せしごとく
恩惠
めぐみ
を
示
しめ
さんといひてダビデかれを
其
その
父󠄃
ちゝ
の
故
ゆゑ
によりて
慰
なぐさ
めんとて
其
その
僕
けらい
を
遣󠄃
つかは
せりダビデの
僕
けらい
アンモンの
子孫
ひと〴〵
の
地
ち
にいたるに
3
アンモンの
子孫
ひと〴〵
の
諸伯
きみたち
其
その
主
しゆ
ハヌンにいひけるはダビデ
慰
なぐさむる
者
もの
を
汝
なんぢ
に
遣󠄃
つか
はしたるによりて
彼
かれ
汝
なんぢ
の
父󠄃
ちゝ
を
崇
たふと
むと
汝
なんぢ
の
目
め
に
見
み
ゆるやダビデ
此
この
城邑
まち
を
窺
うかゞ
ひこれを
探
さぐ
りて
陷
おとし
いれんために
其
その
僕
けらい
を
汝
なんぢ
に
遣󠄃
つか
はせるにあらずや
4
是
こゝ
においてハヌン、ダビデの
僕
しもべ
を
執
とら
へ
其
その
鬚
ひげ
の
半󠄃
なかば
を
剃
そ
り
落
おと
し
其
その
衣服󠄃
ころも
を
中
なか
より
斷
たち
て
股
もゝ
までにしてこれを
歸
かへ
せり
5
人々
ひと〴〵
これをダビデに
吿
つげ
たればダビデ
人
ひと
を
遣󠄃
つか
はしてかれらを
迎󠄃
むか
へしむ
其
その
人々
ひと〴〵
大
おほい
に
恥
はぢ
たればなり
即
すなは
ち
王
わう
いふ
汝
なんぢ
ら
鬚
ひげ
の
長
のび
るまでヱリコに
止
とゞ
まりて
然
しか
るのち
歸
かへ
るべしと
6
アンモンの
子孫
ひと〴〵
自己
おのれ
のダビデに
惡
にく
まるるを
見
し
しかばアンモンの
子孫
ひと〴〵
人
ひと
を
遣󠄃
つか
はしてベテレホブのスリア
人
びと
とゾバのスリア
人
びと
の
步
ほ
兵
へい
二
萬人
まんにん
およびマアカの
王
わう
より
一
いつ
千
せん
人
にん
トブの
人
ひと
より一
萬
まん
二
千
せん
人
にん
を
雇
やとひ
いれたり
〘444㌻〙
7
ダビデ
聞
きゝ
てヨアブと
勇士
ゆうし
の
惣軍
そうぐん
を
遣󠄃
つか
はせり
8
アンモンの
子孫
ひと〴〵
出
いで
て
門
もん
の
入
いり
口
くち
に
軍
いくさ
の
陣列
そなへ
をなしたりゾバとレホブのスリア
人
びと
およびトブの
人
ひと
とマアカの
人
ひと
は
別
べつ
に
野
の
に
居
を
り
9
ヨアブ
戰
たたかひ
の
前󠄃
ぜん
後
ご
より
己
おのれ
に
向
むか
ふを
見
み
てイスラエルの
選󠄄拔
えりぬき
の
兵
つはもの
の
中
うち
を
選󠄄
えら
みてこれをスリア
人
びと
に
對
むか
ひて
備
そな
へしめ
580㌻
10
其
その
餘
ほか
の
民
たみ
をば
其
その
兄弟
きやうだい
アビシヤイの
手
て
に
交
わた
してアンモンの
子孫
ひと〴〵
に
向
むかひ
て
備
そな
へしめて
11
いひけるは
若
もし
スリア
人
びと
我
われ
に
手
て
强
ごは
からば
汝
なんぢ
我
われ
を
助
たす
けよ
若
もし
アンモンの
子孫
ひと〴〵
汝
なんぢ
に
手
て
剛
ごは
からば
我
われ
ゆきて
汝
なんぢ
をたすけん
12
汝
なんぢ
勇
いさ
ましくなれよ
我
われ
ら
民
たみ
のためとわれらの
神
かみ
の
諸邑
まち〳〵
のために
勇
いさま
しく
爲
なさ
んねがはくはヱホバ
其
その
目
め
によしと
見
み
ゆるところをなしたまへ
13
ヨアブ
己
おのれ
と
共
とも
に
在
あ
る
民
たみ
と
共
とも
にスリア
人
びと
にむかひて
戰
たたかは
んとて
近󠄃
ちか
づきければスリア
人
びと
彼
かれ
のまへより
逃󠄄
にげ
たり
14
アンモンの
子孫
ひと〴〵
スリア
人
びと
の
逃󠄄
にげ
たるを
見
み
て
亦
また
自己
おのれ
等
ら
もアビシヤイのまへより
逃󠄄
にげ
て
城邑
まち
にいりぬヨアブすなはちアンモンの
子孫
ひと〴〵
の
所󠄃
ところ
より
還󠄃
かへ
りてエルサレムにいたる
15
スリア
人
びと
其
その
イスラエルのまへに
敗
やぶ
れたるを
見
み
て
俱
とも
にあつまれり
16
ハダデゼル
人
ひと
をやりて
河
かは
の
前󠄃岸
むかふ
にをるスリア
人
びと
を
將
ひき
ゐ
出
いだ
して
皆
みな
ヘラムにきたらしむハダデゼルの
軍
ぐん
の
長
かしら
シヨバクかれらを
率󠄃
ひき
ゐたり
17
其
その
事
こと
ダビデに
聞
きこ
えければ
彼
かれ
イスラエルを
悉
こと〴〵
く
集
あつ
めてヨルダンを
渉
わた
りてヘラムに
來
きた
れりスリア
人
びと
ダビデに
向
むか
ひて
備
そな
へ
之
これ
と
戰
たゝか
ふ
18
スリア
人
びと
イスラエルのまへより
逃󠄄
にげ
ければダビデ、スリアの
兵車
いくさぐるま
の
人
ひと
七
百
ひやく
騎兵
きへい
四
萬
まん
を
殺
ころ
し
又󠄂
また
其
その
軍
ぐん
の
長
かしら
シヨバクを
擊
うち
てこれを
其所󠄃
そこ
に
死
しな
しめたり
19
ハダデゼルの
臣
しん
なる
王等
わうたち
其
その
イスラエルのまへに
壞
やぶ
れたるを
見
み
てイスラエルと
平󠄃和
やはらぎ
をなして
之
これ
に
事
つか
へたり
斯
かく
スリア
人
びと
は
恐
おそ
れて
再
ふたゝ
びアンモンの
子孫
ひと〴〵
を
助
たす
くることをせざりき
第11章
1
年
とし
歸
かへ
りて
王等
わうたち
の
戰
たたかひ
に
出
いづ
る
時
とき
におよびてダビデ、ヨアブおよび
自己
おのれ
の
臣僕
けらい
並
ならび
にイスラエルの
全󠄃
ぜん
軍
ぐん
を
遣󠄃
つか
はせり
彼等
かれら
アンモンの
子孫
ひと〴〵
を
滅
ほろ
ぼしてラバを
圍
かこ
めりされどダビデはエルサレムに
止
とゞま
りぬ
2
爰
こゝ
に
夕
ゆふ
暮
ぐれ
にダビデ
其
その
床
とこ
より
興
お
きいでて
王
わう
の
家
いへ
の
屋蓋
やね
のうへに
步
あゆ
みしが
屋蓋
やね
より
一人
ひとり
の
婦󠄃人
をんな
の
體
からだ
をあらふを
見
み
たり
其
その
婦󠄃
をんな
は
觀
み
るに
甚
はなは
だ
美
うつく
し
3
ダビデ
人
ひと
を
遣󠄃
つかは
して
婦󠄃人
をんな
を
探
さぐ
らしめしに
或
ある
人
ひと
いふ
此
これ
はエリアムの
女
むすめ
ハテシバにてヘテ
人
びと
ウリヤの
妻
つま
なるにあらずやと
〘445㌻〙
581㌻
4
ダビデ
乃
すなは
ち
使者
つかひ
を
遣󠄃
つか
はして
其
その
婦󠄃
をんな
を
取
と
る
婦󠄃
をんな
彼
かれ
に
來
きた
りて
彼
かれ
婦󠄃
をんな
と
寢
いね
たりしかして
婦󠄃
をんな
其
その
不潔󠄄
けがれ
を
淸
きよ
めて
家
いへ
に
歸
かへ
りぬ
5
かくて
婦󠄃
をんな
孕
はら
みければ
人
ひと
をつかはしてダビデに
吿
つげ
ていひけるは
我
わが
子
こ
を
孕
はら
めりと
6
是
こゝ
においてダビデ
人
ひと
をヨアブにつかはしてヘテ
人
びと
ウリヤを
我
われ
に
遣󠄃
つか
はせといひければヨアブ、ウリヤをダビデに
遣󠄃
つか
はせり
7
ウリヤ、ダビデにいたりしかばダビデこれにヨアブの
如何
いか
なると
民
たみ
の
如何
いか
なると
戰爭
たたかひ
の
如何
いか
なるを
問
と
ふ
8
しかしてダビデ、ウリヤにいひけるは
汝
なんぢ
の
家
いへ
に
下
くだ
りて
足
あし
を
洗
あら
へとウリヤ
王
わう
の
家
いへ
を
出
いづ
るに
王
わう
の
贈物
おくりもの
其
その
後
うしろ
に
從
したが
ひてきたる
9
然
され
どウリヤは
王
わう
の
家
いへ
の
門
もん
に
其
その
主
しゆ
の
僕
しもべ
等
ら
とともに
寢
いね
ておのれの
家
いへ
にくだりいたらず
10
人々
ひと〴〵
ダビデに
吿
つげ
てウリヤ
其
その
家
いへ
にくだり
至
いた
らずといひければダビデ、ウリヤにいひけるは
汝
なんぢ
は
旅
たび
路
ぢ
をなして
來
きた
れるにあらずや
何故
なにゆゑ
に
自己
おのれ
の
家
いへ
にくだらざるや
11
ウリヤ、ダビデにいひけるは
櫃
はこ
とイスラエルとユダは
小屋
こや
の
中
うち
に
住󠄃
とゞ
まりわが
主
しゆ
ヨアブとわが
主
しゆ
の
僕
けらい
は
野
の
の
表
おもて
に
陣
ぢん
を
取
と
るに
我
われ
いかでわが
家
いへ
にゆきて
食󠄃
くら
ひ
飮
のみ
しまた
妻
つま
と
寢
いね
べけけんや
汝
なんぢ
は
生
いく
また
汝
なんぢ
の
靈魂
たましひ
は
活
い
く
我
われ
此事
このこと
をなさじ
12
ダビデ、ウリヤにいふ
今日
けふ
も
此
こゝ
にとゞまれ
明日
あす
我
われ
汝
なんぢ
を
去
さら
しめんとウリヤ
其
その
日
ひ
と
次
つぎ
の
日
ひ
エルサレムにとゞまりしが
13
ダビデかれを
召
めし
て
其
その
まへに
食󠄃
く
ひ
飮
のみ
せしめダビデかれを
醉
ゑは
しめたり
晩
よひ
にいたりて
彼
かれ
出
いで
て
其
その
床
とこ
に
其
その
主
しゆ
の
僕
しもべ
と
共
とも
に
寢
いね
たりされどおのれの
家
いへ
にはくだりゆかざりき
14
朝󠄃
あさ
におよびてダビデ、ヨアブヘの
書
ふみ
を
認󠄃
したた
めて
之
これ
をウリヤの
手
て
によりて
遣󠄃
おく
れり
15
ダビデ
其
その
書
ふみ
に
書
しるし
ていはく
汝
なんぢ
らウリヤを
烈
はげ
しき
戰
たたかひ
の
先鉾
さき
にいだしてかれの
後
うしろ
より
退󠄃
しりぞ
きて
彼
かれ
をして
戰死
うちじに
せしめよ
16
是
こゝ
においてヨアブ
城邑
まち
を
窺
うかゞ
ひてウリヤをば
其
その
勇士
ゆうし
の
居
を
ると
知
し
る
所󠄃
ところ
に
置
おけ
り
17
城邑
まち
の
人
ひと
出
いで
てヨアブと
戰
たゝか
ひしかばダビデの
僕
けらい
の
中
うち
の
數人
すうにん
仆
たふ
れヘテ
人
びと
ウリヤも
死
し
り
18
ヨアブ
人
ひと
をつかはして
軍
いくさ
の
事
こと
を
悉
こと〴〵
くダビデに
吿
つ
げしむ
19
ヨアブ
其
その
使者
つかひ
に
命
めい
じていひけるは
汝
なんぢ
が
軍
いくさ
の
事
こと
を
皆
みな
王
わう
に
語
かた
り
終󠄃
をへ
しとき
582㌻
20
王
わう
もし
怒
いか
りを
發
おこ
して
汝
なんぢ
に
汝
なんぢ
らなんぞ
戰
たゝか
はんとて
城邑
まち
に
近󠄃
ちか
づきしや
汝
なんぢ
らは
彼
かれ
らが
石墻
いしがき
の
上
うへ
より
射
い
ることを
知
し
らざりしや
21
ヱルベセテの
子
こ
アビメレクを
擊
うち
し
者
もの
は
誰
たれ
なるや
一人
ひとり
の
婦󠄃
をんな
が
石垣
いしがき
の
上
うへ
より
磨
うす
の
上
うは
石
いし
を
投
なげ
て
彼
かれ
をテベツに
殺
ころ
せしにあらずや
何
なん
ぞ
汝
なんぢ
ら
城垣
いじがき
に
近󠄃
ちか
づきしやと
言
い
はば
汝
なんぢ
言
いふ
べし
汝
なんぢ
の
僕
けらい
ヘテ
人
びと
ウリヤもまた
死
しね
りと
〘446㌻〙
22
使者
つかひ
ゆきてダビデにいたりヨアブが
遣󠄃
つか
はしたるところのことをことごとく
吿
つ
げたり
23
使者
つかひ
ダビデにいひけるは
敵
てき
我儕
われら
に
手
て
强
ごは
かりしが
城外
そと
にいでて
我儕
われら
にいたりしかば
我儕
われら
これに
迫󠄃
せま
りて
門
もん
の
入
いり
口
くち
にまでいたれり
24
時
とき
に
射手
いて
の
者
もの
城垣
いしがき
の
上
うへ
より
汝
なんぢ
の
僕
けらい
を
射
い
たりければ
王
わう
の
僕
けらい
の
或
ある
者
もの
死
し
に
亦
また
汝
なんぢ
の
僕
けらい
ヘテ
人
びと
ウリヤも
死
しね
りと
25
ダビデ
使者
つかひ
にいひけるは
斯
かく
汝
なんぢ
ヨアブに
言
いふ
べし
此事
このこと
を
憂
うれ
ふるなかれ
刀劍
かたな
は
此
これ
をも
彼
かれ
をも
同
おな
じく
殺
ころ
すなり
强
つよ
く
城邑
まち
を
攻
せめ
て
戰
たゝか
ひ
之
これ
を
陷
おとし
いるべしと
汝
なんぢ
かくヨアブを
勵
はげ
ますべし
26
ウリヤの
妻
つま
其
その
夫
をつと
ウリヤの
死
しに
たるを
聞
きゝ
て
夫
をつと
のために
悲哀
かなしめ
り
27
其
その
喪
も
の
過󠄃
すぎ
し
時
とき
ダビデ
人
ひと
を
遣󠄃
つか
はしてかれをおのれの
家
いへ
に
召
めし
いる
彼
かれ
すなはちその
妻
つま
となりて
男子
をとこのこ
を
生
うめ
り
但
たゞ
しダビデの
爲
なし
たる
此事
このこと
はヱホバの
目
め
に
惡
あし
かりき
第12章
1
ヱホバ、ナタンをダビデに
遣󠄃
つか
はしたまへば
彼
かれ
ダビデに
至
いた
りてこれにいひけるは
一
ひとつ
の
邑
まち
に
二箇
ふたり
の
人
ひと
あり
一
ひとり
は
富
とみ
て
一
ひとり
は
貧󠄃
まづ
し
2
其
その
富者
とめるもの
は
甚
はなは
だ
多
おほ
くの
羊
ひつじ
と
牛
うし
を
有
もて
り
3
されど
貧󠄃者
まづしきもの
は
唯
たゞ
自己
おのれ
の
買
かひ
て
育
そだ
てたる
一
ひとつ
の
小
ちひさ
き
牝
め
羔
ひつじ
の
外
ほか
は
何
なに
をも
有
もた
ざりき
其
その
牝
め
羔
ひつじ
彼
かれ
およびかれの
子女
こども
とともに
生長
そだ
ちかれの
食󠄃物
くひもの
を
食󠄃
くら
ひかれの
椀
わん
に
飮
の
みまた
彼
かれ
の
懷
ふところ
に
寢
いね
て
彼
かれ
には
女子
むすめ
のごとくなりき
4
時
とき
に
一人
ひとり
の
旅人
たびゞと
其
その
富
とめ
る
人
ひと
の
許
もと
に
來
きた
りけるが
彼
かれ
おのれの
羊
ひつじ
と
牛
うし
の
中
うち
を
取
と
りてそのおのれに
來
きた
れる
旅人
たびゞと
のために
烹
にる
を
惜
をし
みてかの
貧󠄃
まづし
き
人
ひと
の
牝
め
羔
ひつじ
を
取
と
りて
之
これ
をおのれに
來
きた
れる
人
ひと
のために
烹
に
たり
5
ダビデ
其人
そのひと
の
事
こと
を
大
おほい
に
怒
いか
りてナタンにいひけるはヱホバは
生
い
く
誠
まこと
に
此
これ
をなしたる
人
ひと
は
死
しぬ
べきなり
583㌻
6
且
かつ
彼
かれ
此事
このこと
をなしたるに
因
よ
りまた
憐憫
あはれ
まざりしによりて
其
その
牝
め
羔
ひつじ
を
四
し
倍
ばい
になして
償
つくな
ふべし
7
ナタン、ダビデにいひけるは
汝
なんぢ
は
其人
そのひと
なりイスラエルの
神
かみ
ヱホバ
斯
かく
いひたまふ
我
われ
汝
なんぢ
に
膏
あぶら
を
沃
そゝ
いでイスラエルの
王
わう
となし
我
われ
汝
なんぢ
をサウルの
手
て
より
救
すく
ひいだし
8
汝
なんぢ
に
汝
なんぢ
の
主人
しゆじん
の
家
いへ
をあたへ
汝
なんぢ
の
主人
しゆじん
の
諸妻
つまたち
を
汝
なんぢ
の
懷
ふところ
に
與
あた
へまたイスラエルとユダの
家
いへ
を
汝
なんぢ
に
與
あた
へたり
若
も
し
少
すくな
からば
我
われ
汝
なんぢ
に
種々
いろ〳〵
の
物
もの
を
增
まし
くはへしならん
9
何
なん
ぞ
汝
なんぢ
ヱホバの
言
ことば
を
藐視
かろん
じて
其
その
目
め
のまへに
惡
あく
をなせしや
汝
なんぢ
刃󠄃劍
かたな
をもてヘテ
人
びと
ウリヤを
殺
ころ
し
其
その
妻
つま
をとりて
汝
なんぢ
の
妻
つま
となせり
即
すなは
ちアンモンの
子孫
ひと〴〵
の
劍
かたな
をもて
彼
かれ
を
斬
きり
殺
ころ
せり
10
汝
なんぢ
我
われ
を
輕
かろ
んじてヘテ
人
びと
ウリヤの
妻
つま
をとり
汝
なんぢ
の
妻
つま
となしたるに
因
より
て
劍
かたな
何時
いつ
までも
汝
なんぢ
の
家
いへ
を
離
はな
るることなかるべし
11
ヱホバ
斯
かく
いひたまふ
視
み
よ
我
われ
汝
なんぢ
の
家
いへ
の
中
うち
より
汝
なんぢ
の
上
うへ
に
禍
わざはひ
を
起󠄃
おこ
すべし
我
われ
汝
なんぢ
の
諸妻
つまら
を
汝
なんぢ
の
目
め
のまへに
取
とり
て
汝
なんぢ
の
隣人
となり
に
與
あた
へん
其人
そのひと
此
この
日
ひ
のまへにて
汝
なんぢ
の
諸妻
つまら
とともに
寢
いね
ん
〘447㌻〙
12
其
そ
は
汝
なんぢ
は
密
ひそか
に
事
こと
をなしたれど
我
われ
はイスラエルの
衆
ひと〴〵
のまへと
日
ひ
のまへに
此事
このこと
をなすべければなりと
13
ダビデ、ナタンにいふ
我
われ
ヱホバに
罪
つみ
を
犯
をか
したりナタン、ダビデにいひけるはヱホバまた
汝
なんぢ
の
罪
つみ
を
除
のぞ
きたまへり
汝
なんぢ
死
しな
ざるべし
14
されど
汝
なんぢ
此
この
所󠄃行
わざ
によりてヱホバの
敵
てき
に
大
おほい
なる
罵
のゝし
る
機會
をり
を
與
あた
へたれば
汝
なんぢ
に
生
うま
れし
其
その
子
こ
必
かなら
ず
死
しぬ
べしと
15
かくてナタン
其
その
家
いへ
にかへれり
爰
こゝ
にヱホバ、ウリヤの
妻
つま
がダビデに
生
うめ
る
子
こ
を
擊
うち
たまひければ
痛
いた
く
疾
や
めり
16
ダビデ
其
その
子
こ
のために
神
かみ
に
乞
こひ
求
もと
む
即
すなは
ちダビデ
斷食󠄃
だんじき
して
入
い
り
終󠄃夜
よもすがら
地
ち
に
臥
ふ
したり
17
ダビデの
家
いへ
の
年
とし
寄
より
等
たち
彼
かれ
の
傍
かたはら
に
立
た
ちてかれを
地
ち
より
起󠄃
たゝ
しめんとせしかども
彼
かれ
肯
がへん
ぜず
又󠄂
また
かれらとともに
食󠄃
しよく
を
爲
なさ
ざりき
18
第七日
なぬかめ
に
其
その
子
こ
死
しね
りダビデの
僕
しもべ
其
その
子
こ
の
死
しに
たることをダビデに
吿
つぐ
ることを
恐
おそ
れたりかれらいひけるは
子
こ
の
尙
なほ
生
いけ
る
間
あひだ
に
我儕
われら
彼
かれ
に
語
いひ
たりしに
彼
かれ
我儕
われら
の
言
ことば
を
聽
きゝ
いれざりき
如何
いかん
ぞ
彼
かれ
に
其
その
子
こ
の
死
しに
たるを
吿
つ
ぐべけんや
彼
かれ
害󠄅
がい
を
爲
なさ
んと
584㌻
19
然
しかる
にダビデ
其
その
僕
しもべ
の
私語
ささや
くを
見
み
てダビデ
其
その
子
こ
の
死
しに
たるを
曉
さと
れりダビデ
乃
すなは
ち
其
その
僕
しもべ
に
子
こ
は
死
しに
たるやといひければかれら
死
しね
りといふ
20
是
こゝ
においてダビデ
地
ち
よりおきあがり
身
み
を
洗
あら
ひ
膏
あぶら
をぬり
其
その
衣服󠄃
ころも
を
更
かへ
てヱホバの
家
いへ
にいりて
拜
はい
し
自己
おのれ
の
家
いへ
に
至
いた
り
求
もと
めておのれのために
食󠄃
しよく
を
備
そな
へしめて
食󠄃
くら
へり
21
僕
しもべ
等
ら
彼
かれ
にいひけるは
此
こ
の
汝
なんぢ
がなせる
所󠄃
ところ
は
何事
なにごと
なるや
汝
なんぢ
子
こ
の
生
いけ
るあひだはこれがために
斷食󠄃
だんじき
して
哭
な
きながら
子
こ
の
死
しね
る
時
とき
に
汝
なんぢ
は
起󠄃
おき
て
食󠄃
しよく
を
爲
な
すと
22
ダビデいひけるは
嬰孩
こ
の
尙
なほ
生
いけ
るあひだにわが
斷食󠄃
だんじき
して
哭
な
きたるは
我
われ
誰
たれ
かヱホバの
我
われ
を
憐
あはれ
れみて
此
この
子
こ
を
生
いか
しめたまふを
知
しら
んと
思
おも
ひたればなり
23
されど
今
いま
死
しに
たれば
我
われ
なんぞ
斷食󠄃
だんじき
すべけんや
我
われ
再
ふたゝ
びかれをかへらしむるを
得
え
んや
我
われ
かれの
所󠄃
ところ
に
徃
ゆく
べけれど
彼
かれ
は
我
われ
の
所󠄃
ところ
にかへらざるべし
24
ダビデ
其
その
妻
つま
バテシバを
慰
なぐさ
めかれの
所󠄃
ところ
にいりてかれとともに
寢
いね
たりければ
彼
かれ
男子
をとこのこ
を
生
うめ
りダビデ
其
その
名
な
をソロモンと
呼
よ
ぶヱホバこれを
愛
あい
したまひて
25
預言者
よげんしや
ナタンを
遣󠄃
つか
はし
其
その
名
な
をヱホバの
故
ゆゑ
によりてヱデデア(ヱホバの
愛
あい
する
者
もの
)と
名
なづ
けしめたまふ
26
爰
こゝ
にヨアブ、アンモンの
子孫
ひと〴〵
のラバを
攻
せ
めて
王城
みやこ
を
取
と
れり
27
ヨアブ
使者
つかひ
をダビデにつかはしていひけるは
我
われ
ラバを
攻
せめ
て
水
みづ
城
まち
を
取
と
れり
28
されば
汝
なんぢ
今
いま
餘
のこり
の
民
たみ
を
集
あつ
め
斯
この
城
まち
に
向
むかひ
て
陣
ぢん
どりて
之
これ
を
取
と
れ
恐
おそ
らくは
我
われ
此
この
城
まち
を
取
とり
て
人
ひと
我
わが
名
な
をもて
之
これ
を
呼
よぶ
にいたらんと
〘448㌻〙
29
是
こゝ
においてダビデ
民
たみ
を
悉
こと〴〵
くあつめてラバにゆき
攻
せめ
て
之
これ
を
取
とれ
り
30
しかしてダビデ、アンモン
王
わう
の
冕
かんむり
を
其
その
首
かうべ
より
取
とり
はなしたり
其
その
金
きん
の
重
おもさ
は
一
いち
タラントなりまた
寶
はう
石
せき
を
嵌
いれ
たりこれをダビデの
首
かうべ
に
置
おく
ダビデ
其
その
邑
まち
の
掠取物
ぶんどりもの
を
甚
はなは
だ
多
おほ
く
持
もち
出
いだ
せり
31
かくてダビデ
其
その
中
うち
の
民
たみ
を
將
ひき
いだしてこれを
鋸
のこぎり
と
鐵
てつ
の
千齒
せんば
と
鐵
てつ
の
斧
をの
にて
斬
き
りまた
瓦陶
かはらやきがま
の
中
なか
を
通󠄃行
とほら
しめたり
彼
かれ
斯
かく
のごとくアンモンの
子孫
ひと〴〵
の
凡
すべ
ての
城邑
まち
になせりしかしてタビデと
民
たみ
は
皆
みな
エルサレムに
還󠄃
かへ
りぬ
585㌻
第13章
1
此
この
後
のち
ダビデの
子
こ
アブサロムにタマルと
名
なづ
くる
美
うつく
しき
妹
いもうと
ありしがダビデの
子
こ
アムノンこれを
戀
こ
ひたり
2
アムノン
心
こゝろ
を
苦
くる
しめて
遂󠄅
つひ
に
其
その
姉妹
しまい
タマルのためにわづらへり
其
そ
はタマルは
處女
をとめ
なりければアムノンかれに
何事
なにごと
をも
爲
な
しがたしと
思
おも
ひたればなり
3
然
しか
るにアムノンに
一人
ひとり
の
朋友
とも
ありダビデの
兄弟
きやうだい
シメアの
子
こ
にして
其
その
名
な
をヨナダブといふヨナダブに
甚
はなは
だ
有智
かしこ
き
人
ひと
なり
4
彼
かれ
アムノンにいひけるは
汝
なんぢ
王
わう
の
子
こ
なんぞ
日
ひ
に
日
ひ
に
斯
か
く
痩
やせ
ゆくや
汝
なんぢ
我
われ
に
吿
つげ
ざるやアムノン
彼
かれ
にいひけるは
我
われ
わが
兄弟
きやうだい
アブサロムの
妹
いもうと
タマルを
戀
こ
ふ
5
ヨナダブかれにいひけるは
床
とこ
に
臥
ふし
て
病
やまひ
と
佯
いつは
り
汝
なんぢ
の
父󠄃
ちゝ
の
來
きた
りて
汝
なんぢ
を
見
み
る
時
とき
これにいへ
請󠄃
こ
ふわが
妹
いもうと
タマルをして
來
きた
りて
我
われ
に
食󠄃
しよく
を
予
あた
へしめわが
見
み
て
彼
かれ
の
手
て
より
食󠄃
くら
ふことをうる
樣
やう
にわが
目
め
のまへにて
食󠄃物
しよくもつ
を
調理
ととのへ
しめよと
6
アムノンすなはち
臥
ふ
して
病
やまひ
と
佯
いつは
りしが
王
わう
の
來
きた
りておのれを
見
み
る
時
とき
アムノン
王
わう
にいひけるは
請󠄃
こ
ふ
吾
わが
妹
いもうと
タマルをして
來
きた
りてわが
目
め
のまへにて
二
ふたつ
の
菓
くわ
子
し
を
作
こしら
へしめて
我
われ
にかれの
手
て
より
食󠄃
くら
ふことを
得
え
さしめよと
7
是
こゝ
においてダビデ、タマルの
家
いへ
にいひつかはしけるは
汝
なんぢ
の
兄
あに
アムノンの
家
いへ
にゆきてかれのために
食󠄃物
しよくもつ
を
調理
ととのへ
よと
8
タマル
其
その
兄
あに
アムノンの
家
いへ
にいたるにアムノンは
臥
ふ
し
居
ゐ
たりタマル
乃
すなは
ち
粉
こな
をとりて
之
これ
を
摶
こね
てかれの
目
め
のまへにて
菓子
くわし
を
作
こしら
へ
其
その
菓子
くわし
を
燒
や
き
9
鍋
なべ
を
取
とり
て
彼
かれ
のまへに
傾出
あけ
たりしかれども
彼
かれ
食󠄃
くら
ふことを
否
いな
めりしかしてアムノンいひけるは
汝
なんぢ
ら
皆
みな
我
われ
を
離
はな
れていでよと
皆
みな
かれをはなれていでたり
10
アムノン、タマルにいひけるは
食󠄃物
しよくもつ
を
寢室
ねや
に
持
もち
きたれ
我
われ
汝
なんぢ
の
手
て
より
食󠄃
くら
はんとタマル
乃
すなは
ち
己
おのれ
の
作
つく
りたる
菓子
くわし
を
取
と
りて
寢室
ねや
に
持
もち
ゆきて
其
その
兄
あに
アムノンにいたる
11
タマル
彼
かれ
に
食󠄃
くらは
しめんとて
近󠄃
ちか
く
持
もち
いたれる
時
とき
彼
かれ
タマルを
執
とら
へて
之
これ
にいひけるは
妹
いもうと
よ
來
きた
りて
我
われ
と
寢
いね
よ
〘449㌻〙
586㌻
12
タマルかれにいひける
否
いな
兄
あに
上
うへ
よ
我
われ
を
辱
はづか
しむるなかれ
是
かく
のごとき
事
こと
はイスラエルに
行
おこな
はれず
汝
なんぢ
此
この
愚
おろか
なる
事
こと
をなすべからず
13
我
われ
は
何處
いづく
にわが
恥辱
はぢ
を
棄
すて
んか
汝
なんぢ
はイスラエルの
愚
ぐ
人
じん
の
一人
ひとり
となるべしされば
請󠄃
こ
ふ
王
わう
に
語
かた
れ
彼
かれ
我
われ
を
汝
なんぢ
に
予
あたへ
ざることなかるべしと
14
然
しかれ
どもアムノン
其
その
言
ことば
を
聽
きか
ずしてタマルよりも
力
ちから
ありければタマルを
辱
はづか
しめてこれと
偕
とも
に
寢
いね
たりしが
15
遂󠄅
つひ
にアムノン
甚
はなは
だ
深
ふか
くタマルを
惡
にく
むにいたる
其
その
かれを
惡
にく
む
所󠄃
ところ
の
惡
にく
みはかれを
戀
こ
ひたるところの
戀
こひ
よりも
大
おほい
なり
即
すなは
ちアムノンかれにいひけるは
起󠄃
たち
て
徃
ゆ
けよ
16
かれアムノンにいひけるは
我
われ
を
返󠄄
かへ
して
此
この
惡
あく
を
作
つく
るなかれ
是
こ
は
汝
なんぢ
がさきに
我
われ
になしたる
所󠄃
ところ
の
惡
あく
よりも
大
おほい
なりとしかれども
聽
きゝ
いれず
17
其
その
側
そば
に
仕
つか
ふる
少者
わかもの
を
呼
よび
ていひけるは
汝
なんぢ
此
この
女
をんな
をわが
許
もと
より
遣󠄃
おく
りいだして
其
その
後
あと
に
戶
と
を
楗
とざ
せと
18
タマル
振
ふり
袖
そで
を
着
き
ゐたり
王
わう
の
女等
ひめたち
の
處女
をとめ
なるものは
斯
かく
のごとき
衣服󠄃
ころも
をもて
粧
よそほ
ひたりアムノンの
侍者
そばづかへ
かれを
外
そと
にいだして
其
その
後
あと
に
戶
と
を
楗
とざ
せり
19
タマル
灰󠄃
はひ
を
其
その
首
かうべ
に
蒙
かむ
り
着
き
たる
振
ふり
袖
そで
を
裂
さ
き
手
て
を
首
かうべ
にのせて
呼
よば
はりつつ
去
さり
ゆけり
20
其
その
兄
あに
アブサロムかれにいひけるは
汝
なんぢ
の
兄
あに
アムノン
汝
なんぢ
と
偕
とも
に
在
あり
しや
然
され
ど
妹
いもうと
よ
默
もく
せよ
彼
かれ
は
汝
なんぢ
の
兄
あに
なり
此事
このこと
を
心
こゝろ
に
留
とむ
るなかれとかくてタマルは
其
その
兄
あに
アブサロムの
家
いへ
に
凄
さみ
しく
住󠄃
す
み
居
を
れり
21
ダビデ
王
わう
是等
これら
の
事
こと
を
悉
こと〴〵
く
聞
きゝ
て
甚
はなは
だ
怒
いか
れり
22
アブサロムはアムノンにむかひて
善
よき
も
惡
あし
きも
語
いは
ざりき
其
そ
はアブサロム、アムノンを
惡
にく
みたればたり
是
こ
はかれがおのれの
妹
いもうと
タマルを
辱
はづか
しめたるに
由
よれ
り
23
全󠄃
まる
二
年
ねん
の
後
のち
アブサロム、エフライムの
邊
ほとり
なるバアルハゾルにて
羊
ひつじ
の
毛
け
を
剪
きら
しめ
居
ゐ
て
王
わう
の
諸子
こたち
を
悉
こと〴〵
く
招
まね
けり
24
アブサロム
王
わう
の
所󠄃
もと
にいりていひけるは
視
み
よ
僕
しもべ
羊
ひつじ
の
毛
け
を
剪
きら
しめをるねがはくは
王
わう
と
王
わう
の
僕
しもべ
等
たち
僕
しもべ
とともに
來
きた
りたまへ
587㌻
25
王
わう
アブサロムに
云
いひ
けるは
否
いな
わが
子
こ
よ
我儕
われら
を
皆
みな
いたらしむるなかれおそらくは
汝
なんぢ
の
費
つひえ
を
多
おほ
くせんアブサロム、ダビデを
强
し
ふしかれどもダビデ
徃
ゆく
ことを
肯
がへん
ぜずして
彼
かれ
を
祝
しゆく
せり
26
アブサロムいひけるは
若
もし
しからずば
請󠄃
こ
ふわが
兄
あに
アムノンをして
我
われ
らとともに
來
きた
らしめよ
王
わう
かれにいひけるは
彼
かれ
なんぞ
汝
なんぢ
とともにゆくべけんやと
27
されどアブサロムかれを
强
しひ
ければアムノンと
王
わう
の
諸子
こたち
を
皆
みな
アブサロムとともにゆかしめたり
28
爰
こゝ
にアブサロム
其
その
少者
わかもの
等
ら
に
命
めい
じていひけるは
請󠄃
こ
ふ
汝
なんぢ
らアムノンの
心
こゝろ
の
酒
さけ
によりて
樂
たのし
む
時
とき
を
視
み
すましてわが
汝等
なんぢら
にアムノンを
擊
う
てと
言
い
ふ
時
とき
に
彼
かれ
を
殺
ころ
せ
懼
おそ
るるなかれ
汝等
なんぢら
に
之
これ
を
命
めい
じたるは
我
われ
にあらずや
汝
なんぢ
ら
勇
いさま
しく
武
たけ
くなれと
〘450㌻〙
29
アブサロムの
少者
わかもの
等
ら
アブサロムの
命
めい
ぜしごとくアムノンになしければ
王
わう
の
諸子
こたち
皆
みな
起󠄃
たち
て
各
おの〳〵
其
その
騾馬
うま
に
乘
のり
て
逃󠄄
にげ
たり
30
彼等
かれら
が
路
みち
にある
時
とき
風
ふう
聞
ぶん
ダビデにいたりていはくアブサロム
王
わう
の
諸子
こたち
を
悉
こと〴〵
く
殺
ころ
して
一人
ひとり
も
遺󠄃
のこ
るものなしと
31
王
わう
乃
すなは
ち
起󠄃
た
ち
其
その
衣
ころも
を
裂
さ
きて
地
ち
に
臥
ふ
す
其
その
臣僕
しもべ
皆
みな
衣
ころも
を
裂
さ
て
其
その
傍
そば
にたてり
32
ダビデの
兄弟
きやうだい
シメアの
子
こ
ヨナダブ
答
こた
へていひけるは
吾
わが
主
しゆ
よ
王
わう
の
御子
みこ
等
たち
なる
少年
せうねん
を
皆
みな
殺
ころ
したりと
思
おもひ
たまふなかれアムノン
獨
ひと
り
死
しね
るのみ
彼
かれ
がアブサロムの
妹
いもうと
タマルを
辱
はづ
かしめたる
日
ひ
よりアブサロム
此事
このこと
をさだめおきたるなり
33
されば
吾
わが
主
しゆ
王
わう
よ
王
わう
の
御子
みこ
等
たち
皆
みな
死
しね
りといひて
此事
このこと
をおもひ
煩
わづら
ひたまふなかれアムノン
獨
ひとり
死
しに
たるなればなりと
34
斯
かく
てアブサロムは
逃󠄄
のが
れたり
爰
こゝ
に
守望󠄇
うかがひ
ゐたる
少者
わかもの
目
め
をあげて
視
み
たるに
視
み
よ
山
やま
の
傍
わき
よりして
己
おのれ
の
後
うしろ
の
道󠄃
みち
より
多
おほ
くの
人
ひと
來
きた
れり
35
ヨナダブ
王
わう
にいひけるは
視
み
よ
王
わう
の
御子
みこ
等
たち
來
きた
る
僕
しもべ
のいへるがごとくしかりと
36
彼
かれ
語
かた
ることを
終󠄃
をへ
し
時
とき
視
み
よ
王
わう
の
子等
こたち
來
きた
り
聲
こゑ
をあげて
哭
なけ
り
王
わう
と
其
その
僕
しもべ
等
ら
も
皆
みな
大
おほい
に
甚
いた
く
哭
なけ
り
37
偖
さて
アブサロムは
逃󠄄
にげ
てゲシユルの
王
わう
アミホデの
子
こ
タルマイにいたるダビデは
日々
ひび
其
その
子
こ
のために
悲
かなし
めり
38
アブサロム
逃󠄄
にげ
てゲシユルにゆき三
年
ねん
彼處
かしこ
に
居
ゐ
たり
588㌻
39
ダビデ
王
わう
アブサロムに
逢
あは
んと
思
おも
ひ
煩
わづ
らふ
其
そ
はアムノンは
死
しに
たるによりてダビデかれの
事
こと
はあきらめたればなり
第14章
1
ゼルヤの
子
こ
ヨアブ
王
わう
の
心
こゝろ
のアブサロムに
趣
おもむ
くを
知
し
れり
2
ヨアブ
乃
すなは
ちテコアに
人
ひと
を
遣󠄃
や
りて
彼處
かしこ
より
一人
ひとり
の
哲
かしこき
婦󠄃
をんな
を
呼
よび
きたらしめて
其
その
婦󠄃
をんな
にいひけるは
請󠄃
こ
ふ
汝
なんぢ
喪
も
にある
眞似
まね
して
喪
も
の
服󠄃
ころも
を
着
き
油
あぶら
を
身
み
にぬらず
死
しにたる
者
もの
のために
久
ひさ
しく
哀
かな
しめる
婦󠄃
をんな
のごとく
爲
な
りて
3
王
わう
の
所󠄃
ところ
にいたり
是
かく
のごとくかれに
語
かた
るべしとヨアブ
其
その
語言
ことば
をかれの
口
くち
に
授
さづ
けたり
4
テコアの
婦󠄃
をんな
王
わう
にいたり
地
ち
に
伏
ふし
て
拜
はい
し
王
わう
にいひけるは
王
わう
よ
助
たす
けたまへ
5
王
わう
婦󠄃
をんな
にひけるは
何事
なにごと
なるや
婦󠄃
をんな
いひけるは
我
われ
は
實
まこと
に
嫠
やもめ
婦󠄃
をんな
にしてわが
夫
をつと
は
死
しね
り
6
仕女
つかへめ
に
二人
ふたり
の
子
こ
あり
俱
とも
に
野
の
に
爭
あらそ
ひしが
誰
たれ
もかれらを
排
ひき
解
わくる
ものなきにより
此
これ
遂󠄅
つひ
に
彼
かれ
を
擊
うち
て
殺
ころ
せり
7
是
こゝ
において
視
み
よ
全󠄃家
ぜんか
仕女
つかへめ
に
逼
せま
りていふ
其
その
兄弟
きやうだい
を
擊
うち
殺
ころ
したる
者
もの
を
付
わた
せ
我
われ
らかれをその
殺
ころ
したる
兄弟
きやうだい
の
生命
いのち
のために
殺
ころ
さんと
斯
か
く
嗣子
よつぎ
をも
滅
ほろ
ぼし
存
のこ
れるわが
炭火
ひ
を
熄
けし
てわが
夫
をつと
の
名
な
をも
遺󠄃存
あと
をも
地
ち
の
面
おもて
に
無
なか
らしめんとす
〘451㌻〙
8
王
わう
婦󠄃
をんな
にいひけるは
汝
なんぢ
の
家
いへ
に
徃
ゆ
け
我
われ
汝
なんぢ
の
事
こと
につきて
命令
めいれい
を
下
くだ
さん
9
テコアの
婦󠄃
をんな
王
わう
にいひけるは
王
わう
わが
主
しゆ
よねがはくは
其
その
罪
つみ
は
我
われ
とわが
父󠄃
ちゝ
の
家
いへ
に
歸
かへ
して
王
わう
と
王
わう
の
位
くらゐ
には
罪
つみ
あらざれ
10
王
わう
いひけるは
誰
たれ
にても
爾
なんぢ
に
語
かた
る
者
もの
をば
我
われ
に
將
ひき
來
きた
れしかせば
彼
かれ
かさねて
爾
なんぢ
に
觸
ふる
ること
无
なか
るべし
11
婦󠄃
をんな
いひけるは
願
ねがは
くは
王
わう
爾
なんぢ
の
神
かみ
ヱホバを
憶
おぼ
えてかの
仇
あた
を
報
むく
ゆる
者
もの
をして
重
かさね
て
滅
ほろぼ
すことを
爲
なさ
しめず
我
わが
子
こ
を
斷
たつ
ことなからしめたまへと
王
わう
いひけるはヱホバは
生
い
く
爾
なんぢ
の
子
こ
の
髮毛
け
一
ひと
すぢも
地
ち
に
隕
おつ
ることなかるべし
589㌻
12
婦󠄃
をんな
いひけるは
請󠄃
こ
ふ
仕女
つかへめ
をして
一
ひと
言
こと
わが
主
しゆ
王
わう
に
言
いは
しめたまヘダビデいひけるは
言
い
ふべし
13
婦󠄃
をんな
いひけるは
爾
なんぢ
なんぞ
斯
かゝ
る
事
こと
を
神
かみ
の
民
たみ
にむかひて
思
おも
ひたるや
王
わう
此
この
言
ことば
を
言
い
ふにより
王
わう
は
罪
つみ
ある
者
もの
のごとし
其
そ
は
王
わう
その
放
はなた
れたる
者
もの
を
歸
かへ
らしめざればなり
14
抑
そも〳〵
我儕
われら
は
死
しな
ざるべからず
我儕
われら
は
地
ち
に
潟
こぼ
れたる
水
みづ
の
再
ふたゝ
び
聚
あつま
る
能
あた
はざるがごとし
神
かみ
は
生命
いのち
を
取
と
りたまはず
方法
てだて
を
設
まう
けて
其
その
放
はなた
れたる
者
もの
をして
己
おのれ
の
所󠄃
ところ
より
放
はな
たれをることなからしむ
15
我
わが
此事
このこと
を
王
わう
我
わが
主
しゆ
に
言
いは
んとて
來
きた
れるは
民
たみ
我
われ
を
恐
おそ
れしめたればなり
故
ゆゑ
に
仕女
つかへめ
謂
おもへ
らく
王
わう
に
言
いは
ん
王
わう
婢
しもめ
の
言
ことば
を
行
おこな
ひたまふならんと
16
其
そ
は
王
わう
聞
きゝ
て
我
われ
とわが
子
こ
を
共
とも
に
滅
ほろぼ
して
神
かみ
の
產業
さんげふ
に
離
はな
れしめんとする
人
ひと
の
手
て
より
婢
しもめ
を
救
すく
ひいだしたまふべければなり
17
仕女
つかへめ
また
思
おもへ
り
王
わう
わが
主
しゆ
の
言
い
は
慰
なぐさめ
となるべしと
其
そ
は
神
かみ
の
使
つかひ
のごとく
王
わう
わが
主
しゆ
は
善
ぜん
も
惡
あく
も
聽
きゝ
たまへばなりねがはくは
爾
なんぢ
の
神
かみ
ヱホバ
爾
なんぢ
と
共
とも
に
在
いま
せと
18
王
わう
こたへて
婦󠄃
をんな
にいひけるは
請󠄃
こ
ふわが
爾
なんぢ
に
問
とは
んところの
事
こと
を
我
われ
に
隱
かく
すなかれ
婦󠄃
をんな
いふ
請󠄃
こ
ふ
王
わう
わが
主
しゆ
言
いひ
たまへ
19
王
わう
いひけるは
比
この
すべての
事
こと
においてはヨアブの
手
て
爾
なんぢ
とともにあるや
婦󠄃
をんな
答
こた
へていひけるは
爾
なんぢ
の
靈魂
たましひ
は
活
い
く
王
わう
わが
主
しゆ
よ
凡
すべ
て
王
わう
わが
主
しゆ
の
言
いひ
たまひしところは
右
みぎ
にも
左
ひだり
にもまがらず
皆
みな
に
爾
なんぢ
の
僕
しもべ
ヨアブ
我
われ
に
命
めい
じ
是等
これら
の
言
ことば
を
悉
こと〴〵
く
仕女
つかへめ
の
口
くち
に
授
さづ
けたり
20
其
その
事
こと
の
見
み
ゆるとこるを
變
かへ
んとて
爾
なんぢ
の
僕
しもべ
ヨアブ
此事
このこと
をなしたるなり
然
され
どわが
主
しゆ
は
神
かみ
の
使
つかひ
の
智慧󠄄
ちゑ
のごとく
智慧󠄄
ちゑ
ありて
地
ち
にある
事
こと
を
悉
こと〴〵
く
知
しり
たまふと
21
是
こゝ
において
王
わう
ヨアブにいひけるは
視
み
よ
我
われ
此事
このこと
を
爲
な
すされば
徃
ゆき
て
少年
せうねん
アブサロムを
携
つれ
歸
かへ
るべし
22
ヨアブ
地
ち
に
伏
ふ
し
拜
はい
し
王
わう
を
祝
しゆく
せりしかしてヨアブいひけるは
王
わう
わが
主
しゆ
よ
王
わう
僕
しもべ
の
言
ことば
を
行
おこな
ひたまへば
今日
けふ
僕
しもべ
わが
爾
なんぢ
に
惠
めぐま
るるを
知
し
ると
〘452㌻〙
23
ヨアブ
乃
すなは
ち
起󠄃
たち
てゲシユルに
徃
ゆ
きアブサロムをエルサレムに
携
つれ
きたれり
24
王
わう
いひけるは
彼
かれ
は
其
その
家
いへ
に
退󠄃
しりぞ
くべしわが
面
かほ
を
見
み
るべからずと
故
ゆゑ
にアブサロム
己
おのれ
の
家
いへ
に
退󠄃
しりぞ
きて
王
わう
の
面
かほ
を
觀
み
ざりき
590㌻
25
偖
さて
イスラエルの
中
うち
にアブサロムのごとく
其
その
美貌
うつくしき
のために
讃
ほめ
られたる
人
ひと
はなかりき
其
その
足
あし
の
跖
うら
より
頭
あたま
の
頂
いたゞき
にいたるまで
彼
かれ
には
瑕疵
きず
あることなし
26
アブサロム
其
その
頭
あたま
を
剪
か
る
時
とき
其
その
頭
あたま
の
髮
かみ
を
衡
はか
るに
王
わう
の
權衡
はかり
の二
百
ひやく
シケルあり
每
まい
年
ねん
の
終󠄃
をはり
にアブサロム
其
その
頭
あたま
を
剪
か
り
是
これ
は
己
おのれ
の
重
おもさ
によりて
剪
かり
たるなり
27
アブサロムに三
人
にん
の
男子
むすこ
と
一人
ひとり
のタマルといふ
女子
むすめ
生
うま
れたりタマルは
美
かほよき
女
をんな
なり
28
アブサロム二
年
ねん
のあひだエルサレムにをりたれども
王
わう
の
顏
かほ
を
見
み
ざりき
29
是
これ
によりてアブサロム
王
わう
に
遣󠄃
つかは
さんとてヨアブを
呼
よび
に
遣󠄃
つか
はしけるが
彼
かれ
來
きた
ることを
肯
がへん
ぜず
再
ふたゝ
び
遣󠄃
つかは
せしかども
來
きた
ることを
肯
がへん
ぜざりき
30
アブサロム
其
その
僕
しもべ
にいひけるは
視
み
よヨアブの
田地
はたけ
は
我
われ
の
近󠄃
ちか
くにありて
其處
そこ
に
大
おほ
麥
むぎ
あり
徃
ゆき
て
其
それ
に
火
ひ
を
放
はな
てとアブサロムの
僕
しもべ
等
ら
田地
はたけ
に
火
ひ
を
放
はな
てり
31
ヨアブ
起󠄃
たち
てアブサロムの
家
いへ
に
來
きた
りてこれにいひけるは
何故
なにゆゑ
に
爾
なんぢ
の
僕
しもべ
等
ら
田地
はたけ
に
火
ひ
を
放
はなち
たるや
32
アブサロム、ヨアブにいひけるは
我
われ
人
ひと
を
爾
なんぢ
に
遣󠄃
つか
はして
此
こゝ
に
來
きた
れ
我
われ
爾
なんぢ
を
王
わう
につかはさんと
言
いへ
り
即
すなは
ち
爾
なんぢ
をして
王
わう
に
我
われ
何
なん
のためにゲシユルよりきたりしや
彼處
かしこ
に
尙
なほ
あらば
我
わが
ためには
反
かへつ
て
善
よ
しと
言
いは
しめんとせり
然
され
ば
我
われ
今
いま
王
わう
の
面
かほ
を
見
み
ん
若
も
し
我
われ
に
罪
つみ
あらば
王
わう
我
われ
を
殺
ころ
すべし
33
ヨアブ
王
わう
にいたりてこれに
吿
つげ
たれば
王
わう
アブサロムを
召
め
す
彼
かれ
王
わう
にいたりて
王
わう
のまへに
地
ち
に
伏
ふし
て
拜
はい
せり
王
わう
アブサロムに
接吻
くちつけ
す
第15章
1
此
この
後
のち
アブサロム
己
おのれ
のために
戰車
いくさぐるま
と
馬
うま
ならびに
己
おのれ
のまへに
驅
かけ
る
者
もの
五十
人
にん
を
備
そなへ
たり
2
アブサロム
夙
はや
く
興
お
きて
門
もん
の
途󠄃
みち
の
傍
かたはら
にたち
人
ひと
の
訴訟
うつたへ
ありて
王
わう
に
裁判󠄄
さばき
を
求
もと
めんとて
來
きた
る
時
とき
はアブサロム
其人
そのひと
を
呼
よび
ていふ
爾
なんぢ
は
何
いづれ
の
邑
まち
の
者
もの
なるやと
其人
そのひと
僕
しもべ
はイスラエルの
某
それ
の
支派
わかれ
の
者
もの
なりといへば
3
アブサロム
其人
そのひと
にいふ
見
み
よ
爾
なんぢ
の
事
こと
は
善
よ
くまた
正
たゞ
し
然
され
ど
爾
なんぢ
に
聽
き
くべき
人
ひと
は
王
わう
いまだ
立
たて
ずと
4
アブサロム
又󠄂
また
嗚呼
あゝ
我
われ
を
此
この
地
ち
の
士師
さばきびと
となす
者
もの
もがな
然
さす
れば
凡
すべ
て
訴訟
うつたへ
と
公事
くじ
ある
者
もの
は
我
われ
に
來
きた
りて
我
われ
之
これ
に
公義
こうぎ
を
爲
な
しあたへんといふ
591㌻
5
また
人
ひと
彼
かれ
を
拜
はい
せんとて
近󠄃
ちか
づく
時
とき
は
彼
かれ
手
て
をのばして
其人
そのひと
を
扶
たす
け
之
これ
に
接吻
くちつけ
す
6
アブサロム
凡
すべ
て
王
わう
に
裁判󠄄
さばき
を
求
もと
めんとて
來
きた
るイスラエル
人
びと
に
是
かく
のごとくなせり
斯
かく
アブサロムはイスラエルの
人々
ひと〴〵
の
心
こゝろ
を
取
とれ
り
〘453㌻〙
7
斯
かく
て
四
よ
年
ねん
の
後
のち
アブサロム
王
わう
にいひけるは
請󠄃
こ
ふ
我
われ
をして
徃
ゆき
てヘブロンにてヱホバに
我
われ
甞
かつ
て
立
たて
し
願
ぐわん
を
果
はた
さしめよ
8
其
そ
は
僕
しもべ
スリアのゲシユルに
居
をり
し
時
とき
願
ぐわん
を
立
たて
て
若
も
しヱホバ
誠
まこと
に
我
われ
をエルサレムに
携
つれ
歸
かへ
りたまはば
我
われ
ヱホバに
事
つか
へんと
言
いひ
たればなりと
9
王
わう
かれにいひけるは
安然
やすらか
に
徃
ゆ
けと
彼
かれ
すなはち
起󠄃
たち
てヘブロンに
徃
ゆけ
り
10
しかしてアブサロム
窺
うかゞ
ふ
者
もの
をイスラエルの
支派
わかれ
の
中
うち
に
徧
あまね
く
遣󠄃
つか
はして
言
いは
せけるは
爾等
なんぢら
喇叭
らつぱ
の
音󠄃
おと
を
聞
きか
ばアブサロム、ヘブロンにて
王
わう
となれりと
思
おも
ふべしと
11
二
百
ひやく
人
にん
の
招
まね
かれたる
者
もの
エルサレムよりアブサロムとともにゆけり
彼
かれ
らは
何
なに
心
ごころ
なくゆきて
何事
なにごと
をもしらざりき
12
アブサロム
犧牲
いけにへ
をささぐる
時
とき
にダビデの
議官
ぎくわん
ギロ
人
びと
アヒトペルを
其
その
邑
まち
ギロより
呼
よび
よせたり
徒
と
黨
たう
强
つよ
くして
民
たみ
次第
しだい
にアブサロムに
加
くは
はりぬ
13
爰
こゝ
に
使者
つかひ
ダビデに
來
きた
りてイスラエルの
人
ひと
の
心
こゝろ
アブサロムにしたがふといふ
14
ダビデおのれと
共
とも
にエルサレムに
居
を
る
凡
すべ
ての
僕
しもべ
にいひけるは
起󠄃
た
てよ
我
われ
ら
逃󠄄
にげ
ん
然
しか
らずば
我
われ
らアブサロムより
遁
のが
るるあたはざるべし
急󠄃
いそ
ぎ
徃
ゆ
け
恐
おそ
らくは
彼
かれ
急󠄃
いそ
ぎて
我
われ
らに
追󠄃
お
ひつき
我儕
われら
に
害󠄅
がい
を
蒙
かうむ
らせ
刃󠄃
やいば
をもて
邑
まち
を
擊
うた
ん
15
王
わう
の
僕
しもべ
等
ら
王
わう
にいひけるは
視
み
よ
僕
しもべ
等
ら
王
わう
わが
主
しゆ
の
選󠄄
えら
むところを
凡
すべ
て
爲
なさ
ん
16
王
わう
いでゆき
其
その
全󠄃家
ぜんか
これにしたがふ
王
わう
十
じふ
人
にん
の
妾
めかけ
なる
婦󠄃
をんな
を
遺󠄃
のこ
して
家
いへ
をまもらしむ
17
王
わう
いでゆき
民
たみ
みな
之
これ
にしたがふ
彼等
かれら
遠󠄄
とほく
の
家
いへ
に
息
やす
めり
18
かれの
僕
しもべ
等
ら
みな
其
その
傍
かたはら
に
進󠄃
すゝ
みケレテ
人
びと
とペレテ
人
びと
および
彼
かれ
にしたがひてガテよりきたれる六
百
ぴやく
人
にん
のガテ
人
びと
みな
王
わう
のまへに
進󠄃
すゝ
めり
592㌻
19
時
とき
に
王
わう
がガテ
人
びと
イツタイにいひけるは
何
なに
ゆゑに
爾
なんぢ
もまた
我
われ
らとともにゆくや
爾
なんぢ
かへりて
王
わう
とともにをれ
爾
なんぢ
は
外國人
ことくにびと
にして
移住󠄃
うつり
て
處
ところ
をもとむる
者
もの
なり
20
爾
なんぢ
は
昨日
きのふ
來
きた
れり
我
われ
は
今日
こんにち
わが
得
う
るところに
徃
ゆ
くなれば
豈
いかで
爾
なんぢ
をして
我
われ
らとともにさまよはしむべけんや
爾
なんぢ
歸
かへ
り
爾
なんぢ
の
兄弟
きやうだい
をも
携
つれ
歸
かへ
るべしねがはくは
恩
めぐみ
と
眞實
まこと
爾
なんぢ
とともにあれ
21
イツタイ
王
わう
に
答
こた
へていひけるはヱホバは
活
い
く
王
わう
わが
主
しゆ
は
活
い
く
誠
まこと
に
王
わう
わが
主
しゆ
いかなる
處
ところ
に
坐
いま
すとも
生
いき
死
しに
ともに
僕
しもべ
もまた
其處
そこ
に
居
を
るべし
22
ダビデ、イツタイにいひけるは
進󠄃
すゝ
みゆけガテ
人
びと
イツタイ
乃
すなは
ち
進󠄃
すゝ
みかれのすべての
從者
じふしや
およびかれとともにある
妻
つま
子
こ
皆
みな
進󠄃
すゝ
めり
23
國
こく
中
ちう
皆
みな
大
おほ
聲
ごゑ
をあげて
哭
な
き
民
たみ
皆
みな
進󠄃
すゝ
む
王
わう
もまたキデロン
川
がは
を
渡
わた
りて
進󠄃
すゝ
み
民
たみ
皆
みな
進󠄃
すゝ
みて
野
の
の
道󠄃
みち
におもむけり
〘454㌻〙
24
視
み
よザドクおよび
俱
とも
にあるレビ
人
びと
もまた
皆
みな
神
かみ
の
契󠄅約
けいやく
の
櫃
はこ
を
舁
かき
ていたり
神
かみ
の
櫃
はこ
をおろして
民
たみ
の
悉
こと〴〵
く
邑
まち
よりいづるをまてりアビヤタルもまたのぼれり
25
ここに
王
わう
ザドクにいひけるは
神
かみ
の
櫃
はこ
を
邑
まち
に
舁
かき
もどせ
若
も
し
我
われ
ヱホバのまへに
恩
めぐみ
をうるならばヱホバ
我
われ
を
携
ひき
かへりて
我
われ
にこれを
見
しめ
し
其
その
徃處
すみか
を
見
しめ
したまはん
26
されどヱホバもし
汝
なんぢ
を
悅
よろこ
ばずと
斯
かく
いひたまはば
視
み
よ
我
われ
は
此
こゝ
にあり
其
その
目
め
に
善
よし
と
見
み
ゆるところを
我
われ
になしたまへ
27
王
わう
また
祭司
さいし
ザドクにいひけるは
汝
なんぢ
先見者
せんけんしや
汝
なんぢ
らの
二人
ふたり
の
子
こ
即
すなは
ち
汝
なんぢ
の
子
こ
アヒマアズとアビヤタルの
子
こ
ヨナタンを
伴󠄃
ともな
ひて
安然
やすらか
に
城邑
まち
に
歸
かへ
れ
28
見
み
よ
我
われ
は
汝
なんぢ
より
言
ことば
のきたりて
我
われ
に
吿
つぐ
るまで
野
の
の
渡
わたり
場
ば
に
留
とゞ
まらんと
29
ザドクとアビヤタルすなはち
神
かみ
の
櫃
はこ
をエルサレムに
舁
かき
もどりて
彼處
かしこ
に
止
とゞ
まれり
30
ここにダビデ
橄欖山
かんらんざん
の
路
みち
を
陟
のぼ
りしが
陟
のぼ
るときに
哭
な
き
其
その
首
かうべ
を
蒙
つゝ
みて
跣足
はだし
にて
行
ゆけ
りかれと
俱
とも
にある
民
たみ
皆
みな
各
おの〳〵
其
その
首
かうべ
を
蒙
つゝ
みてのぼり
哭
なき
つつのぼれり
31
時
とき
にアヒトペルがアブサロムに
與
くみ
せる
者
もの
の
中
うち
にあることダビデに
聞
きこ
えければダビデいふヱホバねがはくはアヒトペルの
計策
はかりごと
を
愚
おろか
ならしめたまへと
593㌻
32
ダビデ
嶺
いただき
にある
神
かみ
を
拜
はい
する
處
ところ
に
至
いた
れる
時
とき
視
み
よアルキ
人
びと
ホシヤイ
衣
ころも
を
裂
さ
き
土
つち
を
頭
あたま
にかむりてきたりてダビデを
迎󠄃
むか
ふ
33
ダビデかれにいひけるは
爾
なんぢ
若
も
し
我
われ
とともに
進󠄃
すゝ
まば
我
われ
の
負󠄅
に
となるべし
34
されど
汝
なんぢ
もし
城邑
まち
にかへりてアブサロムにむかひ
王
わう
よ
我
われ
爾
なんぢ
の
僕
しもべ
となるべし
此
これ
まで
爾
なんぢ
の
父󠄃
ちゝ
の
僕
しもべ
たりしごとく
今
いま
また
汝
なんぢ
の
僕
しもべ
となるべしといはば
爾
なんぢ
はわがためにアヒトペルの
計策
はかりごと
を
敗
やぶ
るにいたらん
35
祭司
さいし
ザドクとアビヤタル
爾
なんぢ
とともに
彼處
かしこ
にあるにあらずや
是故
このゆえ
に
爾
なんぢ
が
王
わう
の
家
いへ
より
聞
きゝ
たる
事
こと
はことごとく
祭司
さいし
ザドクとアビヤタルに
吿
つぐ
べし
36
視
み
よかれらとともに
彼處
かしこ
にはその
二人
ふたり
の
子
こ
即
すなは
ちザドクの
子
こ
アヒマアズとアビヤタルの
子
こ
ヨナタンをるなり
爾
なんぢ
ら
其
その
聞
きゝ
たる
事
こと
をことごとく
彼等
かれら
の
手
て
によりて
我
われ
に
通󠄃
つう
ずべし
37
ダビデの
友
とも
ホシヤイすなはち
城邑
まち
にいたりぬ
時
とき
にアブサロムはエルサレムに
入
いり
居
ゐ
たり
第16章
1
ダビデ
少
すこ
しく
嶺
いただき
を
過󠄃
すぎ
ゆける
時
とき
視
み
よメピボセテの
僕
しもべ
ヂバ
鞍
くら
おける
二頭
ふたつ
の
驢馬
ろば
を
引
ひ
き
其
その
上
うへ
にパン二
百
ひやく
乾葡萄
ほしぶだう
一
いつ
百
ぴやく
球
ふさ
乾
ひ
棗
なつめ
の
團塊
かたまり
一
いつ
百
ぴやく
酒
さけ
一
ひと
嚢
ふくろ
を
載
のせ
きたりてダビデを
迎󠄃
むか
ふ
2
王
わう
ヂバにいひけるは
此
これ
等
ら
は
何
なに
なるかヂバいひけるは
驢馬
ろば
は
王
わう
の
家族
かぞく
の
乘
の
るためパンと
乾
ひ
棗
なつめ
は
少者
わかもの
の
食󠄃
くら
ふため
洒
さけ
は
野
の
に
困憊
つかれ
たる
者
もの
の
飮
の
むためなり
3
王
わう
いひけるは
爾
なんぢ
の
主人
しゆじん
の
子
こ
は
何處
いづこ
にあるやヂバ
王
わう
にいひけるはかれはエルサレムに
止
とゞ
まる
其
そ
は
彼
かれ
イスラエルの
家
いへ
今日
こんにち
我
わが
父󠄃
ちゝ
の
國
くに
を
我
われ
にかへさんと
言
いひ
をればなり
〘455㌻〙
4
王
わう
ヂバにいひけるは
視
み
よメピボセテの
所󠄃有
もの
は
悉
こと〴〵
く
爾
なんぢ
の
所󠄃有
もの
となるべしヂバいひけるは
我
われ
拜
はい
す
王
わう
わが
主
しゆ
よ
我
われ
をして
爾
なんぢ
のまへに
恩
めぐみ
を
蒙
かう
むらしめたまへ
5
斯
かく
てダビデ
王
わう
バホリムにいたるに
視
み
よ
彼處
かしこ
よりサウルの
家
いへ
の
族
やから
の
者
もの
一人
ひとり
出
いで
きたる
其
その
名
な
をシメイといふゲラの
子
こ
なり
彼
かれ
出
いで
きたりて
來
きた
りつつ
詛
のろ
へり
6
又󠄂
また
彼
かれ
ダビデとダビデ
王
わう
の
諸
もろ〳〵
の
臣僕
けらい
にむかひて
石
いし
を
投
なげ
たり
時
とき
に
民
たみ
と
勇士
ゆうし
皆
みな
王
わう
の
左
さ
右
いう
にあり
594㌻
7
シメイ
詛
のろひ
の
中
うち
に
斯
かく
いへり
汝
なんぢ
血
ち
を
流
なが
す
人
ひと
よ
爾
なんぢ
邪
よこしま
なる
人
ひと
よ
出
いで
され
出
いで
され
8
爾
なんぢ
が
代
かは
りて
位
くらゐ
に
登
のぼ
りしサウルの
家
いへ
の
血
ち
を
凡
すべ
てヱホバ
爾
なんぢ
に
歸
き
したまへりヱホバ
國
くに
を
爾
なんぢ
の
子
こ
アブサロムの
手
て
に
付
わた
したまへり
視
み
よ
爾
なんぢ
は
血
ち
を
流
なが
す
人
ひと
なるによりて
禍患
わざはひ
の
中
うち
にあるなり
9
ゼルヤの
子
こ
アビシヤイ
王
わう
にいひけるは
此
この
死
しに
たる
犬
いぬ
なんぞ
王
わう
わが
主
しゆ
を
詛
のろ
ふべけんや
請󠄃
こ
ふ
我
われ
をして
渉
わた
りゆきてかれの
首
くび
を
取
とら
しめよ
10
王
わう
いひけるはゼルヤの
子等
こら
よ
爾
なんぢ
らの
與
あづか
るところにあらず
彼
かれ
の
詛
のろ
ふはヱホバ
彼
かれ
にダビデを
詛
のろ
へと
言
いひ
たまひたるによるなれば
誰
たれ
か
爾
なんぢ
なんぞ
然
しか
するやと
言
いふ
べけんや
11
ダビデ
又󠄂
また
アビシヤイおよび
己
おのれ
の
諸
すべて
の
臣僕
けらい
にいひけるは
視
み
よわが
身
み
より
出
いで
たるわが
子
こ
わが
生命
いのち
を
求
もと
む
况
いはん
や
此
この
ベニヤミン
人
びと
をや
彼
かれ
を
聽
ゆる
して
詛
のろ
はしめよヱホバ
彼
かれ
に
命
めい
じたまへるなり
12
ヱホバわが
艱難
かんなん
を
俯視
かへり
みたまふことあらん
又󠄂
また
ヱホバ
今日
こんにち
彼
かれ
の
詛
のろひ
のために
我
われ
に
善
ぜん
を
報
むく
いたまふことあらんと
13
斯
かく
てダビデと
其
その
從者
じふしや
途󠄃
みち
を
行
ゆき
けるにシメイはダビデに
對
むか
へる
山
やま
の
傍
かたはら
に
行
ゆき
て
行
ゆき
つつ
詛
のろ
ひまた
彼
かれ
にむかひて
石
いし
を
投
な
げ
塵
ちり
を
揚
あげ
たり
14
王
わう
および
俱
とも
にある
民
たみ
皆
みな
アエピムに
來
きた
りて
彼處
かしこ
に
息
いき
をつげり
15
偖
さて
アブサロムと
總
すべ
ての
民
たみ
イスラエルの
人々
ひと〴〵
エルサレムに
至
いた
れりアヒトペルもアブサロムとともにいたる
16
ダビデの
友
とも
なるアルキ
人
びと
ホシヤイ、アブサロムの
許
もと
に
來
きた
りし
時
とき
アブサロムにいふ
願
ねがは
くは
王
わう
壽
いのちなが
かれ
願
ねがは
くは
王
わう
壽
いのちなが
かれ
17
アブサロム、ホシヤイにいひけるは
此
これ
は
爾
なんぢ
が
其
その
友
とも
に
示
しめ
す
厚
あつき
意󠄃
こころ
なるや
爾
なんぢ
なんぞ
爾
なんぢ
の
友
とも
と
徃
ゆか
ざるやと
18
ホシヤイ、アブサロムにいひけるは
然
しか
らずヱホバと
此
この
民
たみ
とイスラエルの
總
すべて
の
人々
ひと〴〵
の
選󠄄
えら
む
者
もの
に
我
われ
は
屬
ぞく
し
且
かつ
其人
そのひと
とともに
居
を
るべし
19
且
かつ
又󠄂
また
我
われ
誰
たれ
に
事
つか
ふべきか
其
その
子
こ
の
前󠄃
まへ
に
事
つかふ
べきにあらずや
我
われ
は
爾
なんぢ
の
父󠄃
ちゝ
のまへに
事
つかへ
しごとく
爾
なんぢ
のまへに
事
つかふ
べし
〘456㌻〙
595㌻
20
爰
こゝ
にアブサロム、アヒトベルにいひけるは
我儕
われら
如何
いか
に
爲
なす
べきか
爾等
なんぢら
計
はかりごと
を
爲
な
すべしと
21
アヒトペル、アブサロムにいひけるは
爾
なんぢ
の
父󠄃
ちゝ
が
遺󠄃
のこ
して
家
いへ
を
守
まも
らしむる
妾等
めかけたち
の
處
ところ
に
入
い
れ
然
しから
ばイスラエル
皆
みな
爾
なんぢ
が
其
その
父󠄃
ちゝ
に
惡
にく
まるるを
聞
きか
ん
而
しか
して
爾
なんぢ
とともにをる
總
すべて
の
者
もの
の
手
て
强
つよ
くなるべしと
22
是
こゝ
において
屋脊
やね
にアブサロムのために
天
てん
幕
まく
を
張
はり
ければアブサロム、イスラエルの
目
め
のまへにて
其
その
父󠄃
ちゝ
の
妾等
めかけたち
の
處
ところ
に
入
い
りぬ
23
當時
そのころ
アヒトペルが
謀
はか
れる
謀計
はかりごと
は
神
かみ
の
言
ことば
に
問
とひ
たるごとくなりきアヒトペルの
謀計
はかりごと
は
皆
みな
ダビデとアブサロムとに
俱
とも
に
是
かく
のごとく
見
み
えたりき
第17章
1
時
とき
にアヒトペル、アブサロムにいひけるは
請󠄃
こ
ふ
我
われ
に一
萬
まん
二
千
せん
の
人
ひと
を
擇
えら
み
出
いだ
さしめよ
我
われ
起󠄃
たち
て
今夜
こんや
ダビデの
後
あと
を
追󠄃
お
ひ
2
彼
かれ
が
憊
つか
れて
手弱󠄃
たよわく
なりし
所󠄃
ところ
を
襲
おそ
ふて
彼
かれ
をおびえしめん
而
しか
して
彼
かれ
とともにをる
民
たみ
の
逃󠄄
にげ
ん
時
とき
に
我
われ
王
わう
一人
ひとり
を
擊
うち
とり
3
總
すべて
の
民
たみ
を
爾
なんぢ
に
歸
き
せしむべし
夫
それ
衆
みな
の
歸
き
するは
爾
なんぢ
が
求
もと
むる
此人
このひと
に
依
よる
なれば
民
たみ
みな
平󠄃穩
おだやか
になるべし
4
此
この
言
ことば
アブサロムの
目
め
とイスラエルの
總
すべて
の
長老
としより
の
目
め
に
的當
よし
と
見
み
えたり
5
アブサロムいひけるはアルキ
人
びと
ホシヤイをも
召
めし
きたれ
我等
われら
彼
かれ
が
言
い
ふ
所󠄃
ところ
をも
聞
きか
んと
6
ホシヤイ
乃
すなは
ちアブサロムに
至
いた
るにアブサロムかれにかたりていひけるはアヒトペル
是
かく
のごとく
言
いへ
り
我等
われら
其
その
言
ことば
を
爲
なす
べきか
若
も
し
可
よから
ずば
爾
なんぢ
言
い
ふべし
7
ホシヤイ、アブサロムにいひけるは
此時
このとき
にあたりてアヒトペルが
授
さづ
けし
計略
はかりごと
は
善
よか
らず
8
ホシヤイまたいひけるは
爾
なんぢ
の
知
し
るごとく
爾
なんぢ
の
父󠄃
ちゝ
と
其
その
從者
じふしや
は
勇士
ゆうし
なり
且
かつ
彼等
かれら
は
野
の
にて
其
その
子
こ
を
奪
うばは
れたる
熊
くま
の
如
ごと
く
其
その
氣
いき
激怒
いらだち
をれり
又󠄂
また
爾
なんぢ
の
父󠄃
ちゝ
は
戰
いくさ
士
びと
なれば
民
たみ
と
共
とも
に
宿
やど
らざるべし
9
彼
かれ
は
今
いま
何
いづれ
の
穴󠄄
あな
にか
何
いづれ
の
處
ところ
にか
匿
かく
れをる
若
も
し
數人
すうにん
の
者
もの
手
て
始
はじめ
に
仆
たふれ
なば
其
それ
を
聞
き
く
者
もの
は
皆
みな
アブサロムに
從
したが
ふ
者
もの
の
中
うち
に
敗
やぶれ
ありと
言
い
はん
10
しからば
獅子
しゝ
の
心
こゝろ
のごとき
心
こゝろ
ある
勇猛
たけ
き
夫
ひと
といふとも
全󠄃
まつた
く
挫碎
くぢけ
ん
其
そ
はイスラエル
皆
みな
爾
なんぢ
の
父󠄃
ちゝ
の
勇士
ゆうし
にして
彼
かれ
とともにある
者
もの
の
勇猛
たけ
き
人
ひと
なるをしればなり
11
我
われ
は
計議
はか
るイスラエルをダンよりベエルシバにいたるまで
海濱
はま
の
沙
いさご
の
多
おほ
きが
如
ごと
くに
悉
こと〴〵
く
爾
なんぢ
の
處
ところ
につどへ
集
あつ
めて
爾
なんぢ
親
みづか
ら
戰陣
たたかひ
に
臨
のぞ
むべし
596㌻
12
我等
われら
彼
かれ
の
見
み
出
いだ
さるる
處
ところ
にて
彼
かれ
を
襲
おそ
ひ
露
つゆ
の
地
ち
に
下
おり
るがごとく
彼
かれ
のうへに
降
くだ
らんしかして
彼
かれ
および
彼
かれ
とともにあるすべての
人々
ひと〴〵
を
一人
ひとり
も
遺󠄃
のこ
さゞるべし
13
若
も
し
彼
かれ
何
いづれ
かの
城邑
まち
に
集
あつま
らばイスラエル
皆
みな
繩
なは
を
其
その
城邑
まち
にかけ
我等
われら
これを
河
かは
に
曵
ひ
きたふして
其處
そこ
に
一
ひとつ
の
小
こ
石
いし
も
見
み
えざらしむべしと
〘457㌻〙
14
アブサロムとイスラエルの
人々
ひと〴〵
皆
みな
アルキ
人
びと
ホシヤイの
謀計
はかりごと
はアヒトペルの
謀計
はかりごと
よりも
善
よ
しといふ
其
そ
はヱホバ、アブサロムに
禍
わざはひ
を
降
くだ
さんとてヱホバ、アヒトペルの
善
よ
き
謀計
はかりごと
を
破
やぶ
ることを
定
さだ
めたまひたればなり
15
爰
こゝ
にホシヤイ
祭司
さいし
ザドクとアビヤタルにいひけるはアヒトペル、アブサロムとイスラエルの
長老等
としよりたち
のために
斯々
しか〴〵
に
謀
はか
れりきた
我
われ
は
斯々
しか〴〵
に
謀
はか
れり
16
されば
爾
なんぢ
ら
速󠄃
すみやか
に
人
ひと
を
遣󠄃
つかは
してダビデに
吿
つげ
て
今夜
こんや
野
の
の
渡
わたり
場
ば
に
宿
やど
ることなく
速󠄃
すみやか
に
渡
わた
りゆけといへおそらくは
王
わう
および
俱
とも
にある
民
たみ
皆
みな
呑
のみ
つくされん
17
時
とき
にヨナタンとアヒマアズはエンロゲルに
俟
まち
居
ゐ
たり
是
これ
は
城邑
まち
にいるを
見
み
られざらんとてなり
爰
こゝ
に
一人
ひとり
の
仕女
つかへめ
ゆきて
彼等
かれら
に
吿
つ
げければ
彼
かれ
らダビデ
王
わう
に
吿
つげ
んとて
徃
ゆ
く
18
しかるに
一人
ひとり
の
少者
わかもの
かれらを
見
み
てアブサロムにつげたりされど
彼等
かれら
二人
ふたり
は
急󠄃
いそ
ぎさりてバホリムの
或
ある
人
ひと
の
家
いへ
にいたる
其人
そのひと
の
庭
には
に
井
ゐど
ありてかれら
其處
そこ
にくだりければ
19
婦󠄃
をんな
蓋
おひ
をとりて
井
ゐど
の
口
くち
のうへに
掩
か
け
其
その
上
うへ
に
擣
つき
たる
麥
むぎ
をひろげたり
故
ゆゑ
に
事
こと
知
し
れざりき
20
時
とき
にアブサロムの
僕
しもべ
等
ら
其
その
婦󠄃
をんな
の
家
いへ
に
來
きた
りていひけるはアヒマアズとヨナタンは
何處
いづく
にをるや
婦󠄃
をんな
かれらに
彼
かの
人々
ひと〴〵
は
小
こ
川
がは
を
濟
わた
れりといふかれら
尋󠄃
たづ
ねたれども
見
み
當
あたら
ざればエルサレムに
歸
かへ
れり
21
彼等
かれら
が
去
さり
し
時
とき
かの
二人
ふたり
は
井
ゐど
よりのぼりて
徃
ゆき
てダビデ
王
わう
に
吿
つ
げたり
即
すなは
ちダビデに
言
いひ
けるは
起󠄃
たち
て
速󠄃
すみや
かに
水
みづ
を
濟
わた
れ
其
そ
はアヒトベル
斯
かく
爾等
なんぢら
について
謀計
はかりごと
を
爲
な
したればなりと
22
ダビデ
起󠄃
たち
て
己
おのれ
とともにある
凡
すべ
ての
民
たみ
とともにヨルダンを
濟
わた
れり
曙
あけぼの
には
一人
ひとり
もヨルダンを
濟
わた
らざる
者
もの
はなかりき
597㌻
23
アヒトベルは
其
その
謀計
はかりごと
の
行
おこなは
れざるを
見
み
て
其
その
驢馬
ろば
に
鞍
くら
おき
起󠄃
たち
て
其
その
邑
まち
に
徃
ゆき
て
其
その
家
いへ
にいたり
家
いへ
の
人
ひと
に
遺󠄃
ゆゐ
言
ごん
して
自
みづか
ら
縊
くび
れ
死
しに
て
其
その
父󠄃
ちゝ
の
墓
はか
に
葬
はうむ
らる
24
爰
こゝ
にダビデ、マナハイムに
至
いた
る
又󠄂
また
アブサロムは
己
おのれ
とともにあるイスラエルの
凡
すべて
の
人々
ひと〴〵
とともにヨルダンを
濟
わた
れり
25
アブサロム、アマサをヨアブの
代
かは
りに
軍
ぐん
の
長
かしら
と
爲
なせ
りアマサは
夫
か
のナハシの
女
むすめ
にてヨアブの
母
はゝ
ゼルヤの
妹
いもうと
なるアビガルに
通󠄃
つう
じたるイシマエル
人
びと
名
な
はヱテルといふ
人
ひと
の
子
こ
なり
26
かくてイスラエルとアブサロムはギレアデの
地
ち
に
陣
ぢん
どれり
27
ダビデ、マハナイムにいたれる
時
とき
アンモンの
子孫
ひと〴〵
の
中
うち
なるラバのナハシの
子
こ
シヨビとロデバルのアンミエルの
子
こ
マキルおよびロゲリムのギレアデ
人
びと
バルジライ
〘458㌻〙
28
臥床
とこ
と
鍋
なべ
釜
かま
と
陶
やきものの
器
うつは
と
小麥
こむぎ
と
大
おほ
麥
むぎ
と
粉
こな
と
烘麥
いりむぎ
と
豆
まめ
と
小豆
あづき
の
烘
いり
たる
者
もの
と
29
蜜
みつ
と
牛酪
ぎうらく
と
羊
ひつじ
と
犢
こうし
をダビデおよび
俱
とも
にある
民
たみ
の
食󠄃
くら
ふために
持
もち
來
きた
れり
其
そ
は
彼等
かれら
民
たみ
は
野
の
にて
饑
うゑ
憊
つか
れ
渇
かわ
くならんと
謂
いひ
たればなり
第18章
1
爰
こゝ
にダビデ
己
おのれ
とともにある
民
たみ
を
核
しら
べて
其
その
上
うへ
に
千夫
せんにん
の
長
かしら
百夫
ひやくにん
の
長
かしら
を
立
たて
たり
2
しかしてダビデ
民
たみ
を
三
みつ
に
分󠄃
わか
ちて
其
その
一
ひとつ
をヨアブの
手
て
に
託
あづ
け
一
ひとつ
をゼルヤの
子
こ
ヨアブの
兄弟
きやうだい
アビシヤイの
手
て
に
託
あづ
け
一
ひとつ
をガテ
人
びと
イツタイの
手
て
に
託
あづ
けたりかくして
王
わう
民
たみ
にいひけるは
我
われ
もまた
必
かなら
ず
汝
なんぢ
らとともに
出
いで
んと
3
されど
民
たみ
いふ
汝
なんぢ
は
出
いづ
べからず
我儕
われら
如何
いか
に
逃󠄄
にぐ
るとも
彼等
かれら
は
我儕
われら
に
心
こゝろ
をとめじ
又󠄂
また
我儕
われら
半󠄃
なかば
死
しぬ
とも
我儕
われら
に
心
こゝろ
をとめざるべしされど
汝
なんぢ
は
我儕
われら
の一
萬
まん
に
等
ひと
し
故
ゆゑ
に
汝
なんぢ
は
城邑
まち
の
中
うち
より
我儕
われら
を
助
たす
けなば
善
よ
し
4
王
わう
かれらにいひけるは
汝等
なんぢら
の
目
め
に
善
よし
と
見
み
ゆるところを
爲
な
すべしとかくて
王
わう
門
もん
の
傍
かたはら
に
立
た
ち
民
たみ
皆
みな
或
あるひ
は
百
ひやく
人
にん
或
あるひ
は
千
せん
人
にん
となりて
出
い
づ
5
王
わう
ヨアブ、アビシヤイおよびイツタイに
命
めい
じてわがために
少年
せうねん
アブサロムを
寛
やはらか
に
待
あしら
へよといふ
王
わう
のアブサロムの
事
こと
について
諸
すべて
の
將官
かしら
に
命
めい
を
下
くだ
せる
時
とき
民
たみ
皆
みな
聞
きけ
り
598㌻
6
爰
こゝ
に
民
たみ
イスラエルにむかひて
野
の
に
出
い
でエフライムの
叢林
もり
に
戰
たゝか
ひしが
7
イスラエルの
民
たみ
其處
そこ
にてダビデの
臣僕
けらい
のまへに
敗
やぶ
る
其
その
日
ひ
彼處
かしこ
の
戰死
うちじに
大
おほい
にして二
萬
まん
にいたれり
8
しかして
戰
たたかひ
徧
あまね
く
其
その
地
ち
の
表
おもて
に
廣
ひろ
がりぬ
是
この
日
ひ
叢林
もり
の
滅
ほろ
ぼせる
者
もの
は
刀劒
かたな
の
滅
ほろ
ぼせる
者
もの
よりも
多
おほ
かりき
9
爰
こゝ
にアブサロム、ダビデの
臣僕
けらい
に
行
ゆ
き
遭󠄃
あへ
り
時
とき
にアブサロム
騾馬
むま
に
乘
のり
居
ゐ
たりしが
騾馬
むま
大
おほい
なる
橡樹
かしのき
の
繁
しげ
き
枝
えだ
の
下
した
を
過󠄃
すぎ
ければアブサロムの
頭
あたま
其
その
橡
かし
に
繋
かゝ
りて
彼
かれ
天地
てんち
のあひだにあがれり
騾馬
むま
はかれの
下
した
より
行
ゆき
過󠄃
すぎ
たり
10
一箇
ひとり
の
人
ひと
見
み
てヨアブに
吿
つげ
ていひけるは
我
われ
アブサロムが
橡樹
かしのき
に
懸
かゝ
りをるを
見
み
たりと
11
ヨアブ
其
その
吿
つげ
たる
人
ひと
にいひけるはさらば
爾
なんぢ
見
み
て
何故
なにゆゑ
に
彼
かれ
を
其處
そこ
にて
地
ち
に
擊
うち
落
おと
さざりしや
我
われ
爾
なんぢ
に
銀
ぎん
十
枚
まい
と
一本
ひとすじ
の
帶
おび
を
與
あた
へんものを
12
其人
そのひと
ヨアブにいひけるは
假令
たとひ
わが
手
て
に
銀
ぎん
千
せん
枚
まい
を
受
うく
べきも
我
われ
は
手
て
をいだして
王
わう
の
子
こ
に
敵
てき
せじ
其
そ
は
王
わう
我儕
われら
の
聞
きけ
るまへにて
爾
なんぢ
とアビシヤイとイツタイに
命
めい
じて
爾
なんぢ
ら
各
おの〳〵
少年
せうねん
アブサロムを
害󠄅
がい
するなかれといひたまひたればなり
13
我
われ
若
も
し
反
そむ
いてかれの
生命
いのち
を
戕賊
そこな
はば
何事
なにごと
も
王
わう
に
隱
かく
るる
所󠄃
ところ
なければ
爾
なんぢ
自
みづか
ら
立
たち
て
我
われ
を
責
せめ
んと
14
時
とき
にヨアブ
我
われ
かく
爾
なんぢ
とともに
滯
とゞま
るべからずといひて
手
て
に
三本
みすぢ
の
槍
やり
を
携
たづさ
へゆきて
彼
か
の
橡樹
かしのき
の
中
なか
に
尙
なほ
生
いき
をるアブサロムの
胸
むね
に
之
これ
を
衝
つき
通󠄃
とほ
せり
〘459㌻〙
15
ヨアブの
武器
ぶき
を
執
と
る十
人
にん
の
少者
わかもの
繞
とりま
きてアブサロムを
擊
う
ち
之
これ
を
死
しな
しめたり
16
かくてヨアブ
喇叭
らつぱ
を
吹
ふき
ければ
民
たみ
イスラエルの
後
あと
を
追󠄃
お
ふことを
息
やめ
てかへれりヨアブ
民
たみ
を
止
とゞ
めたればなり
17
衆
ひと〴〵
アブサロムを
將
とり
て
叢林
もり
の
中
なか
なる
大
おほい
なる
穴󠄄
あな
に
投
な
げいれ
其
その
上
うへ
に
甚
はなは
だ
大
おほ
きく
石
いし
を
疊
つみ
あげたり
是
こゝ
においてイスラエル
皆
みな
おのおの
其
その
天
てん
幕
まく
に
逃󠄄
にげ
かへれり
18
アブサロム
我
われ
はわが
名
な
を
傳
つた
ふべき
子
こ
なしと
言
いひ
て
其
その
生
いけ
る
間
あひだ
に
己
おのれ
のために
一
ひとつ
の
表柱
はしら
を
建
たて
たり
王
わう
の
谷
たに
にあり
彼
かれ
おのれの
名
な
を
其
その
表柱
はしら
に
與
つけ
たり
其
その
表柱
はしら
今日
こんにち
にいたるまでアブサロムの
碑
ひ
と
稱
となへ
らる
599㌻
19
爰
こゝ
にザドクの
子
こ
アヒマアズいひけるは
請󠄃
こ
ふ
我
われ
をして
趨
はし
りて
王
わう
にヱホバの
王
わう
をまもりて
其
その
敵
てき
の
手
て
を
免
まぬ
かれしめたまひし
音󠄃信
おとづれ
を
傳
つた
へしめよと
20
ヨアブかれにいひけるは
汝
なんぢ
は
今日
けふ
音󠄃信
おとづれ
を
傳
つた
ふるものとなるべからず
他
ほかの
日
ひ
に
音󠄃信
おとづれ
を
傳
つた
ふべし
今日
けふ
は
王
わう
の
子
こ
死
しに
たれば
汝
なんぢ
音󠄃信
おとづれ
を
傳
つた
ふべからず
21
ヨアブ、クシ
人
びと
にいひけるは
徃
ゆき
て
爾
なんぢ
が
見
み
たる
所󠄃
ところ
を
王
わう
に
吿
つげ
よクシ
人
びと
ヨアブに
禮
れい
をなして
走
はし
れり
22
ザドクの
子
こ
アヒマアズ
再
ふたゝ
びヨアブにいひけるは
請󠄃
こ
ふ
何
いづれ
にもあれ
我
われ
をも
亦
また
クシ
人
びと
の
後
あと
より
走
はせ
ゆかしめよヨアブいひけるは
我
わが
子
こ
よ
爾
なんぢ
は
充
じう
分󠄃
ぶん
の
音󠄃信
おとづれ
を
持
もた
ざるに
何故
なにゆゑ
に
走
はし
りゆかんとするや
23
かれいふ
何
いづ
れにもあれ
我
われ
をして
走
はし
りゆかしめよとヨアブかれにいふ
走
はし
るべし
是
こゝ
においてアヒマアズ
低地
くぼち
の
路
みち
をはしりてクシ
人
びと
を
走
はせ
越
こえ
たり
24
時
とき
にダビデは
二
ふたつ
の
門
もん
の
間
あひだ
に
坐
ざ
しゐたり
爰
こゝ
に
守望󠄇
うかがふ
者
もの
門
もん
の
蓋上
やね
にのぼり
石墻
いしがき
にのぼりて
其
その
目
め
を
擧
あげ
て
見
み
るに
視
み
よ
獨
たゞ
一人
ひとり
にて
走
はせ
きたる
者
もの
あり
25
守望󠄇
うかがふ
者
もの
呼
よば
はりて
王
わう
に
吿
つげ
ければ
王
わう
いふ
若
も
し
獨
ひとり
ならば
口
くち
に
音󠄃信
おとづれ
を
持
も
つならんと
其人
そのひと
進󠄃
すゝ
み
來
きた
りて
近󠄃
ちか
づけり
26
守望󠄇
うかがふ
者
もの
復
また
一人
ひとり
の
走
はし
りきたるを
見
み
しかば
守望󠄇
うかがふ
者
もの
守門
もんをまもる
者
もの
に
呼
よば
はりて
言
い
ふ
獨
たゞ
一人
ひとり
にて
走
はせ
きたる
者
もの
あり
王
わう
いふ
其人
そのひと
もまた
音󠄃信
おとづれ
を
持
もつ
ものなり
27
守望󠄇
うかがふ
者
もの
言
い
ふ
我
われ
先
さきだつ
者
もの
の
走
はしる
を
見
み
るにザドクの
子
こ
アヒマアズの
走
はし
るが
如
ごと
しと
王
わう
いひけるは
彼
かれ
は
善
よき
人
ひと
なり
善
よ
き
音󠄃信
おとづれ
を
持
もち
來
きた
るならん
28
アヒマアズ
呼
よば
はりて
王
わう
にいひけるはねがはくは
平󠄃安
やすらか
なれとかくて
王
わう
のまへに
地
ち
に
伏
ふ
していふ
爾
なんぢ
の
神
かみ
ヱホバは
讃
ほむ
べきかなヱホバかの
手
て
をあげて
王
わう
わが
主
しゆ
に
敵
てき
したる
人々
ひと〴〵
を
付
わた
したまへり
29
王
わう
いひけるは
少年
せうねん
アブサロムは
平󠄃安
やすらか
なるやアヒマアズこたへけるは
王
わう
の
僕
しもべ
ヨアブ
僕
しもべ
を
遣󠄃
つか
はせし
時
とき
我
われ
大
おほい
なる
噪
さわぎ
を
見
み
たれども
何
なに
をも
知
し
らざるなり
〘460㌻〙
30
王
わう
いひけるは
側
わき
にいたりて
其處
そこ
に
立
たて
よと
乃
すなは
ち
側
わき
にいたりて
立
た
つ
600㌻
31
時
とき
に
視
み
よクシ
人
びと
來
きた
れりクシ
人
びと
いひけるはねがはくは
王
わう
音󠄃信
おとづれ
を
受
うけ
たまへヱホバ
今日
こんにち
爾
なんぢ
をまもりて
凡
すべ
て
爾
なんぢ
にたち
逆󠄃
さから
ふ
者
もの
の
手
て
を
免
まぬ
かれしめたまへり
32
王
わう
クシ
人
びと
にいひけるは
少年
せうねん
アブサロムは
平󠄃安
やすらか
なるやクシ
人
びと
いひけるはねがはくは
王
わう
わが
主
しゆ
の
敵
てき
および
凡
すべ
て
汝
なんぢ
に
起󠄃
た
ち
逆󠄃
さから
ひて
害󠄅
がい
をなさんとする
者
もの
は
彼
かの
少年
せうねん
のごとくなれと
33
王
わう
大
おほい
に
感
いた
み
門
もん
の
樓
にかい
にのぼりて
哭
なけ
り
彼
かれ
行
ゆき
ながらかくいへりわが
子
こ
アブサロムよわが
子
こ
わが
子
こ
アブサロムよ
鳴呼
あゝ
われ
汝
なんぢ
に
代
かは
りて
死
しに
たらん
者
もの
をアブサロムわが
子
こ
よわが
子
こ
よ
第19章
1
時
とき
にヨアブに
吿
つぐ
る
者
もの
ありていふ
視
み
よ
王
わう
はアブサロムの
爲
ため
に
哭
な
き
悲
かな
しむと
2
其
その
日
ひ
の
勝󠄃利
かち
は
凡
すべて
の
民
たみ
の
悲哀
かなしみ
となれり
其
そ
は
民
たみ
其
その
日
ひ
王
わう
は
其
その
子
こ
のために
憂
うれ
ふと
言
い
ふを
聞
きゝ
たればなり
3
其
その
日
ひ
民
たみ
は
戰爭
たたかひ
に
逃󠄄
にげ
て
羞
はぢ
たる
民
たみ
の
竊
しのび
て
去
さる
がごとく
竊
しのび
て
城邑
まち
にいりぬ
4
王
わう
は
其
その
面
かほ
を
掩
おほ
へり
王
わう
大
おほ
聲
ごゑ
に
叫
さけび
てわが
子
こ
アブサロムよアブサロムわが
子
こ
よわが
子
こ
よといふ
5
ここにヨアブ
家
いへ
にいり
王
わう
の
許
もと
にいたりていひけるは
汝
なんぢ
今日
こんにち
汝
なんぢ
の
生命
いのち
と
汝
なんぢ
の
男子
むすこ
汝
なんぢ
の
女子
むすめ
の
生命
いのち
および
汝
なんぢ
の
妻
つま
等
たち
の
生命
いのち
と
汝
なんぢ
の
妾等
めかけたち
の
生命
いのち
を
救
すく
ひたる
汝
なんぢ
の
凡
すべて
の
臣僕
けらい
の
顏
かほ
を
羞
はぢ
させたり
6
是
こ
は
汝
なんぢ
おのれを
惡
にく
む
者
もの
を
愛
あい
しおのれを
愛
あい
する
者
もの
を
惡
にく
むなり
汝
なんぢ
今日
けふ
汝
なんぢ
が
諸侯伯
つかさ
をも
諸僕
けらい
をも
顧󠄃
かへり
みざるを
示
しめ
せり
今日
けふ
我
われ
さとる
若
も
しアブサロム
生
いき
をりて
我儕
われら
皆
みな
死
しに
たらば
汝
なんぢ
の
目
め
に
適󠄄
かな
ひしならん
7
されど
今
いま
立
たち
て
出
い
で
汝
なんぢ
の
諸僕
けらいたち
を
慰
なぐさ
めてかたるべし
我
われ
ヱホバを
指
さし
て
誓
ちか
ふ
汝
なんぢ
若
も
し
出
いで
ずば
今夜
こんや
一人
ひとり
も
汝
なんぢ
とともに
止
とゞま
るものなかるべし
是
これ
は
汝
なんぢ
が
若
わか
き
時
とき
より
今
いま
にいたるまでに
蒙
かうむ
りたる
諸
もろ〳〵
の
災禍
わざはひ
よりも
汝
なんぢ
に
惡
あし
かるべし
8
是
こゝ
に
於
おい
て
王
わう
たちて
門
もん
に
坐
ざ
す
人々
ひと〴〵
凡
すべて
の
民
たみ
に
吿
つげ
て
視
み
よ
王
わう
は
門
もん
に
坐
ざ
し
居
を
るといひければ
民
たみ
皆
みな
王
わう
のまへにいたる
然
され
どイスラエルはおのむの
其
その
天
てん
幕
まく
に
逃󠄄
にげ
かへれり
9
イスラエルの
諸
もろ〳〵
の
支派
わかれ
の
中
うち
に
民
たみ
皆
みな
爭
あらそ
ひていひけるは
王
わう
は
我儕
われら
を
敵
てき
の
手
て
より
救
すく
ひいだしまた
我儕
われら
をペリシテ
人
びと
の
手
て
より
助
たす
けいだせりされど
今
いま
はアブサロムのために
國
くに
を
逃󠄄
にげ
いでたり
601㌻
10
また
我儕
われら
が
膏
あぶら
そそぎて
我儕
われら
の
上
うへ
にかきしアブサロムは
戰爭
いくさ
に
死
し
ねりされば
爾
なんぢ
ら
何
なん
ぞ
王
わう
を
導󠄃
みちび
きかへらんことと
言
いは
ざるや
11
ダビデ
王
わう
祭司
さいし
ザドクとアビヤタルに
言
いひ
つかはしけるはユダの
長老等
としよりたち
に
吿
つげ
て
言
い
ヘイスラエルの
全󠄃家
ぜんか
の
言語
ことば
王
わう
の
家
いへ
に
達󠄃
たつ
せしに
爾
なんぢ
ら
何
なん
ぞ
王
わう
を
其
その
家
いへ
に
導󠄃
みちび
きかへる
最後
いやはて
となるや
〘461㌻〙
12
爾等
なんぢら
はわが
兄弟
きやうだい
爾
なんぢ
らはわが
骨
こつ
肉
にく
なりしかるになんぞ
爾等
なんぢら
王
わう
を
導󠄃
みちび
き
歸
かへ
る
最後
いやはて
となるやと
13
又󠄂
また
アマサに
言
いふ
べし
爾
なんぢ
はわが
骨
こつ
肉
にく
にあらずや
爾
なんぢ
ヨアブにかはりて
常
つね
にわがまへにて
軍長
ぐんのかしら
たるべし
若
も
しからずば
神
かみ
我
われ
に
斯
かく
なし
又󠄂
また
重
かさ
ねてかくなしたまへと
14
かくダビデ、ユダの
凡
すべて
の
人
ひと
をして
其心
そのこころ
を
傾
かたむ
けて
一
いち
人
にん
のごとくにならしめければかれら
王
わう
にねがはくは
爾
なんぢ
および
爾
なんぢ
の
諸
すべて
の
臣僕
けらい
歸
かへ
りたまへといひおくれり
15
是
こゝ
において
王
わう
歸
かへ
りてヨルダンにいたるにユダの
人々
ひと〴〵
王
わう
を
迎󠄃
むか
へんとて
來
きた
りてギルガルにいたり
王
わう
を
送󠄃
おく
りてヨルダンを
濟
わた
らんとす
16
時
とき
にバホリムのベニヤミン
人
びと
ゲラの
子
こ
シメイ
急󠄃
いそ
ぎてユダの
人々
ひと〴〵
とともに
下
くだ
りダビデ
王
わう
を
迓
むか
ふ
17
一
いつ
千
せん
のベニヤミン
人
びと
彼
かれ
とともにあり
亦
また
サウルの
家
いへ
の
僕
しもべ
ヂバも
其
その
十五
人
にん
の
男子
むすこ
と二十
人
にん
の
僕
しもべ
をしたがへて
偕
とも
に
居
ゐ
たりしが
皆
みな
王
わう
のまへにむかひてヨルダンをこぎ
渡
わたり
れり
18
時
とき
に
王
わう
の
家族
かぞく
を
濟
わた
しまた
王
わう
の
目
め
に
善
よし
と
見
み
ゆるところを
爲
なさ
んとて
濟舟
わたしぶね
を
濟
わた
せり
爰
こゝ
にゲラの
子
こ
シメイ、ヨルダンを
濟
わた
れる
時
とき
王
わう
のまへに
伏
ふ
して
19
王
わう
にいひけるはわが
主
しゆ
よねがはくは
罪
つみ
を
我
われ
に
歸
き
するなかれまた
王
わう
わが
主
しゆ
のエルサレムより
出
いで
たまへる
日
ひ
に
僕
しもべ
が
爲
なし
たる
惡
あし
き
事
こと
を
記憶
おぼ
えたまふなかれねがはくは
王
わう
これを
心
こゝろ
に
置
おき
たまふなかれ
20
其
そ
は
僕
しもべ
我
わが
罪
つみ
を
犯
をか
したるを
知
し
ればなり
故
ゆゑ
に
視
み
よ
我
われ
今日
こんにち
ヨセフの
全󠄃家
ぜんか
の
最初
いやさき
に
下
くだ
り
來
きた
りて
王
わう
わが
主
しゆ
を
迓
むか
ふと
602㌻
21
然
しかる
にゼルヤの
子
こ
アビシヤイ
答
こた
へていひけるはシメイはヱホバの
膏
あぶら
そそぎし
者
もの
を
詛
のろひ
たるに
因
より
て
其
それ
がために
誅
ころ
さるべきにあらずやと
22
ダビデいひけるは
爾
なんぢ
らゼルヤの
子
こ
よ
爾
なんぢ
らのあづかるところにあらず
爾等
なんぢら
今日
けふ
我
われ
に
敵
てき
となる
今日
けふ
豈
あに
イスラエルの
中
うち
にて
人
ひと
を
誅
ころ
すべけんや
我
われ
豈
あに
わが
今日
けふ
イスラエルの
王
わう
となりたるをしらざらんやと
23
是
こゝ
をもて
王
わう
はシメイに
爾
なんぢ
は
誅
ころ
されじといひて
王
わう
かれに
誓
ちか
へり
24
爰
こゝ
にサウルの
子
こ
メピボセテ
下
くだ
りて
王
わう
をむかふ
彼
かれ
は
王
わう
の
去
さり
し
日
ひ
より
安
やすら
かに
歸
かへ
れる
日
ひ
まで
其
その
足
あし
を
飾󠄃
かざ
らず
其
その
鬚
ひげ
を
飾󠄃
かざ
らず
又󠄂
また
其
その
衣
ころも
を
濯󠄄
あらは
ざりき
25
彼
かれ
エルサレムよりきたりて
王
わう
を
迓
むか
ふる
時
とき
王
わう
かれにいひけるはメビボセテ
爾
なんぢ
なんぞ
我
われ
とともに
徃
ゆか
ざりしや
26
彼
かれ
こたへけるはわが
主
しゆ
王
わう
よわが
僕
けらい
我
われ
を
欺
あざむ
けり
僕
しもべ
はわれ
驢馬
ろば
に
鞍
くら
おきて
其
それ
に
乘
のり
て
王
わう
の
處
ところ
にゆかんといへり
僕
しもべ
跛者
あしなへ
なればなり
27
しかるに
彼
かれ
僕
しもべ
を
王
わう
わが
主
しゆ
に
讒言
ざんげん
せり
然
しかれ
ども
王
わう
わが
主
しゆ
は
神
かみ
の
使
つかひ
のごとし
故
ゆゑ
に
爾
なんぢ
の
目
め
に
善
よし
と
見
みゆ
るところを
爲
なし
たまへ
〘462㌻〙
28
わが
父󠄃
ちゝ
の
全󠄃家
ぜんか
は
王
わう
わが
主
しゆ
のまへには
死
しにたる
人
ひと
なるのみなるに
爾
なんぢ
僕
しもべ
を
爾
なんぢ
の
席
せき
にて
食󠄃
くら
ふ
者
もの
の
中
うち
に
置
おき
たまへりされば
我
われ
何
なに
の
理
ことはり
ありてか
重
かさ
ねて
王
わう
に
哀訴
うつたふ
ることをえん
29
王
わう
かれにいひけるは
爾
なんぢ
なんぞ
重
かさ
ねて
爾
なんぢ
の
事
こと
を
言
いふ
や
我
われ
いふ
爾
なんぢ
とヂバ
其
その
地
ち
を
分󠄃
わか
つべし
30
メピボセテ
王
わう
にいひけるは
王
わう
わが
主
しゆ
安然
やすらか
に
其
その
家
いへ
に
歸
かへ
りたまひたればかれに
之
これ
を
悉
こと〴〵
くとらしめたまへと
31
爰
こゝ
にギレアデ
人
びと
バルジライ、ロゲリムより
下
くだ
り
王
わう
を
送󠄃
おく
りてヨルダンを
渡
わた
らんとて
王
わう
とともにヨルダンを
濟
わた
れり
32
バルジライは
甚
はなは
だ
老
おい
たる
人
ひと
にて八十
歳
さい
なりきかれは
甚
はなは
だ
大
おほい
なる
人
ひと
なれば
王
わう
のマハナイムに
留
とゞま
れる
間
あひだ
王
わう
を
養󠄄
やしな
へり
33
王
わう
バルジライにいひけるは
爾
なんぢ
我
われ
とともに
濟
わた
り
來
きた
れ
我
われ
エルサレムにて
爾
なんぢ
を
我
われ
とともに
養󠄄
やしな
はん
34
バルジライ
王
わう
にいひけるはわが
生命
いのち
の
年
とし
の
日
ひ
尙
なほ
幾何
いくばく
ありてか
我
われ
王
わう
とともにエルサレムに
上
のぼ
らんや
35
我
われ
は
今日
こんにち
八十
歳
さい
なり
善
よ
きと
惡
あし
きとを
辨
わきま
へるをえんや
僕
しもべ
其
その
食󠄃
くら
ふところと
飮
のむ
ところを
味
あじは
ふをえんや
我
われ
再
ふたゝ
び
謳歌之
うたうたふ
男
をとこ
と
謳歌之
うたうたふ
女
をんな
の
聲
こゑ
を
聽
きゝ
えんや
僕
しもべ
なんぞ
尙
なほ
王
わう
わが
主
しゆ
の
累
わづらひ
となるべけんや
603㌻
36
僕
しもべ
は
王
わう
とともにヨルダンを
濟
わた
りて
只
たゞ
少
すこ
しくゆかん
王
わう
なんぞこの
報賞
むくい
を
我
われ
に
報
むく
ゆるに
及
およ
ばんや
37
請󠄃
こ
ふ
僕
しもべ
を
歸
かへ
らしめよ
我
われ
自己
おのれ
の
邑
まち
にてわが
父󠄃母
ちちはは
の
墓
はか
の
側
そば
に
死
しな
ん
但
たゞ
し
僕
しもべ
キムハムを
視
み
たまへかれを
王
わう
わが
主
しゆ
とともに
濟
わた
り
徃
ゆか
しめたまへ
又󠄂
また
爾
なんぢ
の
目
め
に
善
よし
と
見
み
る
所󠄃
ところ
を
彼
かれ
になしたまへ
38
王
わう
いひけるはキムハム
我
われ
とともに
濟
わた
り
徃
ゆ
くべし
我
われ
爾
なんぢ
の
目
め
に
善
よし
と
見
み
ゆる
所󠄃
ところ
をかれに
爲
なさ
ん
又󠄂
また
爾
なんぢ
が
望󠄇
のぞ
みて
我
われ
に
求
もと
むる
所󠄃
ところ
は
皆
みな
我
われ
爾
なんぢ
のために
爲
な
すべしと
39
民
たみ
皆
みな
ヨルダンを
濟
わた
れり
王
わう
渡
わたり
りし
時
とき
王
わう
バルジライに
接吻
くちつけ
してこれを
祝
しゆく
す
彼
かれ
遂󠄅
つひ
に
己
おのれ
の
所󠄃
ところ
に
歸
かへ
れり
40
かくて
王
わう
ギルガルに
進󠄃
すゝ
むにキムハムかれとともに
進󠄃
すゝ
めりユダの
民
たみ
皆
みな
王
わう
を
送󠄃
おく
れりイスラエルの
民
たみ
の
半󠄃
なかば
も
亦
また
しかり
41
是
こゝ
にイスラエルの
人々
ひと〴〵
皆
みな
王
わう
の
所󠄃
ところ
にいたりて
王
わう
にいひけるは
我儕
われら
の
兄弟
きやうだい
なるユダの
人々
ひと〴〵
何故
なにゆゑ
に
爾
なんぢ
を
竊
ぬす
みさり
王
わう
と
其
その
家族
かぞく
およびダビデとともなる
其
その
凡
すべて
の
從者
じふしや
を
送󠄃
おく
りてヨルダンを
濟
わた
りしやと
42
ユダの
人々
ひと〴〵
皆
みな
イスラエルの
人々
ひと〴〵
に
對
こた
へていふ
王
わう
は
我
われ
に
近󠄃
ちか
きが
故
ゆゑ
なり
爾
なんぢ
なんぞ
此事
このこと
について
怒
いか
るや
我儕
われら
王
わう
の
物
もの
を
食󠄃
くら
ひしことあるや
王
わう
我儕
われら
に
賜物
たまもの
を
與
あた
へたることあるや
43
イスラエルの
人
ひと
ユダの
人
ひと
に
對
こたへ
ていひけるは
我
われ
は
王
わう
のうちに
十
とを
の
分󠄃
ぶん
を
有
も
ち
亦
また
ダビデのうちにも
我
われ
は
爾
なんぢ
よりも
多
おほく
を
有
も
つなりしかるに
爾
なんぢ
なんぞ
我
われ
らを
輕
かろん
じたるやわが
王
わう
を
導󠄃
みちび
きかへらんと
言
いひ
しは
我
われ
最初
いやさき
なるにあらずやとされどユダの
人々
ひと〴〵
の
言
ことば
はイスラエルの
人々
ひと〴〵
の
言
ことば
よりも
厲
はげ
しかりき
〘463㌻〙
第20章
1
爰
こゝ
に
一人
ひとり
の
邪
よこしま
なる
人
ひと
あり
其
その
名
な
をシバといビクリの
子
こ
にしてベニヤミン
人
びと
なり
彼
かれ
喇叭
らつぱ
を
吹
ふき
ていひけるは
我儕
われら
はダビデの
中
うち
に
分󠄃
ぶん
なし
又󠄂
また
ヱサイの
子
こ
のうちに
產業
さんげふ
なしイスラエルよ
各人
おの〳〵
其
その
天
てん
幕
まく
に
歸
かへ
れよと
2
是
これ
によりてイスラエルの
人
ひと
皆
みな
ダビデに
隨
したが
ふことを
止
やめ
てのぼりビクリの
子
こ
シバにしたがへり
然
され
どユダの
人々
ひと〴〵
は
其
その
王
わう
に
附
つき
てヨルダンよりエルサレムにいたれり
604㌻
3
ダビデ、エルサレムにある
己
おのれ
の
家
いへ
にいたり
王
わう
其
その
遺󠄃
のこ
して
家
いへ
を
守
まも
らせたる
妾
めかけ
なる十
人
にん
の
婦󠄃
をんな
をとりてこれを
一
ひとつ
の
室
いへ
に
守
まも
り
置
おき
て
養󠄄
やしな
へりされどかれらの
處
ところ
には
入
いら
ざりき
斯
かく
かれらは
死
しぬ
る
日
ひ
まで
閉
とぢ
こめられて
生涯
しやうがい
嫠婦󠄃
やもめ
にてすごせり
4
爰
こゝ
に
王
わう
アマサにいひけるは
我
わが
ために
三日
みつか
のうちにユダの
人々
ひと〴〵
を
召
よび
きたれしかして
爾
なんぢ
此處
こゝ
にをれ
5
アマサ
乃
すなは
ちユダを
召
よび
あつめんとて
徃
ゆき
たりしが
彼
かれ
ダビデが
定
さだ
めたる
期
とき
よりも
長
なが
く
留
とゞま
れり
6
是
こゝ
においてダビデ、アビシヤイにいひけるはビクリの
子
こ
シバ
今
いま
我儕
われら
にアブサロムよりもおほくの
害󠄅
がい
をなさんとす
爾
なんぢ
の
主
しゆ
の
臣僕
けらい
を
率󠄃
ひき
ゐて
彼
かれ
の
後
あと
を
追󠄃
お
へ
恐
おそ
らくは
彼
かれ
堅固
けんご
なる
城邑
まち
を
獲
え
て
我儕
われら
の
目
め
を
逃󠄄
のが
れんと
7
是
これ
によりてヨアブの
從者
じふしや
とケレテ
人
びと
とペレテ
人
びと
および
都
すべて
の
勇士
いうし
彼
かれ
にしたがびて
出
いで
たり
即
すなは
ち
彼等
かれら
エルサレムより
出
いで
てビクリの
子
こ
シバの
後
あと
を
追󠄃
お
ふ
8
彼等
かれら
がギベオンにある
大
おほ
石
いし
の
傍
かたはら
に
居
を
りし
時
とき
アマサかれらにむかひ
來
きた
れり
時
とき
にヨアブ
戎
いくさ
衣
ごろも
に
帶
おび
を
結
しめ
て
衣服󠄃
ころも
となし
其
その
上
うへ
に
刀
かたな
を
鞘
さや
にをさめ
腰
こし
に
結
むす
びて
帶
お
び
居
ゐ
たりしが
其
その
劍
かたな
脱
ぬ
け
墮
お
ちたり
9
ヨアブ、アマサにわが
兄弟
きやうだい
よ
爾
なんぢ
は
平󠄃康
やすらか
なるやといひて
右
みぎ
の
手
て
をもてアマサの
鬚
ひげ
を
將
とらへ
て
彼
かれ
に
接吻
くちつけ
せんとせしが
10
アマサはヨアブの
手
て
にある
劍
かたな
に
意󠄃
こころ
を
留
とめ
ざりければヨアブ
其
それ
をもてアマサの
腹
はら
を
刺
さ
して
其
その
膓
はらわた
を
地
ち
に
流
なが
しいだし
重
かさ
ねて
擊
うつ
に
及
およ
ばざらしめてこれをころせり
かくてヨアブと
其
その
兄弟
きやうだい
アビシヤイ、ビクリの
子
こ
シバの
後
あと
を
追󠄃
おへ
り
11
時
とき
にヨアブの
少者
わかもの
の
一人
ひとり
アマサの
側
そば
にたちていふヨアブを
助
たす
くる
者
もの
とダビデに
附從
つく
ものはヨアブの
後
あと
に
隨
したが
へと
12
アマサは
血
ち
に
染
そみ
て
大路
おほぢ
の
中
なか
に
轉
まろ
び
居
ゐ
たり
斯
この
人民
たみ
の
皆
みな
立
たち
どまるを
見
み
てアマサを
大路
おほぢ
より
田
はたけ
に
移
うつ
したるが
其
その
側
かたはら
にいたれる
者
もの
皆
みな
見
み
て
立
た
ちとまりければ
衣
ころも
を
其
その
上
うへ
にかけたり
〘464㌻〙
13
アマサ
大路
おほぢ
より
移
うつ
されければ
人
ひと
皆
みな
ヨアブにしたがひ
進󠄃
すゝ
みてビクリの
子
こ
シバの
後
あと
を
追󠄃
お
ふ
605㌻
14
彼
かれ
イスラエルの
凡
すべて
の
支派
わかれ
の
中
うち
を
行
ゆき
てアベルとベテマアカに
至
いた
るに
少年
せうねん
皆
みな
集
あつま
りて
亦
また
かれにしたがひゆけり
15
かくて
彼等
かれら
來
きた
りて
彼
かれ
をアベル、ベテマアカに
圍
かこ
み
城邑
まち
にむかひて
壘
るゐ
を
築
きづ
けり
是
これ
は
壕
ほり
の
中
なか
にたてりかくしてヨアブとともにある
民
たみ
皆
みな
石垣
いしがき
を
崩󠄃
くづ
さんとてこれを
擊
うち
居
を
りしが
16
一箇
ひとり
の
哲
かしこ
き
婦󠄃
をんな
城邑
まち
より
呼
よば
はりていふ
爾
なんぢ
ら
聽
きけ
よ
爾
なんぢ
ら
聽
きけ
よ
請󠄃
こ
ふ
爾
なんぢ
らヨアブに
此
こゝ
に
近󠄃
ちか
よれ
我
われ
爾
なんぢ
に
言
ものいは
んと
言
い
へと
17
かれ
其
その
婦󠄃
をんな
にちかよるに
婦󠄃
をんな
いひけるは
爾
なんぢ
はヨアブなるやかれ
然
しか
りといひければ
婦󠄃
をんな
彼
かれ
にいふ
婢
しもめ
の
言
ことば
を
聽
き
けかれ
我
われ
聽
き
くといふ
18
婦󠄃
をんな
即
すなは
ち
語
かた
りていひけるは
昔
むかし
人々
ひと〴〵
誠
まこと
に
語
かた
りて
人
ひと
必
かなら
ずアベルにおいて
索問
たづぬ
べしといひて
事
こと
を
終󠄃
を
ふ
19
我
われ
はイスラエルの
中
うち
の
平󠄃和
おだやか
なる
忠義
ちうぎ
なる
者
もの
なりしかるに
爾
なんぢ
はイスラルの
中
うち
にて
母
はゝ
ともいふべき
城邑
まち
を
滅
ほろぼ
さんことを
求
もと
む
何
なに
ゆゑに
爾
なんぢ
ヱホバの
產業
さんげふ
を
呑
の
み
盡
つく
さんとするや
20
ヨアブ
答
こた
へていひけるは
決
きは
めてしからず
決
きは
めてしからずわれ
呑
の
み
盡
つく
し
或
あるひ
は
滅
ほろ
ぼさんとすることなし
21
其
その
事
こと
しからずエフライムの
山地
やまち
の
人
ひと
ビクリの
子
こ
名
な
はシバといふ
者
もの
手
て
を
擧
あげ
て
王
わう
ダビデに
敵
てき
せり
爾
なんぢ
ら
只
たゞ
彼
かれ
一人
ひとり
を
付
わた
せ
然
しか
らば
我
われ
此
この
邑
まち
をさらんと
婦󠄃
をんな
ヨアブにいひけるは
視
み
よ
彼
かれ
の
首級
くび
は
石垣
いしがき
の
上
うへ
より
爾
なんぢ
に
投
なげ
いだすべし
22
かくて
婦󠄃
をんな
其
その
智慧󠄄
ちゑ
をもて
凡
すべて
の
民
たみ
の
所󠄃
ところ
にいたりければかれらビクリの
子
こ
シバの
首級
くび
を
刎
はね
てヨアブの
所󠄃
ところ
に
投
なげ
出
いだ
せり
是
こゝ
においてヨアブ
喇叭
らつぱ
を
吹
ふき
ならしければ
人々
ひと〴〵
散
ちり
て
邑
まち
より
退󠄃
しりぞ
きておのおの
其
その
天
てん
幕
まく
に
還󠄃
かへ
りぬヨアブはエルサレムにかへりて
王
わう
の
處
ところ
にいたれり
23
ヨアブはイスラエルの
全󠄃
ぜん
軍
ぐん
の
長
かしら
なりヱホヤダの
子
こ
ベナヤはケレテ
人
びと
とペレテ
人
びと
の
長
かしら
なり
24
アドラムは
徴募
ちやうぼの
長
かしら
なりアヒルデの
子
こ
ヨシヤパテは
史官
しくわん
なり
25
シワは
書記
しよき
官
くわん
なりザドクとアビヤタルは
祭司
さいし
なり
26
亦
また
ヤイル
人
びと
イラはダビデの
大臣
だいじん
なり
606㌻
第21章
1
ダビデの
世
よ
に
年
とし
復
また
年
とし
と
三
さん
年
ねん
饑饉
ききん
ありければダビデ、ヱホバに
問
とふ
にヱホバ
言
いひ
たまひけるは
是
これ
はサウルと
血
ち
を
流
なが
せる
其
その
家
いへ
のためなり
其
そ
は
彼
かれ
嘗
かつ
てギベオン
人
びと
を
殺
ころ
したればなりと
2
是
こゝ
において
王
わう
ギベオン
人
びと
を
召
めし
てかれらにいへりギベオン
人
びと
はイスラエルの
子孫
しそん
にあらずアモリ
人
びと
の
殘餘
のこり
なりしがイスラエルの
子孫
ひと〴〵
昔
むかし
彼等
かれら
に
誓
ちかひ
をなしたり
然
しか
るにサウル、イスラエルとユダの
子孫
ひと〴〵
に
熱心
ねつしん
なるよりして
彼等
かれら
を
殺
ころ
さんと
求
もと
めたり
〘465㌻〙
3
即
すなは
ちダビデ、ギベオン
人
びと
にいひけるは
我
われ
汝等
なんぢら
のために
何
なに
を
爲
な
すべきか
我
われ
何
なん
の
賠償
つくのひ
を
爲
な
さば
汝等
なんぢら
ヱホバの
產業
さんげふ
を
祝
しゆく
するや
4
ギベオン
人
びと
彼
かれ
にいひけるは
我儕
われら
はサウルと
其
その
家
いへ
の
金銀
きんぎん
を
取
とら
じ
又󠄂
また
汝
なんぢ
は
我
われ
らのためにイスラエルの
中
うち
の
人
ひと
一人
ひとり
をも
殺
ころ
すなかれダビデいひけるは
汝等
なんぢら
が
言
い
ふ
所󠄃
ところ
は
我
われ
汝
なんぢ
らのために
爲
なさ
ん
5
彼等
かれら
王
わう
にいひけるは
我儕
われら
を
滅
ほろぼ
したる
人
ひと
我儕
われら
を
殲
たや
してイスラエルの
境
さかひ
の
中
うち
に
居留
とゞまら
ざらしめんとて
我儕
われら
にむかひて
謀
はかりごと
を
設
まう
けし
人
ひと
6
請󠄃
こ
ふ
其人
そのひと
の
子孫
しそん
七
人
にん
を
我儕
われら
に
與
あた
へよ
我儕
われら
ヱホバの
選󠄄
えら
みたるサウルのギベアにて
彼等
かれら
をヱホバのまへに
懸
かけ
ん
王
わう
いふ
我
われ
與
あた
ふべしと
7
されど
王
わう
サウルの
子
こ
ヨナタンの
子
こ
なるメピボセテを
惜
をし
めり
是
こ
は
彼
かれ
等
ら
のあひだ
即
すなは
ちダビデとサウルの
子
こ
ヨナタンとの
間
あひだ
にヱホバを
指
さ
して
爲
なせ
る
誓
ちかひ
あるに
因
よれ
り
8
されど
王
わう
アヤの
女
むすめ
リヅパがサウルに
生
うみ
し
二人
ふたり
の
子
こ
アルモニとメピボセテおよびサウルの
女
むすめ
メラブがメホラ
人
びと
バルジライの
子
こ
アデリエルに
生
うみ
し五
人
にん
の
子
こ
を
取
と
りて
9
かれらをギベオン
人
びと
の
手
て
に
與
あた
へければギベオン
人
びと
かれらを
山
やま
の
上
うへ
にてヱホバの
前󠄃
まへ
に
懸
かけ
たり
彼等
かれら
七
人
にん
俱
とも
に
斃
たふ
れて
刈穫
かりいれ
の
初
はつの
日
ひ
即
すなは
ち
大
おほ
麥
むぎ
刈
かり
の
初時
はじめ
に
死
しね
り
10
アヤの
女
むすめ
リヅパ
麻󠄃布
あさぬの
を
取
と
りて
刈穫
かりいれ
の
初時
はじめ
より
其
その
屍
しかばねの
上
うへ
に
天
てん
より
雨
あめ
ふるまでこれをおのれのために
磐
いは
の
上
うへ
に
布
し
きおきて
晝
ひる
は
空󠄃
そら
の
鳥
とり
を
屍
しかばね
の
上
うへ
に
止
とゞま
らしめず
夜
よる
は
野
の
の
獸
けもの
をちかよらしめざりき
11
爰
こゝ
にアヤの
女
むすめ
サウルの
妾
めかけ
リヅパの
爲
なせ
しことダビデに
聞
きこ
えければ
607㌻
12
ダビデ
徃
ゆき
てサウルの
骨
ほね
と
其
その
子
こ
ヨナタンの
骨
ほね
をヤベシギレアデの
人々
ひと〴〵
の
所󠄃
ところ
より
取
とれ
り
是
これ
はペリシテ
人
びと
がサウルをギルボアに
殺
ころ
してベテシヤンの
衢
ちまた
に
懸
かけ
たるをかれらが
竊
ぬす
みさりたるものなり
13
ダビデ
其處
そこ
よりサウルの
骨
ほね
と
其
その
子
こ
ヨナタンの
骨
ほね
を
携
たづさ
へ
上
のぼ
れりまた
人々
ひと〴〵
其
その
懸
かけ
られたる
者等
ものども
の
骨
ほね
を
斂
あつめ
たり
14
かくてサウルと
其
その
子
こ
ヨナタンの
骨
ほね
をベニヤミンの
地
ち
のゼラにて
其
その
父󠄃
ちゝ
キシの
墓
はか
に
葬
はうむ
り
都
すべ
て
王
わう
の
命
めい
じたる
所󠄃
ところ
を
爲
なせ
り
比
これ
より
後
のち
神
かみ
其
その
地
ち
のため
祈禱
いのり
を
聽
きゝ
たまへり
15
ペリシテ
人
びと
復
また
イスラエルと
戰爭
いくさ
を
爲
な
すダビデ
其
その
臣僕
けらい
とともに
下
くだ
りてペリシテ
人
びと
と
戰
たゝか
ひけるがダビデ
困憊
つかれ
居
を
りければ
16
イシビベノブ、ダビデを
殺
ころ
さんと
思
おも
へり(イシビベノブは
巨󠄃人
おほをとこ
の
子等
こども
の
一人
ひとり
にて
其
その
槍
やり
の
銅
あかがね
の
重
おもさ
は三
百
びやく
シケルあり
彼
かれ
新
あたら
しき
劒
かたな
を
帶
おび
たり)
〘466㌻〙
17
しかれどもゼルヤの
子
こ
アビシヤイ、ダビデを
助
たす
けて
其
その
ペリシテ
人
びと
を
擊
う
ち
殺
ころ
せり
是
こゝ
においてダビデの
從者
じふしや
かれに
誓
ちか
ひていひけるは
汝
なんぢ
は
再
ふたゝび
我儕
われら
と
共
とも
に
戰爭
いくさ
に
出
いづ
べからず
恐
おそ
らくは
爾
なんぢ
イスラエルの
燈光
あかり
を
消󠄃
き
さんと
18
此
この
後
のち
再
ふたゝ
びゴブにおいてペリシテ
人
びと
と
戰
たたかひ
あり
時
とき
にホシヤ
人
びと
シベカイ
巨󠄃人
おほをとこ
の
子等
こども
の
一人
ひとり
なるサフを
殺
ころ
せり
19
爰
こゝ
に
復
また
ゴブにてペリシテ
人
びと
と
戰
たたかひ
あり
其處
そこ
にてベテレヘム
人
びと
ヤレオレギムの
子
こ
エルハナン、ガテのゴリアテの
兄弟
きやうだい
ラミを
殺
ころ
せり
其
その
槍
やり
の
柄
え
は
機
はた
の
梁
はり
の
如
ごと
くなりき
20
又󠄂
また
ガテに
戰
たたかひ
ありしが
其處
そこ
に
一人
ひとり
の
身
たけ
長
たか
き
人
ひと
あり
手
て
には
各
おの〳〵
六
むつ
の
指
ゆび
あり
足
あし
には
各
おの〳〵
六
むつ
の
指
ゆび
ありて
其
その
數
かず
合
あは
せて二十四なり
彼
かれ
もまた
巨󠄃人
おほをとこ
の
生
うめ
る
者
もの
なり
21
彼
かれ
イスラエルを
挑
いど
みしかばダビデに
兄弟
きやうだい
シメアの
子
こ
ヨナタン
彼
かれ
を
殺
ころ
せり
22
是
これ
らの
四
よ
人
にん
はガテにて
巨󠄃人
おほをとこ
の
生
うめ
るものなりしがダビデの
手
て
と
其
その
臣僕
けらい
の
手
て
に
斃
たふ
れたり
608㌻
第22章
1
ダビデ、ヱホバが
己
おのれ
を
諸
もろ〳〵
の
敵
てき
の
手
て
とサウルの
手
て
より
救
すく
ひいだしたまへる
日
ひ
に
此
この
歌
うた
の
言
ことば
をヱホバに
陳
のべ
たり
曰
いは
く
2
ヱホバはわが
巖
いはほ
わが
要󠄃害󠄅
えうがい
我
われ
を
救
すく
ふ
者
もの
3
わが
磐
いは
の
神
かみ
なりわれ
彼
かれ
に
倚賴
よりたの
むヱホバはわが
干
たて
わが
救
すくひ
の
角
つの
わが
高
たか
櫓
やぐら
わが
逃󠄄躱處
のがれば
わが
救主
すくひぬし
なり
爾
なんぢ
我
われ
をすくひて
暴
あら
き
事
こと
を
免
まぬか
れしめたまふ
4
我
われ
ほめまつるべきヱホバに
呼
よば
はりてわが
敵
てき
より
救
すく
はる
5
死
し
の
波濤
なみ
われを
繞
かこ
み
邪曲
よこしま
なる
者
もの
の
河
かは
われをおそれしむ
6
冥府
よみ
の
繩
なは
われをとりまき
死
し
の
機檻
わな
われにのぞめり
7
われ
艱難
なやみ
のうちにヱホバをよびまたわが
神
かみ
に
龥
よばは
れりヱホバ
其
その
殿
みや
よりわが
聲
こゑ
をききたまひわが
喊呼
さけび
其
その
耳
みゝ
にいりぬ
8
爰
こゝ
に
地
ち
震
ふる
ひ
撼
うご
き
天
てん
の
基
もとゐ
動
うご
き
震
ふる
へりそは
彼
かれ
怒
いか
りたまへばなり
9
烟
けむり
其
その
鼻
はな
より
出
いで
てのぽり
火
ひ
その
口
くち
より
出
いで
て
燒
や
きつくしおこれる
炭
すみ
かれより
燃
もえ
いづ
10
彼
かれ
天
てん
を
傾
かたむ
けて
下
くだ
りたまふ
黑雲
くろくも
その
足
あし
の
下
した
にあり
11
ケルブに
乘
のり
て
飛
と
び
風
かぜ
の
翼
つばさ
の
上
うへ
にあらはれ
12
其
その
周󠄃圍
まはり
に
黑暗󠄃
やみ
をおき
集
あつ
まれる
水
みづ
密雲
あつきくも
を
幕
まく
としたまふ
13
そのまへの
光
ひかり
より
炭
すみ
火
び
燃
もえ
いづ
14
ヱホバ
天
てん
より
雷
いかづち
をくだし
最
いと
高
たかき
者
もの
聲
こゑ
をいだし
15
又󠄂
また
箭
や
をはなちて
彼等
かれら
をちらし
電
いなびかり
をはなちて
彼等
かれら
をうちやぶりたまへり
16
ヱホバの
叱咤
せめ
とその
鼻
はな
の
氣吹
いぶき
の
風
かぜ
によりて
海
うみ
の
底
そこ
あらはれいで
地
ち
の
基
もとゐ
あらはになりぬ
17
ヱホバ
上
うへ
より
手
て
をたれて
我
われ
をとり
洪水
おほみづ
の
中
うち
より
我
われ
を
引
ひき
あげ
18
またわが
勁
つよ
き
敵
てき
および
我
われ
をにくむ
者
もの
より
我
われ
をすくひたまへり
彼等
かれら
は
我
われ
よりも
强
つよ
かりければなり
19
彼等
かれら
はわが
菑災
わざはひ
の
日
ひ
にわれに
臨
のぞ
めりされどヱホバわが
支柱
ささへ
となり
20
我
われ
を
廣
ひろ
き
處
ところ
にひきいだしわれを
喜
よろこ
ぶがゆゑに
我
われ
をすくひたまへり
〘467㌻〙
21
ヱホバわが
義
ただしき
にしたがひて
我
われ
に
報
むく
い
吾
わが
手
て
の
淸潔󠄄
きよき
にしたがひて
我
われ
に
酬
かへ
したまへり
609㌻
22
其
そ
はわれヱホバの
道󠄃
みち
をまもり
惡
あしき
をなしてわが
神
かみ
に
離
はなれ
しことなければなり
23
その
律例
さだめ
は
皆
みな
わがまへにあり
其
その
法憲
のり
は
我
われ
これを
離
はな
れざるなり
24
われ
神
かみ
にむかひて
完全󠄃
まつた
かり
又󠄂
また
身
み
を
守
まも
りて
惡
あく
を
避󠄃
さけ
たり
25
故
ゆゑ
にヱホバわが
義
ただしき
にしたがひ
其
その
目
め
のまへにわが
潔󠄄白
きよく
あるに
循
したが
ひてわれに
報
むく
いたまへり
26
矜恤
めぐみある
者
もの
には
爾
なんぢ
矜恤
めぐみ
ある
者
もの
のごとくし
完全󠄃
まつたき
人
ひと
には
爾
なんぢ
完全󠄃
まつたき
者
もの
のごとくし
27
潔󠄄白
きよき
者
もの
には
爾
なんぢ
潔󠄄白
きよき
もののごとくし
邪曲
まがれる
者
もの
には
爾
なんぢ
嚴刻
きびしき
者
もの
のごとくしたまふ
28
難
なやめ
る
民
たみ
は
爾
なんぢ
これを
救
すくひ
たまふ
然
され
ど
矜高
たかぶる
者
もの
は
爾
なんぢ
の
目
め
見
み
て
之
これ
を
卑
ひくく
したまふ
29
ヱホバ
爾
なんぢ
はわが
燈火
ともしび
なりヱホバわが
暗󠄃
くらき
をてらしたまふ
30
われ
爾
なんぢ
によりて
軍隊
いくさ
の
中
なか
を
驅
かけ
とほりわが
神
かみ
に
由
より
て
石垣
いしがき
を
飛
とび
こゆ
31
神
かみ
は
其
その
道󠄃
みち
まつたしヱホバの
言
ことば
は
純粋
まじり
なし
彼
かれ
は
都
すべ
て
己
おのれ
に
倚賴
よりたの
む
者
もの
の
干
たて
となりたまふ
32
夫
それ
ヱホバのほか
誰
たれ
か
神
かみ
たらん
我儕
われら
の
神
かみ
のほか
敦
たれ
か
磐
いは
たらん
33
神
かみ
はわが
强
つよ
き
堅衆
しう
にてわが
道󠄃
みち
を
全󠄃
まつた
うし
34
わが
足
あし
を
麀
めじか
の
如
ごと
くなし
我
われ
をわが
崇邱
たかきところ
に
立
たゝ
しめたまふ
35
神
かみ
わが
手
て
に
戰
たたかひ
を
敎
をし
へたまへばわが
腕
うで
は
銅
あかがね
の
弓
ゆみ
をも
挽
ひく
を
得
う
36
爾
なんぢ
我
われ
に
爾
なんぢ
の
救
すくひ
の
干
たて
を
與
あた
へ
爾
なんぢ
の
慈悲
じひ
われを
大
おほい
ならしめたまふ
37
爾
なんぢ
わが
身
み
の
下
した
の
步
あゆみ
を
恢廓
ひろから
しめたまへば
我
われ
踝
くるぶし
ふるへず
38
われわが
敵
てき
を
追󠄃
おふ
て
之
これ
をほろぼし
之
これ
を
絕
たや
すまではかへらず
39
われ
彼等
かれら
を
絕
たや
し
彼等
かれら
を
破碎
くだけ
ば
彼等
かれら
たちえずわが
足
あし
の
下
した
にたふる
40
汝
なんぢ
戰
たたかひ
のために
力
ちから
をもて
我
われ
に
帶
おび
しめ
又󠄂
また
われに
逆󠄃
さから
ふ
者
もの
をわが
下
した
に
拜跪
ひざまづか
しめたまふ
41
爾
なんぢ
わが
敵
てき
をして
我
われ
に
後
うしろ
を
見
み
せしめたまふ
我
われ
を
惡
にく
む
者
もの
はわれ
之
これ
をほろぼさん
42
彼等
かれら
環視
みまは
せど
救
すく
ふ
者
もの
なしヱホバを
仰視
あふげ
ど
彼等
かれら
に
應
こたへ
たまはず
43
地
ち
の
塵
ちり
の
如
ごと
くわれ
彼等
かれら
をうちくだき
又󠄂
また
衢間
ちまた
の
泥
どろ
のごとくわれ
彼等
かれら
をふみにぢる
610㌻
44
爾
なんぢ
われをわが
民
たみ
の
爭鬪
あらそひ
より
救
すく
ひ
又󠄂
また
われをまもりて
異邦人
ことくにびと
等
ら
の
首長
かしら
となしたまふわが
知
しら
ざる
民
たみ
我
われ
につかふ
45
異邦人
ことくにびと
等
ら
は
我
われ
に
媚
こ
び
耳
みゝ
に
聞
きく
と
均
ひと
しく
我
われ
にしたがふ
46
異邦人
ことくにびと
等
ら
は
衰
おとろ
へ
其
その
衞所󠄃
かため
より
戰慄
ふるひ
て
出
い
づ
47
ヱホバは
活
いけ
る
者
もの
なりわが
磐
いは
は
讃
ほむ
べきかなわが
救
すくひ
の
磐
いは
の
神
かみ
はあがめまつるべし
48
此
この
神
かみ
われに
仇
あた
を
報
むく
いしめ
國々
くに〴〵
の
民
たみ
をわが
下
した
にくだらしめたまひ
49
又󠄂
また
わが
敵
てき
の
中
うち
よりわれを
出
いだ
し
我
われ
にさからふ
者
もの
の
上
うへ
に
我
われ
をあげまた
强暴人
あらきひと
の
許
もと
よりわれを
救
すく
ひいだしたまふ
50
是故
このゆえ
にヱホバよわれ
異邦人
ことくにびと
等
ら
のうちに
爾
なんぢ
をほめ
爾
なんぢ
の
名
な
を
稱
たゝ
へん
51
ヱホバその
王
わう
の
救
すくひ
をおほいにしその
受膏者
あぶらそそぎしもの
なるダビデと
其
その
裔
すゑ
に
永久
とこしなへ
に
恩
めぐみ
を
施
ほどこ
したまふなり
〘468㌻〙
第23章
1
ダビデの
最後
をはり
の
言
ことば
は
是
これ
なりヱサイの
子
こ
ダビデの
詔言
のりごと
即
すなは
ち
高
たか
く
擧
あげ
られし
人
ひと
ヤコブの
神
かみ
に
膏
あぶら
をそそがれし
者
もの
イスラエルの
善
よ
き
歌
うた
人
びと
の
詔言
のりごと
2
ヱホバの
靈
みたま
わが
中
うち
にありて
言
いひ
たまふ
其
その
諭言
さとし
わが
舌
した
にあり
3
イスラエルの
神
かみ
いひたまふイスラエルの
磐
いは
われに
語
つげ
たまふ
人
ひと
を
正
たゞし
く
治
をさ
むる
者
もの
神
かみ
を
畏
おそ
れて
治
をさ
むる
者
もの
は
4
日
ひ
の
出
で
の
朝󠄃
あさ
の
光
ひかり
のごとく
雲
くも
なき
朝󠄃
あさ
のごとく
又󠄂
また
雨
あめ
の
後
のち
の
日
ひ
の
光明
かがやき
によりて
地
ち
に
茁
もえ
いづる
新
わか
草
くさ
ごとし
5
わが
家
いへ
かく
神
かみ
とともにあるにあらずや
神
かみ
萬
よろづ
具󠄄備
そなは
りて
鞏固
たしか
なる
永久
とこしなへ
の
契󠄅約
けいやく
を
我
われ
になしたまへり
吾
わ
が
救
すくひ
と
喜
よろこび
を
皆
みな
いかで
生
しやう
ぜしめたまはざらんや
6
しかれども
邪
よこしま
なる
者
もの
は
荊棘
いばら
のごとくにして
手
て
をもて
取
とり
がたければ
皆
みな
ともにすてられん
7
之
これ
にふるる
人
ひと
は
鐵
てつ
と
槍
やり
の
柯
え
とを
其
その
身
み
に
備
そな
ふべし
是
これ
は
火
ひ
にやけて
燒
やけ
たゆるにいたらん
8
是等
これら
はダビデの
勇士
ゆうし
の
名
な
なりタクモニ
人
びと
ヤシヨベアムは
三
さん
人
にん
衆
しう
の
長
かしら
なりしが
一
いち
時
じ
八
百
ぴやく
人
にん
にむかひて
槍
やり
を
揮
ふる
ひて
之
これ
を
殺
ころ
せり
611㌻
9
彼
かれ
の
次
つぎ
はアホア
人
びと
ドドの
子
こ
エルアザルにして
三
さん
勇士
ゆうし
の
中
うち
の
者
もの
なり
彼
かれ
其處
そこ
に
戰
たゝか
はんとて
集
あつ
まれるペリシテ
人
びと
にむかひて
戰
たたかひ
を
挑
いど
みイスラエルの
人々
ひと〴〵
の
進󠄃
すゝ
みのぼれる
時
とき
にダビデとともに
居
ゐ
たりしが
10
たちてペリシテ
人
びと
を
擊
う
ち
終󠄃
つひ
に
其
その
手
て
疲
つかれ
て
其
その
手
て
劍
かたな
に
固着
つき
て
離
はな
れざるにいたれり
此
この
日
ひ
ヱホバ
大
おほい
なる
救拯
すくひ
を
行
おこな
ひたまふ
民
たみ
は
彼
かれ
の
跡
あと
にしたがひゆきて
只
たゞ
褫取
はぎとる
而巳
のみ
なりき
11
彼
かれ
の
次
つぎ
はハラリ
人
びと
アゲの
子
こ
シヤンマなり
一
ある
時
とき
ペリシテ
人
びと
一隊
いつたい
となりて
集
あつ
まれり
彼處
かしこ
に
扁豆
あぢまめ
の
滿
みち
たる
地
ち
の
處
ところ
あり
民
たみ
ペリシテ
人
びと
のまへより
逃󠄄
にげ
たるに
12
彼
かれ
其
その
地
ち
の
中
なか
に
立
たち
て
禦
ふせ
ぎペリシテ
人
びと
を
殺
ころ
せりしかしてヱホバ
大
おほい
なる
救拯
すくひ
を
行
おこな
ひたまふ
13
刈穫
かりいれ
の
時
とき
に三十
人
にん
衆
しう
の
首長
かしら
なる
三
さん
人
にん
下
くだ
りてアドラムの
洞穴󠄄
ほらあな
に
徃
ゆき
てダビデに
詣
いた
れり
時
とき
にペリシテ
人
びと
の
隊
たい
レパイムの
谷
たに
に
陣
ぢん
どれり
14
其時
そのとき
ダビデは
要󠄃害󠄅
えうがい
に
居
を
りペリシテ
人
びと
の
先陣
さきぞなへ
はベテレヘムにあり
15
ダビデ
慕
した
ひていひけるは
誰
たれ
かベテレヘムの
門
もん
にある
井
ゐど
の
水
みづ
を
我
われ
にのましめんかと
16
三
さん
勇士
ゆうし
乃
すなは
ちペリシテ
人
びと
の
陣
ぢん
を
衝
つ
き
過󠄃
とほり
てベテレヘムの
門
もん
にある
井
ゐど
の
水
みづ
を
汲
くみ
取
とり
てダビデの
許
もと
に
携
たづさ
へ
來
きた
れり
然
され
どダビデ
之
これ
をのむことをせずこれをヱホバのまへに
灌
そゝ
ぎて
17
いひけるはヱホバよ
我
われ
決
きはめ
てこれを
爲
なさ
じ
是
これ
は
生命
いのち
をかけて
徃
ゆき
し
人
ひと
の
血
ち
なりと
彼
かれ
これを
飮
のむ
ことを
好
この
まざりき
三
さん
勇士
ゆうし
は
是等
これら
の
事
こと
を
爲
なせ
り
〘469㌻〙
18
ゼルヤの
子
こ
ヨアブの
兄弟
きやうだい
アビシヤイは三十
人
にん
衆
しう
の
首
かしら
たり
彼
かれ
三
百
びやく
人
にん
にむかひて
槍
やり
を
揮
ふる
ひて
殺
ころ
せり
彼
かれ
其
その
三十
人
にん
衆
しう
の
中
うち
に
名
な
を
得
え
たり
19
彼
かれ
は三十
人
にん
衆
しう
の
中
うち
の
最
もつと
も
尊󠄅
たふと
き
者
もの
にして
彼等
かれら
の
長
ちやう
とたれり
然
しかれ
ども
三
さん
人
にん
衆
しう
には
及
およ
ばざりき
20
ヱホヤダの
子
こ
カブジエルのベナヤは
勇氣
ゆうき
あり
多
おほ
くの
功績
いさほ
ありし
者
もの
なり
彼
かれ
モアブの
人
ひと
の
獅子
しゝ
の
如
ごと
きもの
二人
ふたり
を
擊
うち
殺
ころ
せり
彼
かれ
は
亦
また
雪󠄃
ゆき
の
時
とき
に
下
くだ
りて
穴󠄄
あな
の
中
なか
にて
獅子
しゝ
を
擊
うち
殺
ころ
せり
612㌻
21
彼
かれ
また
容貌
かたち
魁偉
すぐれ
たるエジプト
人
びと
を
擊
うち
殺
ころ
せり
其
その
エジプト
人
びと
は
手
て
に
槍
やり
を
持
もち
たるに
彼
かれ
は
杖
つゑ
を
執
とり
て
下
くだ
りエジプト
人
びと
の
手
て
より
槍
やり
を
捩
もぎ
とりて
其
その
槍
やり
をもてこれを
殺
ころ
せり
22
ヱホヤダの
子
こ
ベナヤ
是等
これら
の
事
こと
を
爲
な
し三十
勇士
ゆうし
の
中
うち
に
名
な
を
得
え
たり
23
彼
かれ
は三十
人
にん
衆
しう
の
中
うち
に
尊󠄅
たふと
かりしかども三
人
にん
衆
しう
には
及
およ
ばざりきダビデかれを
參議
さんぎ
の
中
うち
に
列
つらなら
しむ
24
三十
人
にん
衆
しう
の
中
うち
にはヨアブの
兄弟
きやうだい
アサヘル、ベテレヘムのドドの
子
こ
エルハナン
25
ハロデ
人
びと
シヤンマ、ハロデ
人
びと
エリカ
26
パルデ
人
びと
ヘレヅ、テコア
人
びと
イツケシの
子
こ
イラ
27
アネトテ
人
びと
アビエゼル、ホシヤ
人
びと
メブンナイ
28
アホア
人
びと
ザルモン、ネトバ
人
びと
マハライ
29
ネトパ
人
びと
バアナの
子
こ
ヘレブ、ベニヤミンの
子孫
ひと〴〵
のギベアより
出
いで
たるリバイの
子
こ
イツタイ
30
ヒラトン
人
びと
ベナヤ、ガアシの
谷
たに
のヒダイ
31
アルパテ
人
びと
アビアルボン、バホリム
人
びと
アズマウテ
32
シヤルボニ
人
びと
エリヤバ、キゾニ
人
びと
ヤセン
33
ハラリ
人
びと
シヤンマの
子
こ
ヨナタン、アラリ
人
びと
シヤラルの
子
こ
アヒアム
34
ウルの
子
こ
エリパレテ、マアカ
人
びと
へペル、ギロ
人
びと
アヒトペルの
子
こ
エリアム
35
カルメル
人
びと
ヘヅライ、アルバ
人
びと
パアライ
36
ゾバのナタンの
子
こ
イガル、ガド
人
びと
バニ
37
アンモニ
人
びと
ゼレク、ゼルヤの
子
こ
ヨアブの
武器
ぶき
を
執
と
る
者
もの
ベエロデ
人
びと
ナハライ
38
ヱテリ
人
びと
イラ、ヱテリ
人
びと
ガレブ
39
ヘテ
人
びと
ウリヤあり
都
すべて
三十七
人
にん
第24章
1
ヱホバ
復
また
イスラエルにむかひて
怒
いかり
を
發
はつ
しダビデを
感動
かんどう
して
彼等
かれら
に
敵對
むかは
しめ
徃
ゆき
てイスラエルとユダを
數
かぞ
へよと
言
いは
しめたまふ
2
王
わう
乃
すなは
ちヨアブおよびヨアブとともにある
軍長
ぐんのかしら
等
たち
にいひけるは
請󠄃
こ
ふイスラエルの
諸
すべて
の
支派
わかれ
の
中
うち
をダンよりベエルシバに
至
いた
るまで
行
ゆき
めぐりて
民
たみ
を
核
しら
べ
我
われ
をして
民
たみ
の
數
かず
を
知
しら
しめよ
3
ヨアブ
王
わう
にいひけるは
幾何
いくばく
あるともねがはくは
汝
なんぢ
の
神
かみ
ヱホバ
民
たみ
を
百
ひやく
倍
ばい
に
增
まし
たまへ
而
しか
して
王
わう
わが
主
しゆ
の
目
め
それを
視
み
るにいたれ
然
しか
りといへども
王
わう
わが
主
しゆ
の
此事
このこと
を
悅
よろこ
びたまふは
何故
なにゆゑ
ぞやと
613㌻
4
されど
王
わう
の
言
ことば
ヨアブと
軍長
ぐんのかしら
等
たち
に
勝󠄃
かち
ければヨアブと
軍長
ぐんのかしら
等
たち
王
わう
の
前󠄃
まへ
を
退󠄃
しりぞ
きてイスラエルの
民
たみ
を
核
しら
べに
徃
ゆけ
り
〘470㌻〙
5
かれらヨルダンを
濟
わた
りアロエルより
即
すなは
ち
河
かは
の
中
なか
の
邑
まち
より
始
はじ
めてガドにいたりヤゼルにいたり
6
ギレアデにいたりタテムホデシの
地
ち
にいたり
又󠄂
また
ダニヤンにいたりてシドンに
旋
めぐ
り
7
またツロの
城
しろ
にいたりヒビ
人
びと
とカナン
人
びと
の
諸
すべて
の
邑
まち
にいたりユダの
南
みなみ
に
出
いで
てベエルシバにいたれり
8
彼等
かれら
國
くに
を
徧
あまね
く
行
ゆき
めぐり
九
ここの
月
つき
と
廿日
はつか
を
經
へ
てルサレムに
至
いた
りぬ
9
ヨアブ
人口
じんこう
の
數
かず
を
王
わう
に
吿
つげ
たり
即
すなは
ちイスラエルに
劍
かたな
を
拔
ぬ
く
壯士
つはもの
八十
萬
まん
ありき
又󠄂
また
ユダの
人
ひと
は五十
萬
まん
ありき
10
ダビデ
民
たみ
の
數
かず
を
書
かき
し
後
のち
其心
そのこころ
自
みづか
ら
責
せ
む
是
こゝ
においてダビデ、ヱホバにいふ
我
われ
これを
爲
な
して
大
おほい
に
罪
つみ
を
犯
をか
したりねがはくはヱホバよ
僕
しもべ
の
罪
つみ
を
除
のぞ
きたまへ
我
われ
甚
はなは
だ
愚
おろか
なる
事
こと
を
爲
なせ
りと
11
ダビデ
朝󠄃
あさ
興
おき
し
時
とき
ヱホバの
言
ことば
ダビデの
先見者
せんけんしや
なる
預言
よげん
者
しや
ガデに
臨
のぞ
みて
曰
いは
く
12
徃
ゆき
てダビデに
言
い
へヱホバ
斯
かく
いふ
我
われ
汝
なんぢ
に
三
みつ
を
示
しめ
す
汝
なんぢ
其
その
一
ひとつ
を
擇
えら
べ
我
われ
其
それ
を
汝
なんぢ
に
爲
なさ
んと
13
ガデ、ダビデの
許
もと
にいたりこれに
吿
つげ
てこれにいひけるは
汝
なんぢ
の
地
くに
に七
年
ねん
の
饑饉
ききん
いたらんか
或
あるひ
は
汝
なんぢ
敵
てき
に
追󠄃
おは
れて
三月
みつき
其
その
前󠄃
まへ
に
遁
にげ
んか
或
あるひ
は
爾
なんぢ
の
地
くに
に
三日
みつか
の
疫病
やくびやう
あらんか
爾
なんぢ
考
かんが
へてわが
如何
いか
なる
答
こたへ
を
我
われ
を
遣󠄃
つか
はせし
者
もの
に
爲
なす
べきかを
決
さだ
めよ
14
ダビデ、ガデにいひけるは
我
われ
大
おほい
に
苦
くる
しむ
請󠄃
こ
ふ
我儕
われら
をしてヱホバの
手
て
に
陷
おちい
らしめよ
其
その
憐憫
あはれみ
大
おほい
なればなり
我
われ
をして
人
ひと
の
手
て
に
陷
おちい
らしむるなかれ
15
是
こゝ
においてヱホバ
朝󠄃
あさ
より
集會
あつまり
の
時
とき
まで
疫病
やくびやう
をイスラエルに
降
くだ
したまふダンよりベエルシバまでに
民
たみ
の
死
しね
る
者
もの
七
萬人
まんにん
なり
16
天
てん
の
使
つかひ
其
その
手
て
をエルサレムに
伸
のべ
てこれを
滅
ほろぼ
さんとしたりしがヱホバ
此
これ
害󠄅
がい
惡
あく
を
悔
くい
て
民
たみ
を
滅
ほろぼ
す
天使
てんのつかひ
にいひたまひけるは
足
たれ
り
今
いま
汝
なんぢ
の
手
て
を
住󠄃
とど
めよと
時
とき
にヱホバの
使
つかひ
はヱブス
人
びと
アラウナの
禾場
うちば
の
傍
かたはら
にあり
614㌻
17
ダビデ
民
たみ
を
擊
う
つ
天使
てんのつかひ
を
見
み
し
時
とき
ヱホバに
申
まう
していひけるは
嗚呼
あゝ
我
われ
は
罪
つみ
を
犯
をか
したり
我
われ
は
惡
あし
き
事
こと
を
爲
なし
たり
然
しかれ
ども
是等
これら
の
羊群
ひつじ
は
何
なに
を
爲
なし
たるや
請󠄃
こ
ふ
爾
なんぢ
の
手
て
を
我
われ
とわが
父󠄃
ちゝ
の
家
いへ
に
對
むけ
たまへと
18
此
この
日
ひ
ガデ、ダビデの
所󠄃
ところ
にいたりてかれにいひけるは
上
のぼ
りてヱブス
人
びと
アラウナの
禾場
うちば
にてヱホバに
壇
だん
を
建
たて
よ
19
ダビデ、ガデの
言
ことば
に
隨
したが
ひヱホバの
命
めい
じたまひしごとくのぼれり
20
アラウナ
觀望󠄇
のぞみ
て
王
わう
と
其
その
臣僕
しもべ
の
己
おのれ
の
方
かた
に
進󠄃
すゝ
み
來
きた
るを
見
み
アラウナ
出
いで
て
王
わう
のまへに
地
ち
に
伏
ふし
て
拜
はい
せり
21
かくてアラウナいひけるは
何
なに
に
因
より
てか
王
わう
わが
主
しゆ
僕
しもべ
の
所󠄃
ところ
にきませるやダビデひけるは
汝
なんぢ
より
禾場
うちば
を
買
か
ひとりヱホバに
壇
だん
を
築
きづ
きて
民
たみ
に
降
くだ
る
災
わざはひ
をとどめんとてなり
〘471㌻〙
22
アラウナ、ダビデにいひけるはねがはくは
王
わう
わが
主
しゆ
其
その
目
め
に
善
よし
と
見
み
ゆるものを
取
とり
て
献
さゝ
げたまへ
燔祭
はんさい
には
牛
うし
あり
薪
たきゞ
には
打禾車
うちぐるま
と
牛
うし
の
器
うつは
ありと
23
アラリナこれを
悉
こと〴〵
く
王
わう
に
奉呈
さゝ
ぐアラウナ
又󠄂
また
王
わう
にねがはくは
爾
なんぢ
の
神
かみ
ヱホバ
爾
なんぢ
を
受納󠄃
うけいれ
たまはんことをといふ
24
王
わう
アラウナにいひけるは
斯
かく
すべからず
我
われ
必
かなら
ず
値
あたひ
をはらひて
爾
なんぢ
より
買
かひ
とらん
我
われ
費
つひえ
なしに
燔祭
はんさい
をわが
神
かみ
ヱホバに
献
さゝ
ぐることをせじとダビデ
銀
ぎん
五十
ごじふ
シケルにて
禾場
うちば
と
牛
うし
を
買
かひ
とれり
25
ダビデ
其處
そこ
にてヱホバに
壇
だん
を
築
きづ
き
燔祭
はんさい
と
酬恩祭
しうおんさい
を
献
さゝ
げたり
是
こゝ
においてヱホバ
其
その
地
ち
のために
祈禱
いのり
を
聽
きゝ
たまひて
災
わざはひ
のイスラエルに
降
くだ
ること
止
とゞま
りぬ
〘472㌻〙
615㌻